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第4章「蠢く敵の影」

俺は、サキの店を出てから、誰かにつけられている気配に気づいた。
そろそろ、敵が来る頃か・・・と、俺は尾行してくる相手に
気づかれないように、警戒していた。
俺は、人気のない場所にわざと移動し、その相手を誘った。

「どういうつもりだ?俺に何か用か?」
「やっぱり、気づいてましたか・・・そうですよね。中巻クラスの方ですし。」

俺は、人目のつかない場所を探して、ここだと言う場所で
振り返り、俺に尾行してきた相手に言う。
俺が振り返って見た、そいつは、10代とも20代とも見えるような男の外見で、
薄紫色の短い髪に、同じ色の瞳をし、どこかの学園の制服の様な服を着ていた。

「俺の存在が分かっていると言う事は、お前は本喰人か?」
「いいえ。私は8冊目の使いのタダの紙束ですよ。」
「・・・」

俺は、こいつの自己紹介に唖然とした。そして、すぐに理解した。
こいつは、8冊目の眷属だと。要するに、俺のトワと同じ存在だ。
8冊目の特殊小冊子なんだろうが、こんな自己紹介をさせる辺り、
8冊目のこいつの扱いは容易に想像出来る。

「そんな、8冊目の使いが、俺に何の用だ?」
「はい。まず、伝言をお伝えします。2冊目様の仲間にならないか?との事です。」
「2の奴の仲間だと?」
「はい。2冊目様は、12冊目の事を気に入ってる様子だそうで、
ぜひ仲間になって欲しいと。」
「ふざけるな!誰があんな最低最悪の本の仲間になんかなるか!」

俺は、8冊目の使いに怒鳴った。だが、8冊目の使いは、俺が怒鳴っても、
涼しい顔をしたまま、会話を続ける。

「快いお返事が頂けない場合は、強硬手段に出るとの事です。」
「強硬手段だと?」
「はい。12冊目の周りにいる本を、殺害、もしくは、喰らう、
後は、人質に取るとのことです。」
「はっ。流石は8だな。2の奴に狂信してるだけあって、
やり方も、2にそっくりだぜ。」

俺は皮肉に笑って言ったが、8の使いは、不気味なくらい無表情のままだ。
8のこいつへの扱いは、相当に酷いものだと、俺は確信する。
ただの生きた道具としてしか、扱ってないのだろう。
大切にされていると言った、雰囲気が一切感じられない。
無駄な感情は持つなとでも、言われてそうな感じさえする。

「では、12冊目の返事は、拒否と言う事でしょうか?」
「ああ、悪いが、大の大のでお断りだ!俺は、殺されることになっても、
2の奴の下につく気はないと、伝えておけ!」
「わかりました。8冊目にはそのままの言葉で伝えておきます。」

8の使いは、無表情なままで、俺の言葉を聞き入れた。
たぶん、8の奴も、俺が、そんな誘いの乗るなんて、最初から考えてはいまい。
これは、わざとこんな事をしたのだ。逆らえば、容赦しないと
言う事を知らしめる為に。

「では、私はこれで失礼します。あ、そうだった。最後にもう1つだけ。」

8の使いは、半分身体が消えかかった状態で俺を見て言う。

「拒否された場合は、すぐに24冊目と50冊目を捕獲し、
その後に、2冊目様に献上するとの事でしたので。では。」
「お、おい!待て!!!」

俺は、8の使いを捕まえようとしたが、寸でのとこで、逃げられた。
俺は、一瞬にして、自分の軽率な行動を悔やんだ。
今、二四やゴートンは、トワや四四とも一緒に居るのに、
そんな状況になったら、トワ達も危ないではないか!
俺は、急いで師匠に電話し、その後で、トワにも電話した。
しかし、トワ達の誰にも電話が通じない。
焦った俺は、トワ達が行くと言っていた場所に急いで向かった。
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