このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第5章「見え隠れする本質」

俺はトワの話には悩むことになった。正直、今のこの断食中に、
その手の話したくないな。
変に話がこじれると、トワと喧嘩になりそうで怖い。
いつもの喧嘩になったのなら、俺が最後は折れてやれるが、
今の俺がそれを出来るかは、正直不安だ。

「十二は、私が戦えるようになるのは、嫌?」
「うーん・・・嫌とかではないが・・・」
「なら、いつかは戦い方を教えてくれるんだよね?」
「まぁ、自分の身を守ることは出来ないとしょうがないからな。
でも、戦う術と言うか、俺の場合は、逃げる術になるそうだけどな。」
「逃げる術?」
「ああ、何も敵と戦うだけがすべてじゃないさ。必要上に戦わないのも立派な戦術だからな。」
「そういうものなの?」

トワは、不思議そうな顔で俺を見る。馬鹿正直に正面から戦えば、
良いってものでもないからな。戦いって言うのは。
それは、過去の歴史でも散々証明されている。

「とりあえず、今は俺は自分の修行もあるから、すぐにトワに
何か戦う術と言うか教えるのは無理だ。それはわかってくれるか?」

俺はトワと喧嘩にならないように、前もって釘を刺した。
トワは俺の言葉を聞いて、素直に頷いてくれた。
ああ、良かった。これで、ひとまずは喧嘩はしないで済みそうか?
俺も、イライラはしたくないからな・・・

「それじゃあさ、今の私で出来ることないかな?
十二に、今後教えて貰う前に出来ることって言うか?」
「そうだな・・・ちょっと待ってろ・・・」

俺は、メモに、トワに読んでおいて貰いたい本などを書いた。
後、出来るなら食べて欲しいジャンルの本も。
うぅ・・・ちょっとこういうのを書くだけでも、腹が減るな・・・
けど、トワの手前、カッコ悪い姿は見せられない。

「俺が読んでおいて貰いたい本とか、今後食べて貰いたいジャンルの本とか書いておいた。
無理に強制はしないが、出来ることならしてくれ。いいか?」
「うん!わかった♪私、頑張ってみる!!」

トワは嬉しそうに俺からメモを受け取った。
俺は、本当にトワには弱くなったな。キュアートが10冊も、
眷属を自分の子の様に可愛がる気持ちが、今の俺なら、少しは理解出来る。
素直に俺の話を聞くトワは、正直、可愛いからな。
もっと年月が経てば、俺もトワを娘の様に思うんだろうな。
でも、俺がそう思う前には、トワはゴートンとか、他の本喰人と、
いい仲になるかもしれないか?
そしたら、俺はどんな気持ちになるんだろうな・・・
お前の様な男に娘はやれん!みたいな、あんな父親の気分になるのか?
うーん・・・ちょっと、想像出来きないな。流石に今は。

「十二!有難う!このメモに書かれた、本に、私挑戦するね!」
「ああ、そうしろ。トワ。」
「あ・・・でさ、最後に何だけどさ・・・」
「うん?どうした?」
「もしもだよ?もしも、十二が、何かあった時って、私は、
キュアートお姉様に、「引渡」されちゃうの?」

トワは何かを探るように俺の顔を見る。
まぁ・・・過去にもキュアートに頼れって散々言ったしな。
俺は、最悪はキュアートに頼るのが一番最善だと思ってるが、
もしかして、トワは嫌なのか?
9/41ページ
スキ