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第5章「見え隠れする本質」

「あれってそう言う事だったんだ・・・ふーん。」

トワも俺が言った言葉で、ゴートンを見る。過去の事をトワも、
思い出したのだろう。ゴートンを見る目が据わっている。
そんなトワの視線に耐えられないのか、ゴートンは気まずそうにしながら、
必死にトワに弁解している。これは、少し冗談がきつかったか?

「許してよートワちゃん!あの時の僕は、長年ぶりに女の子の本と会ったから、
興奮しちゃってさ!運命だ!って自分だけで
舞い上がっちゃったのは悪かったと思うよ!
けど、本当に悪気があったわけじゃないんだってば!」
「ごーちゃん・・・あの大事な時に、トワちゃんに
ナンパしたって、本当だったんだねぇ・・・」
「な!にっちゃんまで、そんな目で見ないでよー!!」

ゴートンは被害が拡大し、二四にまで、ドン引きされて、1冊で、
テンパり出している。
悪いが、俺は同情はしないからな。これも経験だ。今後、2度と
あんなヘマしない為にもな。

「ええい!全く、ゴートン!お前と言う奴は!女性であったら、
見境なくナンパとやらをしていたのか!何て恥ずかしい本だ!」
「うふふ、そうね♪ゴートンは、六ちゃんを見習うべきね♪
ね?六ちゃん♥」
「こ、こら!セア殿!こんな場所で、破廉恥な事はやめなさい!」

ゴートンのチャラ男ぶりに怒った師匠であったが、セアがここぞとばかりに、
師匠の腕に甘え、師匠がたじろぐ。
なんだこの流れは・・・?俺はつい唖然としてしまった。
四四も、意外な師匠の姿に内心では驚いているようだ。
あーあー、そうだ、四四には、ちゃんと教えてなかったな。
俺が教えてなくても、トワ辺りが言ってると思ったんだが、
今度裏で、師匠とセアの事を教えておくべきだな。

「こほん!と、とにかくだ!十二!他にも教えることがあるのではないか?」

師匠は顔を真っ赤にしながらも、咳をして、少し怒り気味で、
俺に眷属の話をしろと促してくる。
結局、俺が師匠に恨まれる結果になってしまったではないか。
余計な事を言わなきゃ良かったな・・・これでは。
ま、もう後の祭りだけど・・・。
俺は、溜息をつきながらも、他のことをトワに教える為に
会話を再開する。

「後はそうだな。眷属を持てる冊数だが、大体5冊前後と言われている。
後は、その本喰人の能力とか、素質があるから、絶対とは言えないが、
例外があるとするなら、キュアートだろうな。」
「え?あのキュアートお姉様?」
「おう。そのキュアートだ。キュアートは、眷属を自分の子と思って大事にしているくらいだ。
それだけの信頼関係もあるから、キュアートは眷属を無理に縛ったりする必要がほとんどない。
そのおかげで、多分今は8冊くらいの眷属達(こどもたち)が、
いるはずだぞ。」
「十二。8冊じゃないわ、今は、お母様は10冊の眷属の子達がいるわ。」
「ま、まじか?!セア!」
「ええ、間違いないわ。私は結構上の方のお母様の子ですもの。
弟や妹を数え間違えるわけないわ。」

セアは誇らしげに、俺に言う。しかし、本当にキュアートは凄いな。
俺なんかトワだけで精一杯なのに。10冊も眷属がいるとは。
流石の師匠も感心した顔で、セアの話を聞いていた。
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