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第5章「見え隠れする本質」

「ただいま・・・36冊目。ごめん。少し留守番させるのが長くなったな。」

俺は、トワと本拠地に帰ってきて、トワとある程度の会話をした後に、
すぐに自分の寝室に行き、ベッドの横のテーブルに置いてある箱の中の
36冊目の身体の一部に話しかけた。
もちろん、返事などあるはずもないし、何かが起こるわけでもない。
それはわかってるのに、どうしてだか、俺は何かを期待して、
ガッカリしてしまう。
二四みたいに、13冊目の愛蔵本みたいなことがあったから、
俺も何かそうしたものを期待してしまったのかもしれない。
いつもの俺なら、そんなことを期待したりはしないのだが、
久しぶりに見た、あの悪夢は、それだけ俺を変にさせたようだ。

「36冊目・・・久しぶりに、お前を失った時の、あの悲劇を夢で思い出してしまったよ。
18から、お前を取り戻した時には、もう、あの嫌な記憶は、
思い出さずに済むと思ったんだけどな。」

俺は、36冊目の入ってる箱を大事に手に取り、箱を、何故だか撫でていた。

「今は、まだお前に何もしてやれてない、情けない俺を許してくれ。
いつか・・・5冊目に、絶対にお前の回復を願うから。
何年、いや何百年掛かってもいい。絶対に俺はやる。
お前の回復が叶うその時まで。でも、その前にしなきゃいけないことがあるんだ。
2の奴達と、決着をつけなきゃいけないかもしれない。
その為には、俺はまだまだ強くならなきゃだからさ。
それまでは、どうか、もう少しだけ待ってくれ・・・36。」

俺は自分の気持ちを36冊目に伝え、また箱を大事に元の場所に戻した。
そして、軽い疲れから、自分のベッドに横になったら、すぐに寝てしまいそうになる。
また、悪夢を見るかもしれないから、寝るのは不安だったのだが、
今は、自分の拠点に居て、36冊目の元に帰ってきた安心感の方が勝ったようだ。
トワと今日、巡った東京駅内の光景を軽く思い出す。

「36冊目としたかったことは、きっと、あんな感じかもしれないな。
それをもっと場所を広くして・・・世界中で・・・」

世界の各地を巡り、世界中の気になる本を食べながら、
36冊目の楽しそうな顔が俺には思い浮かぶ。
トワみたいに、あんなにはしゃいだりするのだろうか・・・?
もしかしたら・・・いつかは師匠とセアみたいに、俺も・・・
俺は、色んな想像を膨らましているうちに、寝てしまっていた。
この調子なら、悪夢は見ないで済みそうだ。
俺は、また深い深い眠りに落ちていった。
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