第5章「見え隠れする本質」
「いやーやっと念願の・・・あの戦国武将の戦術書を・・・
この俺が手にするのか・・・」
「ふふふ♪十二ったら、本当に嬉しそうね!そんな顔を見るのは、
私も初めてかもしれないわ♪」
俺はサキにからかわれながらも、喜びを隠せずにいた。
これが喜ばずにいられようか・・・俺が日本に初めて来た時から、
恋い焦がれていたものなんだぞ?
あの黒田官兵衛が所持していたと噂される、幻の書。
しかも、俺達、本喰人からすれば、間違いなく、最上級の
「喰べれる」本だ。
人間にはわからないかもしれないが、この匂いだけでも、
俺の食欲はヤバいくらいだ。
サキが同じ本喰人であったのなら、俺はサキの目を気にしないで、
勢いに任せて、その場で食べてさえいたかもしれない。
それだけ、今の俺は、興奮気味だった。
「十二のそんなに喜ぶ顔を見れるなら、今回は私も仕事した甲斐があったってもんだわ♪
それに、お小遣いも更に弾んで貰っちゃったしね♪」
「いや、サキは本当にいい仕事をしてくれたよ!
俺は、もしかしたら200万でも駄目かと、最初は思っていたんだから。
俺が最初にこれに出会った時は、500万とか言われたんだぞ?」
「ああー。あの時は、丁度、古書ブームとか、色々と時代が重なったからねぇ・・・
しかも、ある番組の連続ドラマで、黒田官兵衛が主人公だった話を
やっていたのもあったしねぇ・・・」
サキは俺に、その当時の話を教えてくれた。そうか・・・
そういうので、値段が跳ね上がっていたんだなぁ・・・
今でこそ、そういう情報も大事なのが、俺でもわかるが、
当時の俺では、そんなの考えなかったもんな。
「そー言えば、十二は、まだしばらく大阪にいるみたいだけど、
どこで寝泊まりしてるの?」
「知り合いの家だ。商売仲間でもあるかな?俺の後輩と言うか、
俺達の仕事を教えてやったんだ。それで、大阪に店持つようになってな。」
「あら!じゃー場合によっては商売敵かしら?同じ大阪だし。」
「あはは。あいつらじゃ、サキには勝てないよ。
むしろ敵じゃなくて、俺の後輩だから、優しくしてやって欲しいな。」
「珍しいわねぇ。十二が他人にそこまで優しくするなんて。」
「そうか?」
俺はサキに、そんな風に言われて、意外だった。
俺が誰かに親切にするって、そんなに珍しいのかなぁ?
まぁ、確かに、人間には親切にしたくても、基本は出来ないんだよな。
俺が本喰人でバレるはまずいからなぁ・・・親密な関係にはなれない。
だから、サキみたいな存在は、俺から見ても珍しいのは確かだ。
「十二は、未だに彼女も居ないの?そろそろ、結婚とか考えたら?」
サキはニヤニヤした顔で、俺をからかう。また、その手の話か。
二四達の拠点でも、春まっしぐらなんだから、俺的には勘弁して欲しいんだが。
「俺は、今は女なんかよりも、この本の方が大事だからな。
彼女なんかいらないよ。」
俺は、長年欲しかった、今日、無事に手に入った本を愛しそうに
抱きしめて、サキに向かって言ってやった。
サキは、深い溜息をついて、俺に呆れる。
こんな状況で、彼女なんて作れるわけないんだよなぁ・・・
俺には、ただでさえ、トワって弱味もあるのに・・・
自分の弱点を増やすような真似なんて出来るわけがない。
この俺が手にするのか・・・」
「ふふふ♪十二ったら、本当に嬉しそうね!そんな顔を見るのは、
私も初めてかもしれないわ♪」
俺はサキにからかわれながらも、喜びを隠せずにいた。
これが喜ばずにいられようか・・・俺が日本に初めて来た時から、
恋い焦がれていたものなんだぞ?
あの黒田官兵衛が所持していたと噂される、幻の書。
しかも、俺達、本喰人からすれば、間違いなく、最上級の
「喰べれる」本だ。
人間にはわからないかもしれないが、この匂いだけでも、
俺の食欲はヤバいくらいだ。
サキが同じ本喰人であったのなら、俺はサキの目を気にしないで、
勢いに任せて、その場で食べてさえいたかもしれない。
それだけ、今の俺は、興奮気味だった。
「十二のそんなに喜ぶ顔を見れるなら、今回は私も仕事した甲斐があったってもんだわ♪
それに、お小遣いも更に弾んで貰っちゃったしね♪」
「いや、サキは本当にいい仕事をしてくれたよ!
俺は、もしかしたら200万でも駄目かと、最初は思っていたんだから。
俺が最初にこれに出会った時は、500万とか言われたんだぞ?」
「ああー。あの時は、丁度、古書ブームとか、色々と時代が重なったからねぇ・・・
しかも、ある番組の連続ドラマで、黒田官兵衛が主人公だった話を
やっていたのもあったしねぇ・・・」
サキは俺に、その当時の話を教えてくれた。そうか・・・
そういうので、値段が跳ね上がっていたんだなぁ・・・
今でこそ、そういう情報も大事なのが、俺でもわかるが、
当時の俺では、そんなの考えなかったもんな。
「そー言えば、十二は、まだしばらく大阪にいるみたいだけど、
どこで寝泊まりしてるの?」
「知り合いの家だ。商売仲間でもあるかな?俺の後輩と言うか、
俺達の仕事を教えてやったんだ。それで、大阪に店持つようになってな。」
「あら!じゃー場合によっては商売敵かしら?同じ大阪だし。」
「あはは。あいつらじゃ、サキには勝てないよ。
むしろ敵じゃなくて、俺の後輩だから、優しくしてやって欲しいな。」
「珍しいわねぇ。十二が他人にそこまで優しくするなんて。」
「そうか?」
俺はサキに、そんな風に言われて、意外だった。
俺が誰かに親切にするって、そんなに珍しいのかなぁ?
まぁ、確かに、人間には親切にしたくても、基本は出来ないんだよな。
俺が本喰人でバレるはまずいからなぁ・・・親密な関係にはなれない。
だから、サキみたいな存在は、俺から見ても珍しいのは確かだ。
「十二は、未だに彼女も居ないの?そろそろ、結婚とか考えたら?」
サキはニヤニヤした顔で、俺をからかう。また、その手の話か。
二四達の拠点でも、春まっしぐらなんだから、俺的には勘弁して欲しいんだが。
「俺は、今は女なんかよりも、この本の方が大事だからな。
彼女なんかいらないよ。」
俺は、長年欲しかった、今日、無事に手に入った本を愛しそうに
抱きしめて、サキに向かって言ってやった。
サキは、深い溜息をついて、俺に呆れる。
こんな状況で、彼女なんて作れるわけないんだよなぁ・・・
俺には、ただでさえ、トワって弱味もあるのに・・・
自分の弱点を増やすような真似なんて出来るわけがない。