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第5章「見え隠れする本質」

俺とトワは、各自にやりたいことをして、今日は過ごした。
時々、トワが外出した隙に、俺はトワに見られたらマズイ作業をしたりした。

「トワ。ちょっと来てくれ、話がある。」
「ん?何?」

トワは俺の呼びかけに応じて、すぐに俺の側に来る。
俺達は向かい合うようにして座り、俺はトワにある鍵を3本渡す。

「鍵?しかも3本も?」
「ああ、ここから大事な話だから、しっかり聞けよ?」
「え?あ、うん。」

俺がいつになく真剣な顔なので、トワは変に茶化すこともなく、
素直に聞こうとしている。

「まず、こっちの鍵が新しくした玄関の鍵な?」
「玄関の鍵を新しくしたの?」
「そうだ。でも、ただ新しくしただけじゃない、この鍵はトワにしか使えないようにした。
だから、ゴートン達に渡して、開けさせようとしたりするなよ?」
「え?何で?」
「今後の事を考えての事だよ。敵は今後は、もっと卑怯な手を使ってくるかもしれない。
ゴートン達の誰かの姿になりすまして、お前を騙そうとするかもしれない。
いや、ゴートン達本人が、騙されたり、支配されて、俺達の拠点に忍び込んでくる可能性もある。
まずは、その対策の為だ。だから、トワにしか使えないようにしたんだよ。」
「な、なるほどね・・・でも、もしゴートン達が使ってしまったら、どーなるの?」
「死にはしないが、身体が、かなりヤバい状態で麻痺するだろうな。
1日は何も出来ないはずだ。そうなれば、いざって時には、トワも逃げられるだろ?」
「う、うん・・・ちょっとやりすぎじゃない?って思っちゃうけどね・・・」
「今は、これくらいでもいいんだよ。2の奴とのことが、収まれば、
戻す気ではいるからな。」
「そっか、わかったわ。で、次の鍵は?」
「こっちの鍵は、セーフルームの鍵だ。これも鍵を変えたし、
部屋の中も少し替えた。
後で確認して、わからないことがあったら、すぐに俺に聞け。」
「え?!今日で、その部屋も替えたの?!」
「やれることはしたかったからな。今日で替えておいた。
後は、トワも自分で必要な物があるなら足しておくんだぞ?」
「わかった。でも、なんか、明日にでも戦争でもするんじゃないの?ってくらいの勢いだね・・・」
「それはしょうがないな。俺達が相手にしようとしてるのは、
あの8冊目と2の奴だからな。」
「そんなに・・・手強くて、怖い存在なんだねぇ・・・
十二がここまで、慎重に準備するくらいだもん・・・」
「まぁな。それに、トワがそこまで大事だって言うのもあるけどな。」

俺が、ついそう言うと、トワは顔を真っ赤にした。
俺は、あ、しまったと思ったが、遅かった。けど、この言葉は
嘘ではない。
トワと言う存在は、俺にとって、もう弱点とも言える。
だから、トワが人質に取られるとか、更に最悪の場合になったら、
俺は、どんな行動に出るか、俺自身も正直わからない。
冷静でいようとするとは思うが、それも絶対じゃないだろうからな。
なら、出来ることは可能な限りにトワの安全性を高めるだけだ。
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