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第6章「後悔の先にあるもの」

「でさー僕はびっくりしたわけよー!」
「あはは、ごーちゃんも凄いタイミングで、十二先輩のとこに行ったんだね?」
「トワちゃんは、年頃の女の子だから、しょうがないと思います。」
「トワは悪くないもん!昨日、あんな遅い時間に帰ってきて、
女性ものの香水の匂いなんかつけてきた、十二が悪いもん!」

俺は、朝から賑やかに、トワと二四達に囲まれ、昨日の弁明をさせられていた。
と、言うか・・・俺は女遊びしたわけでもないし、本当に本を取りに行っただけなのに、
どうして、朝からこんな災難に遭わなければならないのだ。
全くもって、理不尽極まりない。
遠くから、師匠も、俺を気の毒そうに見ている。セアに、腕をがっしりと掴まれて。
きっと、師匠も下手をすれば、俺がトワにされているように、
セアにされるんだろうなぁ・・・他の女の影でも見せれば・・・

「何度も言うけどな、俺は別に、いかがわしい事なんかしてないからな?
昨日は、夜も少し遅かったが、知り合いが長年、俺が欲しがっていた本を手に入れてくれて、
それで急いで欲しいのなら、取りに来ても良いって、言ってくれたから取りに行っただけだ。
確かに、その店の店主は人間の女性で、サキと言う名前だが、
そのサキとは、トワに出会う前からの知り合いで、仕事上の先輩に
あたる女性なだけで、彼女とかそういう関係じゃない。」
「むぅ・・・」

俺の説明に、二四達は「そうなんだぁ」みたいな顔をしているだけだが、
トワは不満げな感じのままだ。

「それに、サキには、ちゃんと「彼氏」もいるしな。
昨日も、久しぶりの再会だったから、ここ最近の仕事の話とかで、盛り上がってしまって、
それで、帰りが遅くなっただけだ。
後、今度時間がある時に、二四とゴートンにも会わせるつもりだ。」
「え?私達にですか?」
「僕達も会ってもいいの?」
「ああ、サキは、俺達と同じ古書店を開いているんだ。
だから、そっちの仕事での先輩になるから、今後の事を考えても、
知り合いになっても損はない。
サキも会いたいって言ってくれてるしな?」

俺は、昨日サキと話をした話を二四達にもした。もちろん、これは俺の作り話ではない。
昨日、サキと話し合いをしたままの話を、今、話している。

「トワちゃん、十二は、嘘は言ってないよ。十二からは、澄んだ気を感じるから、
本当の事をしゃべってくれてるよ?」
「そうなの?四四ちゃん?」

四四は、そう言って、トワを説得してくれた。マジで助かるわ。
こういう時のトワのヒステリーは俺だけでは、抑えられないからなぁ・・・

「二四とゴートンをサキに会わせる時に、トワは来たければ、来ればいい。
それで満足か?トワ?」
「ご、ごめんなさい・・・私の何か勘違いでした。」

トワはやっと、何かの誤解を解いて、素直に俺に謝った。
年頃の女の子ってやつは、本当に大変だ。
こんな娘の様なトワと言う存在がいる、今の俺に彼女を作るなんて、
どのみち、無理な話だったんだよな・・・
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