エピローグ
フェニックスは、愛する息子との出来事を綴った日記を見返し、
自分だけの静かな部屋で、親友だった、前世の方のラリイを最初に思い出す。
幻獣界の今日の夜は、とても平穏で静かだ。
「フェニ!今度いつか、俺と一緒に長期の冒険しようぜ!」
「冒険か・・・まるでおとぎ話みたいだな。」
「そうか?まだまだ、人間界って世界だけでも、俺は知らないことが、
沢山あるからな。だからこそ、フェニと巡ってみたいんだ。
きっと、フェニとなら、楽しい冒険旅になると思うからさ!」
「ふふふ。そう、ラリイが言ってくれるのなら、私は光栄だが。」
陽気で無邪気な笑顔の親友を思い出し、フェニックスは顔が綻んでしまう。
親友だったの頃のラリイは、何かとフェニックスに、提案するのが大好きな男だった。
いつも、楽しそうに、アレをしよう、コレをしようと、
フェニックスを楽しませようとしてくれたものだ。
「私とは、一緒に冒険らしい冒険は、あんまり出来ませんでしたが・・・
転生した貴方は、かなりの冒険を沢山してきましたね。
人間界だけでなく、この幻獣界も、魔界でさえも、貴方は多くの世界を巡り、
多くの事を成し遂げてきました。魔物退治や人助けも。
私ですら、想像出来ない程に。ラリイは、本当に凄いです。
そして、私の誇り・・・最愛の息子です。」
フェニックスは、日記を摩り、今度は今の息子である、ラリイを想う。
「ラリイ・・・我が子の為とは言え、あんな選択をするなんて。
どうしてなんでしょうか・・・
ラリイは、数多くの善行をしてきたと私は思うのですが・・・
それなのに、最後はこの結果とはあんまりです・・・」
フェニックスは、つい最近ラリイがした行動を思い出し、今度は一気に胸が苦しくなった。
最愛の息子ラリイは、2人目の子を授かった際に、大きな選択を迫られたのだ。
それは、余りにも残酷な選択だったのだが、ラリイの頑張りと、
多くの幻獣達により、
2人目の子、次男の子は、「死」と言う最低最悪の選択だけは回避することが出来た。
いや、フェニックスとて、2人目の可愛い孫の為に、必死に自身が
出来る限りのことはしたつもりだ。
しかし、ここまでしても、どうにもならない問題は、どうしても残る。
「やっぱり、あの手段しかないのでしょうか・・・
生まれたばかりの孫にそんなことを・・・私はしたくない・・・」
フェニックスは、自分の部屋で、ただただ苦悩していた。
初孫のアディリスが産まれてから、ラリイ達夫婦は、しばらくは
色々な事が忙しく、2人目を作ることがなかなか難しかった。
しかし、ラリイ達夫婦が、やっと落ち着いたと思った頃には、
2人目の子が出来た時には、5年の歳月が流れていた。
「アディリス。貴方にも弟が出来るのよ♪」
「弟?僕に?」
「ええ♪そうよ!アディリスは、いつもいい子だけど、これからは、
お兄ちゃんになるのよ?」
「僕が・・・お兄ちゃんに・・・うん!わかった!
ママ、僕、これからは、立派なお兄ちゃんになる為に頑張るよ!」
「有難う♪アディリス♪本当に貴方は私達の自慢の息子よ♥」
セロリアは、2人目の子がお腹にいる時から、アディリスに教える。
この時には、多分2人目も男の子であろうと予測されていたので、
セロリアは、アディリスに早くから弟が出来るであろうとも、
話聞かせていた。
この感じからして、男の子そうだと言うのは、セロリア自身も
直感するところがあったのだ。
ラリイの方は、仕事の合間を縫っては、長男のアディリスに剣を教えたり、
人間界の事を教えたりと、アディリスを可愛がり、父親らしい態度を、ちゃんと見せる。
ラリイも、セロリアも、アディリスには、沢山の愛情を
与えていたし、フェニックスも負けじと、孫を可愛がっていた。
だから、2人目の孫の存在を知った時は、もちろん喜んだ。
下手をすると、最愛の我が子ラリイよりも。
「次の子は、どんな子になるでしょうかねぇ♥アディリスは、
外見は私に似ましたが♥
次の子は誰に似るのか♥凄く楽しみです♥セロリア♥」
「私も、凄く楽しみです!フェニックス様♪」
「こら!セロリア!また貴女は!私は貴女の父でもあるのですから!
