第5章「見え隠れする本質」

「何でだ?トワはキュアートのとこに行くのは嫌なのか?
キュアートとは仲がいいだろう?お姉様呼びしてる癖に。」
「べ、別に嫌ってわけじゃないけどさ!ただ、聞いてみただけもん!」
「そうか?その割には、何か言いたそうにしてるからな。」
「気になったことがあったんだもん・・・」
「気になったこと?なら、遠慮なく聞け。気になったままは、
気持ち悪いだろう?気分的に。」
「うん・・・じゃあ、聞くんだけどさ。特殊小冊子って、絶対に、
本喰人の誰かの眷属にならなきゃいけないの?」
「へ?」

俺は意外な話をされて、目を丸くしてしまった。こんな質問されるとは思わなかったなぁ。

「うーん。つまりは野良の特殊小冊子か・・・どうなんだろうなぁー」
「十二が悩むほど、そんなに珍しいものなの?」
「さっきも話したが、基本は、特殊小冊子は本喰人の近くで誕生する。
じゃないと、生まれたては、赤ちゃんで何も知らないわけだからな。
ご飯の食べ方とかだって、ろくに知らないで、1冊だけで生きていくのは無理だ。
それに、性格の悪い本喰人に見つかれば喰われる恐れもある。
トワだって、俺がいなかったら、ここまで生きていけたかと思うか?」
「うーん、確かに厳しいよね・・・と言うか無理だね。」
「だろ?」
「でもさ!でもさ!成長してから、眷属とか辞めたらどう?」
「まぁ・・・そうすれば、可能ではあるが・・・
けど、そこまで育ててから、眷属を辞めさせると言うのも、
俺は聞いたことがないなぁ・・・」

俺は、トワの質問に悩む。俺だって、全ての本喰人の眷属を、
知っているわけではない。
もしかしたら、トワが言うような、野良の特殊小冊子だって、いないとは言い切れない。
何かの事情で、親たる存在の本喰人がいなくなれば、確かに、
眷属から解放されて野良の特殊小冊子になりはするだろうが、
そうすれば、ここぞとばかりに別の本喰人が色々な意味で、
狙うことは必然だろう。
育っていれば、いるほど、便利だろうからなぁ・・・どう扱うにしても。
けど、眷属を大事にしてる本喰人は、そうならないように、
前もって対策もするだろうしなぁ・・・

「と、言うか、トワは何でそんなことを気にするんだ?」

俺は、気になり、トワに質問で返した。すると・・・

「だって・・・十二に何かあったら、すぐにキュアートお姉様のとこの眷属に
なればいいみたいな、流れが、私はなんか・・・
我が儘を言っているのは、わかってるけど、なんか嫌だったんだもん・・・」
「トワ・・・お前、そんな事を思ってたのか・・・」
「別に、すぐにキュアートお姉様の眷属になる必要はないんだよね?
私は、今後、もし本当に十二に何かがあったと確信するまでは、
誰の眷属にもなりたくないよ?いいよね?」
「ふぅ。お前は、本当、我が儘だな。俺の心配も無視して。」

俺は、なんかフッと笑ってしまった。親の心、子知らずとは、
きっとこの事を言うんだろうな。
トワには、不幸になって欲しくないから、キュアートに任せようと思ったのに。
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