このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第6章「後悔の先にあるもの」

俺達は、師匠から離れた部屋に移動し、朝に起こった事を話し合った。
師匠の方は、1冊で、じっと沈黙して、しばらく動きそうにはない。

「どうして、そんなにドイツを嫌がるんだろうね?六師匠って、
国を好き嫌いするような本に思わなかったよ。」
「だよねーゴートン。私も意外だわ。」

ゴートンとトワがお互いに同意して、頷き合う。
そこは、俺や二四と四四も同意だろう。
俺も、てっきり師匠は修行で全世界を巡っていると思ったが、
この調子だと、ドイツだけは避けていたみたいだな。

「あのセアさんに理由も言えない程だから、かなりですよね?」
「そうですね。二四。でも、これは私達も無理に聞かない方が良さそうですね。」
「だな。四四の言う通りだ。俺達は、師匠から話してくれるまでは聞くべきじゃない。
それに、個人の好き嫌いを、何も根掘り葉掘り聞く必要ないからな。
師匠の事だ。俺達にも関わるほどの重要な事があるなら、
話してくれるはずだしな。」

俺は、二四達の顔を確認し、無理に聞き出すのは止めようと言う事にした。
どのみち、師匠も、今のあの状態では話すわけないしな。

「私・・・セアお姉ちゃんが心配だから、様子見てくる。」
「トワ。無理には止めろよ?」
「うん。話しかけてみて、駄目そうなら、すぐに戻ってくるよ。」

トワは、そう言って、セアの部屋に向かった。

「思えば、僕はドイツにちゃんと行ったことないかも?」
「私も、ドイツには行ったことないなぁ。」
「私もです。十二は、ドイツに行ったことがありますか?」

俺は、四四につい聞かれて、少し困った。転生する前の俺なら、
ドイツに行ってるっぽいが、
今の俺はない。

「いや、今の俺はないな。」

俺は、とりあえず、その場では、そう答えることにした。
二四達は、うーんと言いながら、それぞれが悩む顔をする。

「あー止めよう。どうせ、ここで俺達が考えていても、答えなんか出やしないさ。
これ以上、ここで、悩んでいるよりも、俺と二四とゴートンは、
さっさといつもの修行にしに行くぞ?」

俺の言葉に、二四とゴートンは素直に頷いた。

「そうですね。ここで私達が悩んでいても、しょうがないことですね。」
「うんうん。それに、こんなとこで、僕達がコソコソしてたら、
六師匠が怒りそうだもんね?」

ゴートンは、小声で、俺達に言ってくる。いい勘してるぞ、ゴートン。
その通りだ。機嫌の悪い師匠を更に機嫌悪くさせたくないのなら、
俺達はいつもより早く修行しに出て、師匠の機嫌を損ねないようにするだけだ。

「わかりました。じゃあ、十二達、気を付けて、いってらっしゃい!」

四四は、穏やかな顔で、俺達を見送ってくれた。
後は、トワがセアを上手く宥めてくれるといいけどな。
しかし、セアはセアで、何で、ドイツに行くのを師匠に勧めたんだ?
何かセア的に連れて行きたい場所でもあったのか?
それとも、会話の途中でたまたま出ただけか?
20/60ページ
スキ