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第4章「蠢く敵の影」

「二四、悪いんだけど、ここからは僕だけで戦わせてくれないかな?」
「ゴートン?!本気か?今まで一緒に戦ってきて、あの強さだぞ?」

僕の提案に、二四は心配そうに言う。そうだよね。僕も逆の立場なら、凄く心配すると思う。
けど、これは僕の考えがあるからこそ、提案しているのだ。
決して投げやりとか闇雲にではない。

「二四。僕は本気だよ。僕もさ、もっと強くならなきゃなんだよ。
二四が、13冊目の愛蔵本で格段に強くなったようにさ。」
「ゴートン・・・けど・・・」
「大丈夫!少しだけでもいい!だから、僕だけでやらせて!お願い!」

僕は二四に真剣に頼み込んだ。二四は、僕を信じて、頷いてくれた。
もっと強くなりたいと言う、僕の気持ちがしっかり通じたみたいだ。

「ゴートン。見守りはするけど、最悪の場合は助けに入るからね?
それだけは、許してよ?」
「うん!その時は、お願いするよ・・・」

僕は二四の顔を見て、少し照れ笑いをしてしまった。
仲間がいるって、親友がいるって言うのは、こんなに心強いものなのに、
8冊目の眷属達は、それを知らないなんて、可哀想だ。
8冊目の考え方の所為で、それを知る機会もないなんて。

「おや?50冊目は何か思いついたみたいだね?今度は1冊だけで、
私の眷属と戦う気みたいだし。何だろう?楽しみだね。」

僕は、8冊目の言葉を無視して、意識を集中した。
まずは、まともに戦わずに、ワンの側に寄らなければ。

「何もない、水の上を姿の見えない「何か」が歩く・・・
主人公は感じる。肉眼には見えないのに、「何か」がいると。」

僕は能力の本の一部を言葉にして言う。そうして、自分の身を
透明にし、敵の目を撹乱する。
それから、急いで、ワンの側に駆け寄った。

「ほう。自分を透明化させますか。いい能力をお持ちのようだ。
さてさて、どこから攻撃してくるのやら?」

8冊目は楽しそうな声で、僕の次の行動を楽しみにしている。
こいつは、本当に救いようがない。ワンの方は、こんなにも痛々しい身体になり、
それでも、何も言う事が出来ない状態にされているのに。
僕は、ワンの側に寄ることが出来て、次に、試したかった
能力を使う事にした。

「あらゆる束縛は、その時、やっと解き放たれたのだ。
彼が願った「終焉」によって・・・」
「?!」

僕の声が側で聞こえて、ワンの身体を乗っ取った8冊目は、
驚いたみたいだった。
そして、僕の能力を使った言葉を聞いて、更に驚愕している。

「まさか・・・そんな能力を、この場で使おうとするとは、
これは、脅威ですね。
2冊目様に・・・急ぎ・・・報告・・・s」

ワンの身体を乗っ取った8冊目は最後まで、会話することが
出来ずに、ワンの身体から出て行くことになった。
ワンは、僕の能力で、8冊目の呪縛から解放されたのだ。
ただ、本としては、終焉を迎えると言う形で・・・。
それはすなわち、ワンは僕の能力を受け入れてくれたと言う事になる。
8冊目の束縛から、解き放たれるには、自分の「死」を、
受け入れるしかないと言う事を。
僕は、これ以上戦って、ワンがズタボロになるのを見たくなかった。
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