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第5章「見え隠れする本質」

「師匠は、自分のその過去を知ってはいるのか?」
「知ってはいますね。1冊目と3冊目から話は聞いているはずなので。
ただ、自分が2冊目に協力していたのは信じられないと何度も言っていたみたいですが。」
「そりゃ・・・そうだろうな。まるで今の俺の様な気持ちだろうな。」
「ああ、確かに、そんな感じかもしれませんね。
だから、今の6冊目が、2冊目側の味方になると言う事はないと思ってます。
今のあの性格の6冊目が2冊目に協力なんて、すると思いますか?」
「しないだろうな。もちろん、俺だってしないけどな。洗脳でもされない限りはな。」

俺は、10冊目に、自分の気持ちも、しっかり告げた。
転生する前の俺は、何を思って、2の奴を親友だと思い、
協力したのかは知らないが、今の俺なら、もうそんな事は絶対にありえない。
どんな理由があるにしたって、本喰人同士で殺し合い、
1番になりたいなんて考えに、賛同出来るわけがない。
ん?そうだ、俺はあの夢を見た時に、聞いたんだよな・・・

「な?10冊目、いいか?」
「何でしょうか?」
「初版本世代の本喰人達が、何故、互いに争い出したのか、
その原因は本当にわからないのか?」
「明確には、わからないですね・・・」
「噂レベルとかでも、聞いたこともないのか?」
「噂でいいのなら、1つ聞いた話があります。」
「どんな噂だ?」
「2冊目側の方で、ある計画があったらしいのです。
ある本を出現させる為に、本喰人の数を限りなく減らそうとしていたとか・・・」
「?!」

俺は、それを聞いて、夢の中で2の奴と話していた計画の話が
合致したことに驚いた。
ある本を出現させると言うのは聞いてないが、本喰人の数を
限りなく減らそうとしていたのは間違いない。

「10冊目・・・もしかしたら、それは噂じゃなくて本当かもしれないぞ?」
「どういうことですか?12冊目?」

俺は、10冊目に、自分が見た夢の話を聞かせた。
10冊目は、俺の話を聞いて、凄く悩む。

「過去の12冊目が、2冊目とそんな会話をされたと言うのなら、
確かに噂じゃなくて、本当の事かもしれませんね。
この話を、3冊目にもしておきたいのですが、いいですか?」
「ああ、ぜひ、3冊目にも話しておいてくれ。」
「わかりました。」
「後、まだ聞きたい事があるんだけど、いいか?」
「はい。自分で答えられることなら、どうぞ。」

俺は、10冊目に、今度は二四達の事も聞いておこうと思った。

「今は、俺と一緒にいる、24冊目と50冊目、後、44冊目もいるんだが、
そいつらの事で、10冊目が何か知っていることはないか?」
「下巻クラスの本達ですね。自分は、特にその本達については何も知らないですね。
悪い噂があるなら、すぐに耳に入ってくると思うので、2冊目側には組してないと思います。」
「そうか・・・良かった・・・」

俺は、やっと気にしていたことから、解放されて、気持ちが軽くなったのを感じた。
全部が全部、解決したわけでもないが、それでも、知りたかった事が
かなり知れたのは大きい。
10冊目と会って、会話をしなければ、俺は何もわからない状態だったんだからな。
それに、俺は悪い方向にばかり考えてしまっていた。
あんな疑心暗鬼な時に、8冊目や、2の奴から、また攻撃をされたらと思うと、俺は正直怖くなった。
きっと、俺から酷い裏切りを師匠達にしていたかもしれなかったからだ。
そうならないで済んだ事に、俺は心底、安堵した。
それから、10冊目にも感謝しなければいけないな・・・
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