フェニと呼びなさい!」
「あ、ごめんなさい。つい、へへへ。」
時々、どうしても、フェニックス様と呼んでくる、義理の娘に、優しく怒りながらも、
フェニックスはセロリアに優しく微笑む。
フェニックスの家族は、こうして皆が仲良しである。
そして、時が経ち、セロリアは2度目の出産をした。
産まれた子は、ラリイと同じ様な容姿だった。
産まれたばかりと言うのもあるが、その子は、女の子と間違われやすい子であった。
「セロリア、今回もよく頑張ってくれたな。」
「貴方・・・この子も無事に産まれてくれて良かったわ。」
ラリイ夫婦が、出産の無事を喜び合う中で、フェニックスは、
産まれたばかりの2人目の子に、違和感を覚える。
「フェニ・・・この子を抱いてあげて下さい。」
ラリイは、嬉しそうに、親であるフェニックスに、2人目の子を引き渡す。
フェニックスは、心の中で少し動揺しながらも、その子を抱く。
そして、感じ取る。
この子は、只者ではなさそうだと。
だが、ラリイ達の前では、その動揺を必死に隠し、笑顔で、
アディリスの時のように、喜んで見せた。
「ああ♥この子も可愛い子ですねぇ♥まるで女の子のようです♥
しかも、この子は、外見はラリイ似みたいですね♥
ほら!まだ産まれて、間もないと言うのに♥この笑顔です♥♥♥」
フェニックスは、今の不安を誤魔化すように、更に陽気に振る舞う。
ラリイは、フェニックスの態度に一瞬だけ、ぎこちなさを感じ、
疑惑を持ったが、その場では黙った。
セロリアの手前、変な雰囲気にはしたくなったのだ。
「フェニ・・・どうしたんですか?何かあったのですか?
もしかして、あの子に何かあるんですか?」
「ラリイ・・・」
セロリアが出産の疲れで寝てしまい、2人目の子と一緒に寝てしまったのを見計らい、
ラリイは、別の部屋でフェニックスに尋ねる。
フェニックスは、少し困った顔で息子ラリイを見ながら、どう言うべきかを悩んだ。
「ラリイ。いや、私の気のせいかもしれません。あの子はまだ赤ん坊ですし、
もう少し様子を見てから、話します。」
「そう・・・ですか。でも、何かあったら、すぐに話して下さい。」
「わかってますよ、ラリイ。それは絶対に約束します。」
フェニックスは、ここまでの事を思い出し、今の現実に戻ってくる。
再び、ラリイとの思い出の綴ってある日記を摩り、この現状に
泣きそうになる自分に堪えた。
フェニックスは、自分が悲しみに打ち拉がれている場合ではないと、
気持ちを改めて、ラリイ達夫婦を何よりも自分が、
しっかり支えなければと決意する。
「ラリイ、セロリア。貴方達の子は、私が何があっても絶対に守ります。
貴方達に今後何があろうとも。私が絶対に。この命に代えても。」
フェニックスは、自分の気持ちにしっかり整理をつけ、ある話をしに、
バハムートの元に向かう。
愛しい孫達の為に出来ることを、もう今の段階からしておこうと、
フェニックスは思ったのだ。
その行動が実を結ぶのは、ラリイ達の2人目の子が、ある歳を
迎えるまでの、長い先の話である。
自分だけの静かな部屋で、親友だった、前世の方のラリイを最初に思い出す。
幻獣界の今日の夜は、とても平穏で静かだ。
「フェニ!今度いつか、俺と一緒に長期の冒険しようぜ!」
「冒険か・・・まるでおとぎ話みたいだな。」
「そうか?まだまだ、人間界って世界だけでも、俺は知らないことが、
沢山あるからな。だからこそ、フェニと巡ってみたいんだ。
きっと、フェニとなら、楽しい冒険旅になると思うからさ!」
