「すいません。」
「すいませんでした・・・」

二四とゴートンは正座して、立っている師匠と俺に、情けない顔で謝っていた。
師匠も、２冊達に少し困ってる顔であった。

「もし、今日のこの戦いが、２冊目か、もしくは８冊目との戦いだったのなら、
お前達は確実に死んでいたぞ？逃げることも出来ずにな。
それは、身をもって、わかったな？」
「はい。」
「はい・・・」

２冊達は、深く反省した顔で、師匠の言葉を噛みしめている。
悔しいだろうが、自分達の実力を知るのは大事なことだ。
俺もそうだったからな。俺も、こいつらとの戦いはいい経験だ。
二四には、一瞬だけ、ヒヤッとさせられた場面もあったしな。

「この後は、十二と戦おうとも、思ったが、今日は拙者も、
２冊分の回復に能力を使ったので、少々疲れた。
今日はこれで終わりにしよう。」
「そうですね。師匠。」
「拙者は先に帰る。十二よ、二四とゴートンの反省会に付き合ってやってくれ。」
「わかりました。」
「お前達は、十二から、今日、何が悪いのか聞いて、今後に活かせ。
こんな事が出来るのは、十二がいるうちだからな？
拙者との戦いになった時は、拙者は、そういうことは、教えない方だからな。
覚悟しておくように。」
「はい。わかりました。」
「わかりました。六師匠。」

二四とゴートンは真剣な顔をして、師匠に返事をした。

「今日は、マジで死ぬかと思ったよ・・・」
「うん。十二先輩は、確かにそう言ってましたけど、あそこまで、
されるとは、私も油断してました。」

ゴートンと二四は、少し恨めしそうに俺を見て言う。
こいつら・・・俺だからいいけど、師匠にそんな顔したら、
殴られるぞ？

「いい経験したろ？俺も師匠に、身体の中をまさぐられた経験は何度もしたが、
この経験は決して無駄じゃない。特に俺達、本喰人にとってはな。」
「うぇえ・・・」
「そうだったんですね。じゃあ、この経験は六師匠の伝統みたいなものなんですかね・・・」
「そんな伝統怖すぎるよぉ・・・」

二四が伝統と言ってきて、俺は少し笑ってしまった。確かに、
師匠は弟子を取る度に、この経験は絶対にさせるだろうからな。
伝統と言う言葉は間違ってないかもしれない。
ゴートンは、思い出す度に、まだ怖いのか、身体を震わせる。

「お前達は、まだ幸せだぞ？今回はすぐに師匠が回復してくれたからな。
俺の時なんか、お腹に風穴を開けられて、１時間くらい放置されたこともあるからな。
あの時の師匠なんか、「おい？死んだか？」とか、平然とした顔して、
俺の顔を見て来た時は、今日こそ殺す気だったのか？！って、本気で恐怖したからな。」
「ひぃいいい？！」
「それは・・・今後が怖いですね・・・」

ゴートンは俺の話に短い悲鳴を上げ、二四も再度、顔を青ざめていた。

「お前達は２冊で一緒に修行してるんだから、お互いに回復出来る能力も、
持った方がいいな。」

俺達は、こんな会話をしながら、反省会もして、師匠に遅れて、２時間後に大阪の拠点に帰った。
帰り際、ゴートンはいつになく、落ち込んでいた。