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第1章「下巻の奴等」

約束の時間になり、俺だけで、約束の公園に向かった。
トワには、いざと言う時の為に留守番をして貰う事にした。
最初は、一緒に行くと、我が儘を言われたが、俺は許さなかった。
今のトワには、まだ本喰人の戦いは無理だし、トワが居たら、
俺もトワを守りながら戦うのは不利すぎる。だから、上手く説得し、
納得して貰った。
今のトワなら、俺の本拠地を守ってくれた方が有難い。
最低限、俺の本拠地の中であれば、自分の身は守れるだろう。
俺は、トワに本拠地にある最高の隠れ場所を教えてある。
そこに逃げ込めれば、敵も、手出しは出来まい。
いや、もしかしたら意外にも弱い敵なら撃退してくれそうな気もする。
俺はそれを考えると、少し笑ってしまった。

「さて、約束の時間に来たけど、相手はいるかな?」

俺は公園の中に入り、待ち人を待つ。
さて、50冊目が来るのか・・・24か・・・18か・・・

「貴方が12冊目ですか?」

数分もしない内に、俺は声を掛けられる。一見、日本人の外見だが、灰色の髪に、
知性の高そうな顔、そしてメガネを掛けた、10代後半の学生風の男だった。

「そう呼ぶってことは、お前は24冊目か?18は、俺をそう呼ばないしな。」
「そうなんですか。そうです、私が24冊目です。」

24冊目は、とりあえずは、すぐに戦う気がないようだ。
紳士的に俺に対応してくる。こいつなら、何とか交渉出来そうな気もするが、
俺は気を許さないように会話を続ける。

「お前が来るってことは、50冊目は、もう死んだのか?」
「いえ、彼は別の場所で監禁してます。」
「監禁出来るってことは、もう、それだけ弱ってるってことか?」
「そう思って頂いていいです。」

24冊目は無表情のままに、俺の質問に答える。何も悟られないようにする為だろう。
下巻クラスの癖に、戦い慣れた感じが、伝わってくる。

「とりあえず、公園で立ち話も失礼ですから、私の家に来てくれませんか?」
「断ったら?」

俺はカマをかけるように、24冊目に聞く。24冊はそれでも、
無表情のままに答える。

「でしたら、50冊を先に18冊目に引き渡し、次回に会った時には、
12冊目と、戦うだけです。」

24冊目は何も隠さずに俺に告げる。俺は、何かこいつの存在が勿体無いと思った。
こういう冷静な奴が仲間に居て欲しかった。
だから、俺は何で、18の下についたのを探る為に、24冊目の提案に乗ることにした。

「わかった。ここでも、誰の目があるかもわからないからな。
お前の家に行こう。」
「ありがとうございます。では案内しますので、ついて来て下さい。」

24冊目は薄っすらと、嫌味なく笑い、俺を自分の家に案内した。
自分の家に案内すると言う事は、24冊目も、無駄には戦う気がないのか。
それとも、あのDMが伝えてきた、恐ろしい罠でも仕掛けてあると言うのだろうか。
俺は、覚悟を決めて、24冊目の背後を見ていた。
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