第1章「イクメン見習い」
フェニックスは、自分の屋敷に戻り、人間界に行く準備をした。
いつぶりのことだろうか?もう、かなり昔の事になる。
まだ幻獣界も確立してなければ、バハムートと争っていた時以来か。
あの頃の自分と会話が出来たのなら、かなり驚くことだろう。
いつか、人間と知り合い、親友になり、最後は自分の子にしてしてしまった、
今の自分の生活を知ったら。そして、困らされる日々に。
「うーん、悩みましたね・・・」
「あうぅうう!いやぁいやぁ!!!」
フェニックスは、人間界に行く準備済ませ、ラリイに数日
会えないかもしれないことを話した。
もちろん、赤ちゃんのラリイが、フェニックスの言葉を理解出来るわけ
ないはずなのだが、何かを察したのか、フェニックスに抱っこされてから、
離れたがらず、大泣きし、使用人達を困らせた。
普段はそんな事をする子ではないのだが。
「ラリイ、どうしたと言うんですか?そんなに私から離れたくないと?」
「うぅう・・・ふぇんに・・・あう・・・」
「人間界に行く、私に何かあるのではと、心配してるんですか?ラリイ?」
「あう!あう!」
「うーん・・・困りましたね。普段は大人しく仕事に行かせてくれるのに・・・
もしかして、ラリイも人間界に行きたいのかな?」
フェニックスがそう言ってラリイを見ると、ラリイは何かを
訴えるように、フェニックスを見ている。
その顔は、いつでも一緒に居たいと言ってるようで、フェニックスは胸が苦しくなった。
フェニックスとて、許されるのなら、ずっと息子と居たい。
ラリイと一緒にご飯食べたり、遊んだりと穏やかに過ごしたい。
そのうち立つようにもなるだろう。
その時だけは、絶対に自分の目で見るんだ!とさえ決めている。
フェニックスは、もう決心した。
「ラリイも一緒に連れて行きます。」
「ええ?!ラリイ坊ちゃまもですか?!」
「ラリイがこうも頑な、では仕方がありません。それに、この機会に
人間界で育児方法も見てくることにします。参考になりそうなものは
いっぱいあるでしょうし、ラリイも半分は人間ですからね。
いざとなれば、頼れる仲間も数匹いますし。」
使用人達は動揺しているが、こんなにぐずるラリイを残されても、
困るはずだ。
バハムートにも小言は言われそうだが、そこは、人間界で、
お土産を数点買えば、どうにかなるだろう。それで、ご機嫌取りには十分なはずだ。
フェニックスは、愛しい息子を連れ、人間界に向かった。
ラリイはフェニックスと居られることに安堵したかのように、
大人しくなり、寝てしまった。
「こんなにラリイが、我が儘を言うのは初めてですね。
さっきまで、私にイヤイヤしていたかと思えば・・・
今度はいつもみたいに可愛い寝顔になるんですから・・・
ラリイは本当に可愛すぎます♥」
フェニックスは、苦労させられても、やっぱり親馬鹿は変わらなかった。
まだ何も出来ない小さい愛しい存在が、自分だけを頼りにして、
甘えて我が儘を言うなんて、可愛いに決まっている。
フェニックスはそう思った。そして、息子をしっかり抱きしめた。
「さぁ、ラリイ。行きましょうか。貴方のもう一つの故郷へ。」
フェニックスは幻獣門に向かい、そこから人間界に降り立った。
まず先に、リヴァイアサンに挨拶しようと思い、フレンから聞いていた、
ある国の大滝の裏側にある、洞窟に向かった。
「やっぱり、フェニックスが出向いたか。そうなると思っていたぞ。」
「リヴァイアサン、お久しぶりです。」
フェニックスが洞窟に入り、リヴァイアサンはすぐに姿を現した。
幻獣同士は、すぐにお互いの「気」みたいなもので、存在が確認出来る。
だから、人間の様に変に確認し合う必要はないのだ。
リヴァイアサンは実体のまま、上から流れる滝の中から、顔を出して、
フェニックスと会話を始める。
「ほう?その子が、今、噂のあのラリイか?」
「はい、私の愛しい大事な息子のラリイです。」
「ははは、そうかそうか、あのフェニックスがな。義兄貴の
バハムートから話は聞いていたが、本当だったとはな!
