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第6章「後悔の先にあるもの」

「師匠、薄々気づいてるとは思うんですが・・・」
「うむ。会ったのだな?昨日、十(ジュウ)に?」
「はい。昨日、本を引き取った後に、10冊目が現れて。
10冊目とだけで話し合いを・・・」
「そうか・・・」

俺は、師匠と修行を再開させて、二四達と少し離れた場所に
居る時に、小声で師匠に報告した。
師匠には、すぐに10冊目の話はした方がいいと思ったのだ。
どのみち、10冊目からも、師匠の方にすぐに連絡はいくだろうしな。俺に会ったと。

「十は、用心深い本だ。拙者と会う時も、いつも細心の注意を払った中で会う。
まさか、同じ大阪に居たとはな。今日の早朝に連絡があって、
拙者も驚いた程だ。」
「師匠は今日の朝に知ったんですか?!」
「そうだ。基本は、お互い居場所は言わぬことにしててな。
十は、3冊目の指示で、色々な本喰人の現状を、悪い言い方になってしまうが、
監視しているのだ。2冊目と組んで、悪さしないかどうかな。」
「そうみたいですね・・・」
「その十が、十二、お前に会ったのだから、何か理由があったのだろう。
だが、拙者は今はその理由は聞かん。十も話さなかったからな。
拙者がその理由を、今はまだ、聞く時ではないのだろう。」
「師匠・・・」

俺は師匠の横顔を見て、少し複雑な気持ちになった。
師匠だって、本当は知れるなら知りたいと思っているだろう。
でも、俺にも無理に聞かないでいてくれてることに、
俺は感謝にも似た気持ちを師匠に感じた。

「十が言っていたが、お前に連絡を取る時は、拙者を通してすると言っていた。
それでお前もいいんだな?」
「はい。俺の方でも連絡したいと思ったら、師匠に相談して、
師匠を通して、10冊目の方に連絡したいと思ってます。」
「わかった。ならば、その件はそうしよう。」

師匠は、その話は、スッパリと、そこで終わらせた。
それから、俺の顔を見て、俺への修行の話をする。

「十二。お前には、今日から7日間の断食をさせるつもりだが、
大丈夫か?」
「はい。」
「3日間の断食の後に、お前は少し異変があったが、それでも、
大丈夫だと言うのだな?」
「はい。あの時は、師匠に情けない姿を晒しましたが、今回は、
絶対にあんなことにならないようにします。」
「うむ。お前の言葉を信じよう。では、今日から断食をせい。
後、二四とゴートンに手合わせを頼む。
最近、あいつらも大分強くなったからな、油断せん方がいいぞ?」
「はは。それは楽しみですね。俺も、やっと本気になれるかな?」

俺は、師匠の言葉を聞いて、俺なりに強がって見せた。
師匠も冗談で言ってはいないだろう。二四とゴートンは、
確実に日々強くなっている。
8冊目の眷属達と戦った経験も、良い経験になったようだ。
この調子なら、15冊目と16冊目の戦いになった時も、
期待が出来そうだ。
俺も、この7日間の断食の期間に、もっと強くならなければ。
力だけなら、あの初版本世代の頃のように・・・
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