「ふふふ。そう、ラリイが言ってくれるのなら、私は光栄だが。」
陽気で無邪気な笑顔の親友を思い出し、フェニックスは顔が綻んでしまう。
親友だったの頃のラリイは、何かとフェニックスに、提案するのが大好きな男だった。
いつも、楽しそうに、アレをしよう、コレをしようと、
フェニックスを楽しませようとしてくれたものだ。
「私とは、一緒に冒険らしい冒険は、あんまり出来ませんでしたが・・・
転生した貴方は、かなりの冒険を沢山してきましたね。
人間界だけでなく、この幻獣界も、魔界でさえも、貴方は多くの世界を巡り、
多くの事を成し遂げてきました。魔物退治や人助けも。
私ですら、想像出来ない程に。ラリイは、本当に凄いです。
そして、私の誇り・・・最愛の息子です。」
フェニックスは、日記を摩り、今度は今の息子である、ラリイを想う。
「ラリイ・・・我が子の為とは言え、あんな選択をするなんて。
どうしてなんでしょうか・・・
ラリイは、数多くの善行をしてきたと私は思うのですが・・・
それなのに、最後はこの結果とはあんまりです・・・」
フェニックスは、つい最近ラリイがした行動を思い出し、今度は一気に胸が苦しくなった。
最愛の息子ラリイは、2人目の子を授かった際に、大きな選択を迫られたのだ。
それは、余りにも残酷な選択だったのだが、ラリイの頑張りと、
多くの幻獣達により、
2人目の子、次男の子は、「死」と言う最低最悪の選択だけは回避することが出来た。
いや、フェニックスとて、2人目の可愛い孫の為に、必死に自身が
出来る限りのことはしたつもりだ。
しかし、ここまでしても、どうにもならない問題は、どうしても残る。
「やっぱり、あの手段しかないのでしょうか・・・
生まれたばかりの孫にそんなことを・・・私はしたくない・・・」
フェニックスは、自分の部屋で、ただただ苦悩していた。
初孫のアディリスが産まれてから、ラリイ達夫婦は、しばらくは
色々な事が忙しく、2人目を作ることがなかなか難しかった。
しかし、ラリイ達夫婦が、やっと落ち着いたと思った頃には、
2人目の子が出来た時には、5年の歳月が流れていた。
「アディリス。貴方にも弟が出来るのよ♪」
「弟?僕に?」
「ええ♪そうよ!アディリスは、いつもいい子だけど、これからは、
お兄ちゃんになるのよ?」
「僕が・・・お兄ちゃんに・・・うん!わかった!
ママ、僕、これからは、立派なお兄ちゃんになる為に頑張るよ!」
「有難う♪アディリス♪本当に貴方は私達の自慢の息子よ♥」
セロリアは、2人目の子がお腹にいる時から、アディリスに教える。
この時には、多分2人目も男の子であろうと予測されていたので、
セロリアは、アディリスに早くから弟が出来るであろうとも、
話聞かせていた。
この感じからして、男の子そうだと言うのは、セロリア自身も
直感するところがあったのだ。
ラリイの方は、仕事の合間を縫っては、長男のアディリスに剣を教えたり、
人間界の事を教えたりと、アディリスを可愛がり、父親らしい態度を、ちゃんと見せる。
ラリイも、セロリアも、アディリスには、沢山の愛情を
与えていたし、フェニックスも負けじと、孫を可愛がっていた。
だから、2人目の孫の存在を知った時は、もちろん喜んだ。
下手をすると、最愛の我が子ラリイよりも。
「次の子は、どんな子になるでしょうかねぇ♥アディリスは、
外見は私に似ましたが♥
次の子は誰に似るのか♥凄く楽しみです♥セロリア♥」
「私も、凄く楽しみです!フェニックス様♪」
「こら!セロリア!また貴女は!私は貴女の父でもあるのですから!