しかも、今回のこの件でも、一緒に連れてくるとは、相当な入れ込みようだ。」
リヴァイアサンは、楽しそうにフェニックスとラリイを見る。
昔のリヴァイアサンならば、フェニックスを馬鹿にしたかもしれない。
だが、フレンの言う通り、人間を友に持つようになってから、
リヴァイアサンも考え方が変わったようだった。
「そういうリヴァイアサンも大分、雰囲気が変わりましたね。
前より穏やかになったと言うか、陽気になったと言うか。」
「そうだな。面白い人間の娘に会ってから、性格を変わらされたかもしれん。
あのフレンの祖母に当たる女だが、まぁ、最後に死ぬまで、
私に仕事を押し付けていったものよ。」
「仕事ですか?」
「ああ、フレンを助けてやって欲しいとな。全く、うまい具合に、
友愛の契約を結ばされたのを良い事に、好き勝手言って、
あっという間にいなくなってしまった。フェニックス。
人間とは短くしか生きれない寂しい生き物だな。」
「そうですね・・・リヴァイアサン。」
リヴァイアサンにそう言われて、フェニックスも同意した。
自分の親友だった、前世のラリイも、あっと言う間に、
自分の目の前から消えてしまったから。
それにしても、リヴァイアサンも、フレンの祖母を悪く言ってるように
見せかけて、本当は大事にしていたのが、良く伝わってくる。
フェニックスは、それが何よりも嬉しかった。
それから、フェニックスは、リヴァイアサンにどうしても、
聞いておきたいことがある。
人間側に、あの話を成立させられるだけの「何か」が、
あるのかどうかを確認したかったのだ。
リヴァイアサンならば、絶対に何か知っているはずだと、
フェニックスは確信していた。
フェニックスに抱かれているラリイは、まるで何かを
邪魔しないように、静かにフェニックスの胸の中で寝ていたのだった。
いつぶりのことだろうか?もう、かなり昔の事になる。
まだ幻獣界も確立してなければ、バハムートと争っていた時以来か。
あの頃の自分と会話が出来たのなら、かなり驚くことだろう。
いつか、人間と知り合い、親友になり、最後は自分の子にしてしてしまった、
今の自分の生活を知ったら。そして、困らされる日々に。
「うーん、悩みましたね・・・」
「あうぅうう!いやぁいやぁ!!!」
フェニックスは、人間界に行く準備済ませ、ラリイに数日
会えないかもしれないことを話した。
もちろん、赤ちゃんのラリイが、フェニックスの言葉を理解出来るわけ
ないはずなのだが、何かを察したのか、フェニックスに抱っこされてから、
離れたがらず、大泣きし、使用人達を困らせた。
普段はそんな事をする子ではないのだが。
「ラリイ、どうしたと言うんですか?そんなに私から離れたくないと?」
「うぅう・・・ふぇんに・・・あう・・・」
「人間界に行く、私に何かあるのではと、心配してるんですか?ラリイ?」
「あう!あう!」
「うーん・・・困りましたね。普段は大人しく仕事に行かせてくれるのに・・・
もしかして、ラリイも人間界に行きたいのかな?」
フェニックスがそう言ってラリイを見ると、ラリイは何かを
訴えるように、フェニックスを見ている。
その顔は、いつでも一緒に居たいと言ってるようで、フェニックスは胸が苦しくなった。
フェニックスとて、許されるのなら、ずっと息子と居たい。
ラリイと一緒にご飯食べたり、遊んだりと穏やかに過ごしたい。
そのうち立つようにもなるだろう。
その時だけは、絶対に自分の目で見るんだ!とさえ決めている。
フェニックスは、もう決心した。
「ラリイも一緒に連れて行きます。」
「ええ?!ラリイ坊ちゃまもですか?!」
「ラリイがこうも頑な、では仕方がありません。それに、この機会に
人間界で育児方法も見てくることにします。参考になりそうなものは
いっぱいあるでしょうし、ラリイも半分は人間ですからね。
