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第4章「蠢く敵の影」

僕達がワンと戦ってる中、トゥリーもトゥーもただ見ているだけだった。
トゥーは僕が拘束しているから、助けに来れないのはわかっているが、
トゥリーは、全然動けるのに、ワンと一緒に戦おうともしない。
表情もいつもの無表情で、まるで態度は、他人事のようだ。

「トゥリーってやつは、8冊目から、次の命令があるまでは、
僕達と戦う気はないらしいね。」
「そのようだね。それなら、それで私達には有難いけどね。でも、油断は出来ないけど。」
「うん。けど、あいつも一緒になって動き出す前に、ワンを何とかしないとだね。」

僕は、息切れしそうになるのを我慢しながら、二四と相談する。
ワンは、確かに強い能力を使ってきて、厄介ではあったが、
代わりに身体はボロボロになってきていた。
ワンは、攻撃はするが、防御はほとんどしないのだ。だから、僕や二四の
攻撃を直に食らっている。
その上で、強力な能力を使う事による副作用で、思ったよりも、
身体にダメージが大きいのが見受けられた。
8冊目の言葉通りに、死ぬ気で戦いにきているようだ。
だが、8冊目の身体でなく、ワンの身体を使ってだけど。
そこに、僕は、激しく憎しみを覚える。こんな酷い戦い方を
よく考えつくものだ。
自分の身体でないのなら、いくらだって無理出来るに決まってる。
と言うか・・・そうなると、ワンだけじゃなく、
トゥーもトゥリーにも同じことが出来るってことか?!
ますます、最悪でしかないじゃないか・・・

「あれれ?もしかして、こいつらに同情とかしてる?
そういうのは止めた方がいいよ。攻撃が鈍るからね。
それに、特殊小冊子なんて存在は、物珍しいものじゃないしさ。
本喰人の私達が、同情するとかお門違いだよ。
こいつらの存在は使い捨てで十分。」

ワンの口から聞こえる、8冊目の声は、明るいのに、言ってることは残酷そのものだった。
8冊目の考え方は自由だけど、それを本喰人が全員そうであるように言うな。
僕は、トワちゃんをそんな風に見たりなんてしない。
十二先輩や、キュアート様だって、自分達の眷属を大事にしてる。
二四も、僕と同じ気持ちなんだろう。二四の顔を見るとわかる。

「いい加減にしろ。8冊目。お前がどう考えようが自由だけど、
僕は、特殊小冊子達の事を、そんな風に考えたことはない!」

僕は、とうとう我慢の限界を超えて、ブチ切れした。
ワン達には悪いけど、このままにしたら、きっと8冊目に、
いい様に利用されて、最後は本当に死なされるだけだ。
僕は、それを食い止めたいと本気で思った。
何か、僕でそれが可能な能力はないだろうか・・・?
僕はフッとある能力に気付く。
この能力なら、ワンチャンスあるかもしれない。
今日、トワちゃんが僕にくれたプレゼントの本。
この本の能力を、僕がもっと昇華出来れば・・・

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