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第1章「下巻の奴等」

「実はさ、僕は1回、24冊目と戦ったんだけどさ。
あいつ、18冊目から、何か力を借りたらしくて、前より
かなり強くなってたんだよね。
で、負けちゃってさ。何とか逃げ出せたんだけど・・・
その分、弱体化させられちゃってさ・・・」

50冊目はモジモジとしながら、俺やトワを見ている。
大爆笑していた、トワもこの話を聞いて真顔になる。

「何それ?じゃあ、尚更、十二の足手まといじゃない。なのに、
手を組みたいとか、ありえなくない?貴方、馬鹿なの?」
「あはは・・・君って、結構、ズバズバ言う子なんだね。」

俺でも、少し同情したくなるくらいに、トワは容赦なく、50冊目を貶す。
散々、ナンパされて、嫌な気分にされた仕返しにしても、容赦がない。
俺は、もう少し、トワには優しい本になって欲しかったんだがな。

「都合のいい事を言ってるのは、僕も百も承知さ。でもさ、あいつら本気だよ?
きっと、18冊目は、僕と12冊目は食べないで、2冊目に
献上する気なんだと思う。」
「かもしれないな、24冊目が、お前を喰わずに、弱体化させて、
逃がしてるあたりで、その線の方が濃厚そうだな。」
「でしょ?だからさ、僕をたすk」
「だが、断る!」

俺はきっぱりと断ってやった。トワの言う通りだ。
厳しいようだが、自分で自分の対処も出来ない奴が、仲間に加わっても、
俺には不利でしかない。足手まといだ。
それに、この話を信じられるだけの、信用がこいつにはない。
24冊目と戦ったと言う話さえも、嘘かもしれないのだ。

「そ、そんな!ここまで、僕は話したのに!それでも、駄目だって言うの?!」

50冊目は、もう愛想など気にしないで、俺に食って掛かってきた。
が、これすらも、演技なのではないかと、俺は疑ってしまう。

「そりゃー信じろって言われても無理よ。私達は、貴方の事なんか、
何にも知らないんだもの。十二は、少しは知ってるかもだけど。
私は貴方の事なんか、全然知らないんだから、いきなり、
そんな話し出して、信じろって、無理に決まってるでしょ?
逆の立場になって考えてみなさいよ。貴方、信じられる?」

トワは、最もな意見を、50冊目にバシバシと言う。
50冊目も、流石にここまで言われたら、黙るしかないようだ。
ちょっと前までは、トワにカッコ良くナンパしていた、
美少年と思えない、情けない男になってしまっている。

「っつか・・・なんでトワをナンパしたんだよ?当初の目的が、
俺に協力を願う事だったんなら、ちゃんとした態度で、信用に足りる何か土産でも、
持ってから来ればいいのに。」
「それは・・・だって、本当にトワちゃんが可愛かったし、
同族だって、わかったら、余計に、つい嬉しくなっちゃって・・・」

ふーん。と俺は思ったが、こいつは馬鹿かもしれないが、性質は、
悪い奴ではないのかもしれないと思った。
きっと、長い事、単独で居たのだろう。同族が見つかって、
嬉しくなる気持ちは、俺も、わからなくもない。
俺はナンパなんてことはしないが。
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