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第5章「見え隠れする本質」

「それじゃ、俺はこれで失礼するな。大分、遅い時間まで居させて貰ったしな。」
「うん。でも、私は嬉しかったわよ?十二から、色々聞けて♪
あ、後、今度、十二の後輩達にも会わせてよね♪」
「わかった。あいつらにも、サキのこと話しておくよ。
あんまり、いじめるようなことしないでくれよ?それから、
若い男達だからって、手とか出すなよ?」
「まぁ!十二ってば!私を何だと思ってるのよ!!」

サキは、俺の言葉に少しだけ怒る。けど、すぐに笑顔に戻り、
気持ちのいい声でカラカラした感じで笑う。

「ご心配なく!私には今、大事な彼氏がいるもんね♪
それなのに誰が、十二の後輩達に手を出すもんですか!」
「なら、問題なしだな!」

俺はサキと、お互いの顔を見ながら笑い合った。
サキとの会話は、俺には、いい感じの気分転換の時間になった。
そして、何より、欲しかったモノが手に入った俺にとっては、
今のこの時間は何よりも幸せな時間である。

「早く、自分の部屋に戻って、まずはじっくり観察して、
それから、中身もしっかり読んで・・・
この本をどうしようか、考えるだけでも、幸福だなぁ・・・」

俺は、他人に不審者だと思われないように、ニヤついてしまいそうになるのを必死に耐えて、
二四達の拠点に急いで帰ろうとしていた。
ところが、そんな時に限って、タイミング悪く、声を掛けてきた存在がいた。

「あの・・・いいですか?」
「え?」

俺は、自分に声を掛けてきた人物を見て、驚いた。
その人物は、前にサキの店に居た、あの灰色の短髪のちょっと神経質そうな
細身の男だったからだ。
俺とは、ほとんど面識がないはずなのに、何で声なんか掛けてくるんだ?
しかも、サキの店を出た後で。

「何でしょうか?俺に用事でも?」
「はい。とても大事な話があります。同じ本喰人として。」
「?!」

俺は、サキの彼氏だと思われる男に、衝撃的な事を言われ、
目を丸くした。
同じ本喰人だと?なら、サキとは、人間のフリをして、恋人として付き合っているのか?
俺は、咄嗟に驚いてる場合ではないと、思い直し、いつでも、
戦闘態勢に入れるようにした。
まさか、俺と関りを持つ為に、サキを利用したとかないだろうな?
それでサキに近づいたとかなら、俺は絶対にこいつを許さないぞ。
俺が少し、その男を睨みながらいると、男の方は、俺が敵対心を、持っていることに気付き、
すぐに釈明してくる。

「12冊目。自分は、12冊目の敵じゃない。誤解しないでくれ。」
「そうは言われてもな。最近、8冊目にちょっかい出されてばかりなんでな。
ちょっと、信じられないな。それにお前は何冊目だ?」
「自分は、10冊目だ。6冊目とは友なんだが、6冊目から聞いてないか?」
「何?お前は・・・あの10冊目なのか?」

俺は、まさかこんなところで10冊目に会うと思わず、再度、
驚かされてしまった。
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