断食を始めて３日目の昼。
俺は、二四とゴートンの一緒に師匠の修行をする。
最初の頃は、二四もゴートンも戸惑いながら修行していたが、
今では師匠の無茶ぶりにも、すっかり慣れたようだ。

「最初は、こんな修行死んじゃうよ！って思ったけど、
今じゃ当たり前に出来るようになったと、びっくりだよねぇ・・・」
「そうだね。でも、それだけ私達も成長出来たって事だよ。」

二四とゴートンは軽く手合わせをしながらも、時折、俺が２冊達に
当たるようにわざと投げる石を上手に避けている。
これは、戦いながらも反射神経を鍛える修行だ。
敵は目の前だけじゃないかもしれないと言う意味でも、
大事な修行の１つである。
最初は、面白いくらい、二四も、ゴートンも俺の投げる石に当たり、
痛がって時期もあるが、今では、すっかり避けられてしまっている。
俺的には、ちょっと面白くないが、でも、２冊達の成長ぶりを
考えれば、嬉しい気持ちの方が大きい。

「随分と余裕になったな。そんな会話をしながら、俺の投げる石にも
平然と対応してるもんな。ほら！」

俺は、２冊達に石を投げながら、会話に参加した。
２冊達は笑顔で俺の投げた石を避けながら、俺に返事する。

「十二先輩が一緒に修行してくれて、僕達は本当に感謝してるよ！」
「私もです。十二先輩にあの時に助けて貰わなければ、
私達は、１８冊目に殺されていたでしょう。
そしたら、こうして六師匠の修行を受けることも出来なかった。
十二先輩と一緒にすることも。」
「おいおい！まだ修行は終わったわけじゃないのに、なんか、
明日にでも「卒業します」みたいな雰囲気だな？
そんな気持ちでいると、師匠にすぐ地獄に叩き落されるぞ？
最終的な師匠との手合わせはマジで、命懸けだからな？」

俺は２冊達の言葉を聞き、苦笑いして、注意してやった。
２冊達は確かに、短い期間で強くなったのはなったが、師匠が認めたわけではない。
師匠が認めた時は、修行が終了した時だ。
それまでは、俺との出会いを思い出して、感傷に浸るのは早いだろう。

「そうだね・・・そんな事言ってたら、六師匠怒りそう。」
「ですね。すいませんでした、十二先輩。」
「いや、今だったからいいさ。でも、師匠の前では気をつけろよ？」
「はい！」
「はい！気をつけます！」

２冊達は、笑顔で返事し、また互いの手合わせに集中する。
よし！俺も、本気の本気で、あいつらに石投げてやろう！
これは、俺の修行でもあるからな！

「今から、俺も、マジのマジで投げるからな！必死で避けろよ？
場合によっては、致命傷になりかけないからな！！」
「えーーー？！」
「わ、わかりました！！」

ゴートンと二四は、相変わらずな反応をするので、俺も笑ってしまう。
最初の断食３日目と違い、今の俺には大分、気持ちに余裕があった。
この調子でいければ、７日間の断食は何とかなりそう・・・か？