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第5章「見え隠れする本質」

トワに鍵を渡し、その鍵の説明をした次の日。
俺はその日は、1日中、外出するとトワに言って、外出していた。
トワの方は、俺から渡された鍵の件があってか、いつもなら、
何処に行くの?とか、しつこく聞いて来たリ、場合によっては、
一緒に行く!みたいに言ってくることもあったが、
昨日で、何かを悟ったのか、今日は素直に俺を送り出した。
トワとしては、今日は俺と一緒に居るのが気まずいのもあるのかもしれないな。
それならそれで、俺には好都合であるんだが。

「よし!今日のうちに、やれるだけ用意出来そうなことはしてしまうか!」

俺は、自分が考えていた事で出来そうなことは、どんどんやっていった。
時間は、俺が思っていたよりも、すぐに過ぎていき、
俺は夜になって家に帰ってきた。

「おかえりなさい、十二。」
「ああ、ただいま、トワ。」
「あのね、今日、セアお姉ちゃんから連絡があってね?」
「おう。何だって?」
「明日、こっちにまた来る時に、スーツの引き取りを忘れないでね!だってさ!」
「あー。そうだった、その話があったな・・・」

俺は、帰ってきて、早々にトワに言われて、セアに使いを
頼まれていたことを思い出した。

「それにしても、セアお姉ちゃんも凄いね!」
「うん?何が凄いんだ?」
「だって!十二に取りに行って欲しいってスーツがあるお店は、
銀座だよ!銀座!
しかも、本店らしくて、サービスもかなり良いみたいだよ!」
「へぇーそうなのか・・・じゃあ、引き取りに行く際にも、
俺も、変な恰好出来ないな・・・」
「だよーだよー!だから、私が昨日、こっそり十二にも、スーツ買ったんだ♪」
「へ?」

俺は、トワの言葉に驚き、トワが、いそいそとスーツを持って来て、俺に見せた。

「ちょ・・・お前、これを俺に明日着ていけと?」
「何で?カッコいいでしょ?」
「そりゃ・・・スーツそのものはカッコいいかもしれないが・・・」

俺は、トワが俺の為に買ってくれたと言う、スーツを見て、戸惑った。
カッコいいのは、カッコいいと俺も思うのは思う。
だが、自分に似合うかとなると話は別だ。
それに、どうみても・・・これは・・・

「トワ、お前・・・最近、漫画だか、アニメだか知らんが・・・
ヤクザものの話にハマってるだろう?」
「え?!べ、別に!そんなことないよ!!」

俺が、少しトワを睨むと、トワは隠すようにしているが、動揺していた。
全く。トワが隠そうしても、俺にはわかるっつの。

「トワには悪いが、このスーツは俺は明日、着ないからな?」
「えええ?!何で!せっかく、トワが買ってあげたのに!!!」
「お前な・・・俺は別に、セアのお使いで銀座にあるスーツの店に、行くだけで、
どこぞの組にカチコミしに行くわけじゃないんだぞ?」
「むぅ・・・十二なら、きっと似合うと思ったのに・・・
龍の恰好・・・」

トワは口を尖らせて、残念がる。やっぱり、そう言う事だったか。
全く、トワは何を考えているのやら。それに、どこのヤクザの話の龍だよ・・・
俺は呆れて、トワに何も言えなくなってしまった。
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