フェニと呼びなさい!」
「あ、ごめんなさい。つい、へへへ。」
時々、どうしても、フェニックス様と呼んでくる、義理の娘に、優しく怒りながらも、
フェニックスはセロリアに優しく微笑む。
フェニックスの家族は、こうして皆が仲良しである。
そして、時が経ち、セロリアは2度目の出産をした。
産まれた子は、ラリイと同じ様な容姿だった。
産まれたばかりと言うのもあるが、その子は、女の子と間違われやすい子であった。
「セロリア、今回もよく頑張ってくれたな。」
「貴方・・・この子も無事に産まれてくれて良かったわ。」
ラリイ夫婦が、出産の無事を喜び合う中で、フェニックスは、
産まれたばかりの2人目の子に、違和感を覚える。
「フェニ・・・この子を抱いてあげて下さい。」
ラリイは、嬉しそうに、親であるフェニックスに、2人目の子を引き渡す。
フェニックスは、心の中で少し動揺しながらも、その子を抱く。
そして、感じ取る。
この子は、只者ではなさそうだと。
だが、ラリイ達の前では、その動揺を必死に隠し、笑顔で、
アディリスの時のように、喜んで見せた。
「ああ♥この子も可愛い子ですねぇ♥まるで女の子のようです♥
しかも、この子は、外見はラリイ似みたいですね♥
ほら!まだ産まれて、間もないと言うのに♥この笑顔です♥♥♥」
フェニックスは、今の不安を誤魔化すように、更に陽気に振る舞う。
ラリイは、フェニックスの態度に一瞬だけ、ぎこちなさを感じ、
疑惑を持ったが、その場では黙った。
セロリアの手前、変な雰囲気にはしたくなったのだ。
「フェニ・・・どうしたんですか?何かあったのですか?
もしかして、あの子に何かあるんですか?」
「ラリイ・・・」
セロリアが出産の疲れで寝てしまい、2人目の子と一緒に寝てしまったのを見計らい、
ラリイは、別の部屋でフェニックスに尋ねる。
フェニックスは、少し困った顔で息子ラリイを見ながら、どう言うべきかを悩んだ。
「ラリイ。いや、私の気のせいかもしれません。あの子はまだ赤ん坊ですし、
もう少し様子を見てから、話します。」
「そう・・・ですか。でも、何かあったら、すぐに話して下さい。」
「わかってますよ、ラリイ。それは絶対に約束します。」
フェニックスは、ここまでの事を思い出し、今の現実に戻ってくる。
再び、ラリイとの思い出の綴ってある日記を摩り、この現状に
泣きそうになる自分に堪えた。
フェニックスは、自分が悲しみに打ち拉がれている場合ではないと、
気持ちを改めて、ラリイ達夫婦を何よりも自分が、
しっかり支えなければと決意する。
「ラリイ、セロリア。貴方達の子は、私が何があっても絶対に守ります。
貴方達に今後何があろうとも。私が絶対に。この命に代えても。」
フェニックスは、自分の気持ちにしっかり整理をつけ、ある話をしに、
バハムートの元に向かう。
愛しい孫達の為に出来ることを、もう今の段階からしておこうと、
フェニックスは思ったのだ。
その行動が実を結ぶのは、ラリイ達の2人目の子が、ある歳を
迎えるまでの、長い先の話である。