いざとなれば、頼れる仲間も数匹いますし。」
使用人達は動揺しているが、こんなにぐずるラリイを残されても、
困るはずだ。
バハムートにも小言は言われそうだが、そこは、人間界で、
お土産を数点買えば、どうにかなるだろう。それで、ご機嫌取りには十分なはずだ。
フェニックスは、愛しい息子を連れ、人間界に向かった。
ラリイはフェニックスと居られることに安堵したかのように、
大人しくなり、寝てしまった。
「こんなにラリイが、我が儘を言うのは初めてですね。
さっきまで、私にイヤイヤしていたかと思えば・・・
今度はいつもみたいに可愛い寝顔になるんですから・・・
ラリイは本当に可愛すぎます♥」
フェニックスは、苦労させられても、やっぱり親馬鹿は変わらなかった。
まだ何も出来ない小さい愛しい存在が、自分だけを頼りにして、
甘えて我が儘を言うなんて、可愛いに決まっている。
フェニックスはそう思った。そして、息子をしっかり抱きしめた。
「さぁ、ラリイ。行きましょうか。貴方のもう一つの故郷へ。」
フェニックスは幻獣門に向かい、そこから人間界に降り立った。
まず先に、リヴァイアサンに挨拶しようと思い、フレンから聞いていた、
ある国の大滝の裏側にある、洞窟に向かった。
「やっぱり、フェニックスが出向いたか。そうなると思っていたぞ。」
「リヴァイアサン、お久しぶりです。」
フェニックスが洞窟に入り、リヴァイアサンはすぐに姿を現した。
幻獣同士は、すぐにお互いの「気」みたいなもので、存在が確認出来る。
だから、人間の様に変に確認し合う必要はないのだ。
リヴァイアサンは実体のまま、上から流れる滝の中から、顔を出して、
フェニックスと会話を始める。
「ほう?その子が、今、噂のあのラリイか?」
「はい、私の愛しい大事な息子のラリイです。」
「ははは、そうかそうか、あのフェニックスがな。義兄貴の
バハムートから話は聞いていたが、本当だったとはな!
しかも、今回のこの件でも、一緒に連れてくるとは、相当な入れ込みようだ。」
リヴァイアサンは、楽しそうにフェニックスとラリイを見る。
昔のリヴァイアサンならば、フェニックスを馬鹿にしたかもしれない。
だが、フレンの言う通り、人間を友に持つようになってから、
リヴァイアサンも考え方が変わったようだった。
「そういうリヴァイアサンも大分、雰囲気が変わりましたね。
前より穏やかになったと言うか、陽気になったと言うか。」
「そうだな。面白い人間の娘に会ってから、性格を変わらされたかもしれん。
あのフレンの祖母に当たる女だが、まぁ、最後に死ぬまで、
私に仕事を押し付けていったものよ。」
「仕事ですか?」
「ああ、フレンを助けてやって欲しいとな。全く、うまい具合に、
友愛の契約を結ばされたのを良い事に、好き勝手言って、
あっという間にいなくなってしまった。フェニックス。
人間とは短くしか生きれない寂しい生き物だな。」
「そうですね・・・リヴァイアサン。」
リヴァイアサンにそう言われて、フェニックスも同意した。
自分の親友だった、前世のラリイも、あっと言う間に、
自分の目の前から消えてしまったから。
それにしても、リヴァイアサンも、フレンの祖母を悪く言ってるように
見せかけて、本当は大事にしていたのが、良く伝わってくる。
フェニックスは、それが何よりも嬉しかった。
それから、フェニックスは、リヴァイアサンにどうしても、
聞いておきたいことがある。
人間側に、あの話を成立させられるだけの「何か」が、
あるのかどうかを確認したかったのだ。
リヴァイアサンならば、絶対に何か知っているはずだと、
フェニックスは確信していた。
フェニックスに抱かれているラリイは、まるで何かを
邪魔しないように、静かにフェニックスの胸の中で寝ていたのだった。