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第5章「見え隠れする本質」

「最初に聞きたいんだが、6冊目と9冊目はどっち側なんだ?」
「9冊目は、間違いなく、1,3冊側の本ですね。
3冊目と9冊目が親友なのは、12冊目もご存じでは?」
「確かに、そうだったな・・・」

俺は、10冊目に言われて、久しぶりにその事を思い出した。
そうだ、3冊目と9冊目は親友だったではないか。
でなければ、18の奴の所為で、食事することにトラウマになってしまった俺を、
9冊目ことキュアートが助けてくれることはなかったのだ。
3冊目は、あの事件の後で、俺の事を気遣ってくれ、
自分の場所に居るよりも、キュアートのとこに行った方がいいと判断してくれて、
俺にキュアートを引き合わせてくれたのだ。
その頃から、キュアートは自分の眷属の面倒を見るのも上手だったのもあり、
俺の世話も手厚くしてくれた。最初の頃の俺は、キュアートに、
失礼な態度も散々取ってしまったが、それでもキュアートは
辛抱強く俺の相手をしてくれたものだ。

「貴方が辛い思いをしたのは、3冊目から聞いてはいるわ。
だけど、だからって、ここで生きることを放棄しては駄目よ。
貴方が食事もせずに、そのまま死んだら、誰が一番悲しむと思っているの?
36冊目ではないの?貴方を命がけで助けた・・・」

俺は、キュアートに幾度となく、この言葉をかけられた。
最初は辛くて、悲しくて、何度も何度も泣いた。時に怒りもした。
その度に、キュアートは、優しく俺を慰め、時には抱きしめてくれさえしたのだ。
一緒に泣いてくれたことさえある。
3冊目が母なら、キュアートは姉のような愛情を俺に教えてくれたようなものだ。
本人に言ったら、怒るだろうから、言えないけどな。
キュアートと、その当時の子供達、セアの事でもあるが、
その生活があったおかげで、俺はトラウマを克服し、無事に自立することが出来た。
自分を取り戻すことが出来た俺は、まずは18に復讐することを決め、
師匠の元で修行をし、修行が終わった後は、四四に出会って、
四四の力を借りて、あの能力の本を手に入れた。
18に使った、あの強力な死者の怨念の本の能力を。

「最近、色々な事があったとはいえ、3冊目とキュアートが親友だってことを、
忘れるなんて・・・俺もどうかしてるな・・・」

俺は、まずキュアートが敵でないことがはっきりして安堵した。
あそこまで世話になったキュアートが敵なわけがなかったのだ。
むしろ、キュアートの方が、よく俺を受け入れてくれたものだ・・・
俺が、何かの弾みで初版本世代の俺みたいになったら、
キュアートの方が、酷い被害が出てしまっていたはずだ。
そんな危険があったかもしれないのに・・・キュアートは・・・

「俺は、今度、キュアートに会ったら、再度、感謝しなきゃだなぁ・・・」

俺は、今からでも、電話してキュアートにお礼が言いたい気分に
なってしまうくらいだった。
キュアートへの恩返しになるのなら、セアの事も、俺で出来る限り守ってやろうとも思った。
まぁ・・・今は師匠が大事に守ってくれそうだけどな・・・
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