第5章「見え隠れする本質」
「初版本世代の頃の俺は、どうにもならないくらい、酷い存在だったらしいな・・・」
俺は、10冊目を見て、虚しく笑う事しか出来なかった。
師匠が、キュアートが、と言っていたが、何の事はない。
一番の敵だったのは、過去の自分だったなんて・・・
こんな笑える話があるだろうか?
俺が見た、あの夢は、過去にあった事だと、10冊目から、
はっきりと言われてしまったわけだ。
「思ったよりも動揺しないんですね・・・自分的には、12冊目は、
もっと、取り乱すと思ってましたが・・・」
「自分でも、驚いてるよ。もっと激しく動揺すると思ってたのが、
意外にも、すんなりと受け入れてる事にな。」
「ですか。けど、それが12冊目の本質なのかもしれませんね。」
10冊目は、冷静な俺に、冷静な態度で返す。
「では、過去の自分の夢を見たと言う事は否定しないですか?」
「ああ、この際だから、否定はしない。確かに俺は見た。
初版本世代の頃の俺の夢をな。」
「やっぱり・・・」
「けど、どうして、10冊目は俺が最近、過去の事を夢で思い出したと分かったんだ?
俺は、その辺の事が知りたいんだけどな?」
俺は、最もなことを10冊目に質問した。普通に考えて、
自分が見た夢を、他人に言い当てられるなど、気持ちが悪い話はない。
10冊目は自分は敵ではないと俺に言うが、それにしたって、不気味な話だろう。
「怒らないで欲しい・・・と言うのは無理な話だとは自分も思いますが、
12冊目の事は、3冊目から、監視をお願いされてました。
ずっとではありませんが、時々ですけどね。」
「うーん、そんな事なんじゃないだろうかなぁーとは、俺も薄々思ってた。」
「12冊目の身体には、言いにくいんですが、ある能力で、
過去の初版本世代の事を思い出したら、3冊目がわかるようになってました。
何で、そんなことを3冊目がしたのかは、もう説明しなくてもわかりますよね?」
「ああ、わかるぞ。俺が初版本世代の頃の俺の様になったら、
最悪な事態になるもんな?
現代で、過去の本喰人同士の激しい戦いになったら、
それこそ最悪な状態に逆戻りだ。」
「その通りです。それを恐れた、1冊目と3冊目は、相談して、
あの戦いの後に転生した12冊目を監視することにしたのです。
あの悲劇を繰り返さない為に・・・」
「複雑な心境だな・・・そう言われてしまったら、俺は怒るに怒れるわけがない・・・」
俺は、3冊目を責めることなんて出来なかった。
いや、むしろ感謝するべきだろう。1冊目にしても、
3冊目にしても、もっと俺を厳重に監視出来たはずだ。
それこそ、本喰人として居させるよりも、本の姿のままで、
厳重に保管してしまえば、俺はこんな生活は出来なかったし、
1冊目側だって、2の奴への協力者が確実に減るのだから、
安全で安心出来たはずだ。
なのに、しないでくれたのだから、俺が監視された事を
恨むのは間違っていると思う。
それに、3冊目が俺を育ててくれた時は、過去に敵対していたとは思えないほどに、
優しかった。もちろん、俺だけにではないが。
俺は、10冊目を見て、虚しく笑う事しか出来なかった。
師匠が、キュアートが、と言っていたが、何の事はない。
一番の敵だったのは、過去の自分だったなんて・・・
こんな笑える話があるだろうか?
俺が見た、あの夢は、過去にあった事だと、10冊目から、
はっきりと言われてしまったわけだ。
「思ったよりも動揺しないんですね・・・自分的には、12冊目は、
もっと、取り乱すと思ってましたが・・・」
「自分でも、驚いてるよ。もっと激しく動揺すると思ってたのが、
意外にも、すんなりと受け入れてる事にな。」
「ですか。けど、それが12冊目の本質なのかもしれませんね。」
10冊目は、冷静な俺に、冷静な態度で返す。
「では、過去の自分の夢を見たと言う事は否定しないですか?」
「ああ、この際だから、否定はしない。確かに俺は見た。
初版本世代の頃の俺の夢をな。」
「やっぱり・・・」
「けど、どうして、10冊目は俺が最近、過去の事を夢で思い出したと分かったんだ?
俺は、その辺の事が知りたいんだけどな?」
俺は、最もなことを10冊目に質問した。普通に考えて、
自分が見た夢を、他人に言い当てられるなど、気持ちが悪い話はない。
10冊目は自分は敵ではないと俺に言うが、それにしたって、不気味な話だろう。
「怒らないで欲しい・・・と言うのは無理な話だとは自分も思いますが、
12冊目の事は、3冊目から、監視をお願いされてました。
ずっとではありませんが、時々ですけどね。」
「うーん、そんな事なんじゃないだろうかなぁーとは、俺も薄々思ってた。」
「12冊目の身体には、言いにくいんですが、ある能力で、
過去の初版本世代の事を思い出したら、3冊目がわかるようになってました。
何で、そんなことを3冊目がしたのかは、もう説明しなくてもわかりますよね?」
「ああ、わかるぞ。俺が初版本世代の頃の俺の様になったら、
最悪な事態になるもんな?
現代で、過去の本喰人同士の激しい戦いになったら、
それこそ最悪な状態に逆戻りだ。」
「その通りです。それを恐れた、1冊目と3冊目は、相談して、
あの戦いの後に転生した12冊目を監視することにしたのです。
あの悲劇を繰り返さない為に・・・」
「複雑な心境だな・・・そう言われてしまったら、俺は怒るに怒れるわけがない・・・」
俺は、3冊目を責めることなんて出来なかった。
いや、むしろ感謝するべきだろう。1冊目にしても、
3冊目にしても、もっと俺を厳重に監視出来たはずだ。
それこそ、本喰人として居させるよりも、本の姿のままで、
厳重に保管してしまえば、俺はこんな生活は出来なかったし、
1冊目側だって、2の奴への協力者が確実に減るのだから、
安全で安心出来たはずだ。
なのに、しないでくれたのだから、俺が監視された事を
恨むのは間違っていると思う。
それに、3冊目が俺を育ててくれた時は、過去に敵対していたとは思えないほどに、
優しかった。もちろん、俺だけにではないが。