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第5章「見え隠れする本質」

次の日の朝に、俺とトワは、まず最初に、セアから頼まれた使いをしに、
車で銀座に向かった。
昨日、トワが言っていたように、お店の雰囲気はとても良く、優雅で上品な店だった。
サービス面でもしっかりしているのが、スーツに素人な俺でもわかる。
それから、俺はスーツを引き取る前に、俺のスーツも作るように、
セアから聞いていると言われ、
断る間もなく、店長に対応されて、俺のスーツを作る為のサイズなんかを
上手に聞き出されてしまった。トワは、何故だが嬉しそうに、
俺のスーツについて、俺よりも店の人に聞いていたくらいだ。

「あのなートワ。」
「何?」

俺達は、セアに頼まれて行った、オーダーメイド出来るスーツ店から、
無事にスーツを引き取り、車で大阪に向かう途中だった。

「俺の分のスーツは断ろうと思っていたのに・・・お前ときたら・・・」
「えー?何で断るの?せっかく、セアお姉ちゃん、もといキュアートお姉様が
十二のスーツも作ってくれるって言うなら、作って貰えばいいのに?」

トワは俺に向かって不思議そうな顔をする。断る理由があるのかと。
まぁ・・・トワからすれば、セアとキュアートの善意を断る理由なんてないと思うよな。
俺だって、あんな夢を見なければ、素直にご厚意に甘えたいところだったが、
今となっては、少し複雑な気分になってしまっていた。
スーツ1着くらいで、俺が何かにハメられることはないとは思うが、
それでも、最悪、キュアートが敵だったらと思うとな・・・。

「俺だって男だからな。なんでもかんでも、キュアートに
甘えてばっかりじゃいられないってことだ。
俺にだって、プライドはあるんだ、プライドが・・・」
「何それ?変なの・・・」

トワは、後部座席から、俺の回答に不服そうな顔をし、ドスっと
音を立てて、後部座席に深く座り直し、携帯をいじり出した。
それから、しばらく不機嫌そうにしたまま、俺達は、車で大阪に向かう事になった。
俺は車を運転しながら、今後の事を考える。
まず、師匠の修行は最後まで受けようと思った。仮に今後、師匠が敵になろうとも、
今の師匠の現状を俺はしっかりと知っておく必要があると思ったのだ。
それに、やっぱりあの夢だけで、師匠やキュアートが敵かも
しれないと決めつけて、対応するには早急すぎるしな・・・
俺は、まず自分自身が強くならなければ、話にならないと思った。
二四達の事も、今後の対応次第で、決めればいい。
今は、俺は大人しくしていよう。トワさえ、無事でいるなら、
俺はこれ以上は表立ったことはするべきでないと、結論を出した。

「次に師匠との修行を再開させたら、7日間の断食か・・・」

俺は、あの断食を始めてから、自分の中で起きた変化についても、
考えてみた。
あの断食をしなければ、俺は、今回の事のようになりはしなかっただろう。
断食をすると言う事が、俺の中で何かの鍵になっているような気さえする。
次に7日間の断食をすることで、俺はまた何かを夢の中で、
知ることになるのだろうか・・・
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