第5章「見え隠れする本質」

「おいおい?しっかり味わって喰えよ?美味しいか?お仲間の味はよ?感想言ってみな?」
「ゆ、ゆるしてくれぇええ、喰えない!俺は仲間を喰えない!!
だから、12!ゆるし・・・ぐほっ?!!」

18は泣き叫びながら、俺に許しを請う。だが、俺はそれを決して許しはしない。
この俺から、大事な36冊目を奪ったのだ。こんなのは、復讐にしても序の口だ。
すぐに殺してなるものか。そんなつまんないことはさせない。
俺は、18の口に容赦なく、19と20の本を食べさせようとし続ける。

「好き嫌いしてんじゃねぇよ?36冊目は、食べれたのに、
19と20は無理ってどういうことだ?あ?
そんなあまっちょろい覚悟で、てめぇ、共喰いしたのか?
てめぇの為に、死んだ19と20に悪いって気持ちはないのか?
ええ?喰う為に奪った命は粗末にしちゃいけませんって、
3冊目先生から、教わらなかったか?なぁ???
18「ちゃん」よ?」

俺は、どんどん自分が、俺で無くなっていく感覚で、この夢を見ていた。
こんなのは、俺じゃない。俺は、いくら18が憎いからって、
俺が自分で進んで、共喰いをさせようとするわけがない。
こんなのは、悪夢の更に悪夢だ。
俺は、早くこんな悪夢は目覚めてくれと叫びそうになった。
そこに、騒ぎを駆けつけた、3冊目と他の本喰人が、
俺を取り押さえ、俺は意識を失った。俺は、自分の背後に誰だか、
わからない本喰人に気絶させられたようだった。
そして、やっと悪夢から解放され、目を覚ました俺は、
トイレに駆け込み、吐き出した。
凄まじい残酷な光景に、3日間何も食べていないのに、
俺は吐き出さずにはいられなかった。
俺が苦しそうにしてる所へ、師匠がすぐに気づき、俺を、再度、
自分の部屋に戻れるように、協力してくれる。

「ど、どうしたのだ?十二?何があった?」
「そ、それが・・・俺も・・・凄く嫌な悪夢を見たとしか・・・」

俺は、今さっきまで見ていたはずの夢の内容が、
急に思い出せなくなり、師匠にどんな夢だったのかを説明出来なくなってしまった。
絶対に師匠に言うべき内容の夢だったはずなのに・・・

「断食をすると、それもまた命の危機に繋がるからな。
もしかしたら、十二は、それで何か過去のトラウマを夢で、
思い出してしまったのかもしれんな。」
「そう・・・みたいですね。」

俺は師匠に冷静に言われ、自分を取り戻した。けど、それでも、
胸に棘でも刺さったような痛みが消えない。
夢の中での出来事だったはずなのに、現実でも何かの感触が
手に残っている気さえする。
36冊目が亡くなった、悪夢を見たことなのは覚えているのに・・・
その先を見たはずなのに、覚えていないとは。
俺は、何か、とてつもなく、嫌な予感に駆られる。
悪夢なら、忘れてしまいたいはずなのに、俺は、心のどこかで、
忘れたら駄目だと、警告しているのだ。
こんな気持ち悪い感覚を経験したのは、俺も初めで、
どうしたらいいのか、俺自身も混乱する。
3日の断食で、こんな状態になる俺は、7日の断食なんて、
本当に出来るのだろうか?俺はますます不安が強くなった。
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