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第5章「見え隠れする本質」

俺達は、あの事件の後もまだ二四達の拠点に居ながら、引き続き、
俺は師匠の修行に参加していた。
二四に続き、ゴートンの成長を見たいのもあったし、何より、
俺自身は、まだ師匠の修行で大きな成果が出ていなかったのもあり、
身が引き締まる思いだった。
二四とゴートンが、俺と同じくらいの歳の見た目になったこともあり、師匠の修行も
どんどんハードなものになる。
きっと師匠もかなり嬉しいのだろうと俺は思う。
短い期間で、きつい修行になるだろうと、師匠が言い、その為に、
どれだけの成果が期待出来るかを、一番心配してたのは、
やっぱり俺よりも師匠の方だったからな。
師匠からすれば、教えておいて、何も成果が出ないのでは、
師匠としてのプライドも許さないだろうしな・・・

「うむ。やっと、最近のお前達は、まともな修行が出来るようになったな。」
「こ・・・これで、まともなんだ・・・」
「何だ?ゴートン?これでは不満か?」
「いえ!何でもないです!六師匠!」
「全く、お前はやっと成長したかと思ったのに、今だに、油断すると昔の甘え癖が出るな。
ま、ここまでくると、それがお前の個性でもあるかもしれん。
と、それはよいとしてだ。
今後の修行の内容だが、今後は、拙者が良いと言うまで、食事なしで日々を過ごせ。
もちろん、修行は今よりきつく目になるぞ?いいな?」

俺は、師匠の言葉を聞いて、とうとうこの段階にきたかと思う。
この段階にくるのは、俺も一度しかない。
俺達、本喰人は、人間と違い、3日以上、飲み食いしなくても平気だ。
師匠みたいに日々、修行で鍛えていれば、1か月くらい食べなくても平気だろう。
更に、本喰人の能力を使えば、もっと日にちを伸ばせるかもしれない。
俺も、最長どれだけ日にちを伸ばせるのかは知らないが、
もしかしたら数百年、平気な奴もいるかもしれないな。
それはそれで、本喰人の俺達からすれば、魅力的なことだ。
敵の目を長期、逃れるには、完全な本の姿になって、どこかに身を潜めるのが一番だからな。
5冊目あたりは、この戦法で、ローマに隠れ潜んでいるに違いない。
姿さえ現さなければ、たとえローマにいるのは、わかっていても、探し出すのは困難だ。
ローマ中の本を全部探すなんて、俺だってしたくないしな。
それに、大規模に探されてることが分かれば、別のとこに逃亡する可能性も十分にある。
5冊目の貴重な能力のことを考えれば、無理に探そうとして、
嫌われるのはむしろ損だ。
だからこそ、会いたくても、なかなか会えないのが辛いとこだが。

「食事なしでの、修行ですか・・・辛そうですね。」
「ね・・・きっと辛いよね・・・」

二四とゴートンは、不安そうな顔をして、お互いを見ている。
まぁ、確かにこんな修行を二四やゴートンはしたことないだろうからなぁ。
本喰人の俺達にダイエットとか健康とかで痩せる必要もないし。
むしろ、敵と戦う事に備えて、「喰べる」方が基本だからな。
それに、「喰べる」事を我慢しすぎると、俺達には良くないこともある。
それは、暴走しかねないことだ。極限状態で、空腹が続けば、
俺達だって、共食いをし合う可能性だってなくはないのだから。
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