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第4章「蠢く敵の影」

「ゴートン。すまない、今、回復が終わった!私も戦える!」

僕が8冊目の眷属の少年と睨み合いをしてると、二四が無事に自分の回復が
終わった事を教えてくれた。
よし!これで、今度は確実にこっちが有利だ!

「あーあー、もう回復しちゃうの?早くない?8冊目の話と、
全然違うじゃん!こいつは下巻クラスだから余裕とか言ってたくせに。
これじゃ、下巻クラスじゃないよ。中巻クラスレベルだねぇ・・・」

8冊目の眷属の少年は、物凄く不満そうに、僕達を見て言ってくる。
そんなのは僕達の知ったことではない。
十二先輩に会う前の僕達なら、確かに弱かったかもしれないが、
今は、十二先輩に、六師匠の修行だってしているのだ。
前よりも弱いわけなんかないだろうが!
僕は、そう叫びそうになるのを必死に堪えた。

「二四、どうする?」
「そうだな、ゴートン。あいつは、見た目こそ、少年っぽいが、
さっきの8冊目の眷属よりも強いと私は読んでる。」
「あ、それは僕も同意だ。ムカつくくらい、余裕あるのが、
何か引っかかるしね。」
「うん。慎重に戦いながら、様子を見よう!」
「わかった!じゃあ、行くよ!二四!」

僕達は、六師匠の元で学んだ、2冊で協力して戦う方法を試してみた。
交互に相手に攻撃を繰り返し、邪魔にならないように間合いを取る。
それから、タイミングが合いそうなとこで、一緒に攻撃を合わせたりして、
僕達はお互いの呼吸を確認しつつ、戦った。
修行とは違い、敵も必死に抵抗し、攻撃してくるので、予想外なことは起こりはするが、
それでも、僕達のコンビネーションは悪くないと、互いに実感した。
その証拠に、8冊目の眷属の少年は苦しそうに息をし始めた。

「はぁはぁ・・・ずるいよなぁ・・・中巻クラス並みになった、
下巻の2冊を同時相手なんてさ・・・僕は、8冊目の奴の
ただの眷属なのに・・・これは勝てっこないや・・・」

8冊目の眷属の少年は、僕達から一気に離れた。
そして、突然、空に向かって叫び出した。

「ねぇ!!!どうせ、見てるんだろ?!8冊目!!
このままだと、僕達負けてちゃうけど、いいの?そろそろ、
力貸して欲しいんだけど?あんたが楽しみたいならさ!」
「な、何を言ってるんだ?」
「8冊目が、側にいるのか?」

僕と二四は、この8冊目の眷属の少年の行動に、動揺が隠せなかった。
空に向かって叫んだみたいだけど、側に8冊目がいるのか?
でも、そんな気配は、僕も二四も感じてはいない。
どういうことだ?他にも、僕達が知らない、仕掛けでもあると
言うのだろうか?
僕達が、身構えていると、そこに新しい存在が、何もない空間から、
次元の切れ目みたいなのが出現して、出てきた。
外見からして、今までの8冊目の眷属達と同じだった。
その存在は、僕達が戦ってきた、8冊目の眷属の少年よりも、
年上な感じだったが、表情は、8冊目の眷属の女に似ている。
無表情で、何を考えているか、わからない顔だった。
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