第6章「後悔の先にあるもの」

「7冊目か・・・拙者から言わせてもらえば、軽薄な本だな。
礼儀とか、そうしたものを嫌い、ラッキー7の7の本だからと、
そんな理由で賭博などが、大の大好きな本だ。」
「うへぇー?!そんな本なんですね?!」

ゴートンは、師匠の答えを聞いて、変な声を出している。

「それに、ゴートン。お前と通じるものがある、本でもあるな。」
「え?僕にですか?!」

ゴートンは急に師匠に、自分と通じるものがあると言われ、少し困った顔をした。

「うむ。日頃から少し不真面目な態度なとこや、女好きであるなどは、
似ていると言っても良い。
だから、最初は、拙者もお前には7冊目の様になって欲しくなくて、言動には厳しく言ったのだ。」
「それがあったから、六師匠は、厳しかったんですね・・・」

ゴートンは、最初の頃に、師匠に厳しく言葉遣いや態度を怒られたことを思い出し、
しみじみとした感じになっていた。
酷い時は、師匠に泣かされてたもんな・・・ゴートン。

「7冊目は、私達の味方なんでしょうか?」

二四は、師匠にそう尋ねる。二四に聞かれ、師匠はまた苦い顔をした。

「あいつも、あいつで、個性のある本だからな。拙者にもわからん。
ただ、2冊目のような悪い野心はないと言っていいだろう。
どちらかと言えば、勝てそうな側に、最後はつくだけであろうな。」
「なんか、それもそれで、ずるい感じですね。」
「仕方があるまい。7冊目とはそんな本だとしか、拙者も言えん。」
「ですが、師匠。7冊目が、もし2冊目側についても、
最後は2冊目に殺されるだけなんじゃないですか?」

俺は自分で思いついたことを師匠に聞いてみた。

「7冊目は、とにかく口が達者だ。それに、1冊目並みに、
自由奔放なところもある。
いざと言う時は、2冊目から、逃げ切れると、思っている部分も
あると思うぞ?2冊目側につく時は、そうした準備を確実にしてから、つくだろうな。」
「そうですか・・・」

俺は、初めて師匠に7冊目の事を詳しく聞き、覚えておこうと思った。
思えば、俺も、4冊目や7冊目の事は、詳しくは知らないんだよな。
3冊目も、話してくれたことがなかったし。
それから、二四とゴートンは、師匠から、5冊目の話を聞いたり、
初版本世代と暮らしていたと言う、特殊な力を持っていた、
人間の一族の話も聞かされた。

「僕達は、そんな人間達から、生まれたんだ・・・」
「凄く気になりますね。過去に、それだけの力を持っていた人間達が存在していたなんて。」
「でも、現在では、その一族は、存在してないって事ですよね?
だって、僕達みたいな新しい本喰人はいないもの・・・」
「拙者も、はっきりとした年代は言えないが、その一族が、
生み出せた本喰人は50冊までと聞いている。
50冊まで生み出した後に、初版本世代で激しい戦いが起きたのだ。
その際に、その戦いに巻き込まれ、一族はすべて滅んだようだ。」

師匠は、俺達にそう話した。つまりは、俺の予想だが、2冊目側の本達が、
生みの親にあたる一族を滅ぼしたんだろうな。
2の奴は、本喰人を減らしたがっていたんだから、新しい本喰人が生まれ続けたら困るはずだ。
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