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第5章「見え隠れする本質」

18の奴は、右手で36冊目の首を強引に掴み、空に向かい持ち上げた。
36冊目は苦しそうな声を上げながら、首ごと身体を持ち上げられ、
地面に足がつかない状態にされる。

「じゃあ、いいんだな?お前の命を俺様に寄越すってことで?」
「そうね・・・いいわ。それで・・・12ちゃんを・・・
見逃して・・・くれるのなら・・・」
「そうかよ、じゃあな!」

18が最後にそう言うと、嫌な音が響き渡る。何かの太い骨が折れる音だ。
バキ!ボキ!と聞こえたかと思うと、36冊目はぐったりとして、
まるで糸が切れた操り人形の様になった。
俺は、すぐに悟った。18の奴は、36冊目の首の骨を折ったのだと。

「あ・・・あ・・・あああああああああ????!!!!!」

俺はその光景を見て、情けない声を上げた。目に光を無くした、
36冊目の無残な死体。
それを嬉しそうに掲げる18の奴の憎らしい笑顔。
そして、18の奴は俺に追い打ちをかけるように、36冊目の心臓にあたる部分、
俺達本喰人にとって、核になる、本を、狂気じみた笑い声で、
残酷に引き抜き、ズタボロになった俺に向かって言う。

「これで、二度と36ちゃんと会う事も出来ないな?な?12冊目?」

何よりも嬉しそうな顔で、俺に告げた後で、18は、俺の目の前で、
36冊目の本体である、本を何よりも美味しそうに喰べて見せた。
そう、これは久しぶりに見た、あの過去の悪夢だった。
いつもなら、ここで俺は、酷く汗を掻き、動機も激しくなった中で、
目を覚ますのだが、今回の悪夢は違った。
俺は、あの悪夢の続きを、まだ見ている。

「情けねぇーな・・・これが今の俺かよ・・・こんな平凡な中巻クラスの本に、
タコ殴りにされただけで、このザマとか、笑うに笑えねぇーわ。」
「?!」

俺は、さっきまでズタボロにされ、痛みでろくに動けないはずなのに、平然と立ち上がり、
18の奴を見下していた。これには、あんなに俺に勝ち誇っていた、
18の奴も驚いた顔をして俺を見ていた。

「胸糞悪。そんな事したくらいで、俺に勝ったとか思ってんのか?え?
まじでくだらねぇーな。共喰いしたくらいで、偉そうにしてんじゃねぇよ。
屑本がよ。気持ちわりーんだよーてめぇの笑顔はよ。」
「な、なんだお前?!12・・・なのか?!」

あまりにも口調と態度が違う、俺に18は動揺している。
俺は、それが可笑しくなって笑う。
あんなにさっきまで、俺に勝ち誇っていた奴の態度だとは思えないと。

「あはははーなんだよ、その間抜け面はよ?12冊目に見えないなら、
俺は何だって言うんだ?言ってみろよ?」

俺は、有り得ないスピードで18の奴の顔の前に行くと、
血まみれの自分の顔を近づけて、不敵に笑い、18を見た。

「ほら?この顔は12冊目だろ?しっかり見てみろ?」
「ち、近寄るんじゃねぇええええ!!!」

18は俺の行動に、何か恐怖を感じたのか、いきなり俺を払い除けようする。
しかし、俺は、また早いスピードで、18から離れ、
ついでに36冊目の身体を抱きかかえていた。

「なんて因果なんだろうな?俺なんかに関わらなければ死なずにすんだのに。
これで安らかに眠りな・・・」

俺は自分でも知らない能力で、18から取り戻した、36冊目の身体の部分を、
躊躇う事なく、一気に火葬していた。これには、更に18が驚愕する。
それから、この光景を少し離れた場所で見ていた、19と20が、
俺の異変に、恐怖していた。
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