第1章「イクメン見習い」
フレンと言う、変わった訪問者が幻獣界に来て、3日間ほどは、
休みを挟んだりして、話し合いが行われた。
そして、一応の話の目処がついて、一旦は仮約束と言う事で、
幻獣界と人間界との間で、書面を交わし、再度、お互いの世界で
見直した上で、本契約を交わそうと言う事になった。
何せ話の規模が大きいものなだけに、幻獣界だけで、はいそうですか、
と決められるものではなかった。
人間界にいる幻獣達にも、話は通さなければならないし、何より
一番の問題は、幻獣よりも人間側であろうと思われた。
フレンは、滞在中には、バハムート達に(ラムウは除く)、
人間界にいる幻獣達の知る限りの情報を教えてくれていた。
皆、それぞれに息災に暮らしてるようであった。
オーディンは、フレンの事をかなり気に入ったようで、バハムート達の
知らないところで、ちょいと過剰な援助もしたようだ。
フレンが人間界に戻り、バハムートとフェニックスは、あの話し合いを振り返っていた。
「この話し合いが、本格的に決まれば、俺達にも、かなり有利な話だが、
フェニックスは、この話は成立すると思うか?」
「どうでしょうか。私は成立して欲しいと願っていますが、問題は我々よりも、
人間側でしょうね。私達より数も多く、考え方も様々ですし、
国同士の問題は、そう簡単には片付かないかと・・・」
「だよな・・・問題はやっぱり、そこか。」
フェニックスの意見を聞き、バハムートはやれやれと言った顔になる。
人間の多くが、フレンの様な考え方であってくれたら、どれだけ良いだろうか。
だが、中には真逆と言って良いほどの考え方をする者もいるだろう。
戦い、勝利することで豊かになり、その為なら、何をも利用しても
構わないだろうと考える者も。
そうした、考えを持つ者を黙らせるだけの「何か」が、あのフレンにない限り、
正直言って、この話は成立させるのは難しいのではないかと、
フェニックスも思っていた。
だが、フレンには、リヴァイアサンが友として、ついている。
あのリヴァイアサンが、一見、こんな夢物語の様な話に
付き合うと言うからには、「何か」があるのかもしれない。
フェニックスは、そこに希望を託すことにした。
たぶん、バハムートも同じような考えだろう。
「とにかく、だ。人間界の事はとりあえず、フレンに任せるとして、
人間界に散らばった、俺達の仲間にどう連絡する?」
「そうですね・・・連絡役ですか・・・オーディンには、幻獣界を
警護して貰わなければなりませんし、ラムウは人間嫌いなので、論外ですし・・・」
「じゃあ!ここは俺が!」
「何を言ってるんですか?幻獣界の王が、人間界に遊びに行くような気分で
連絡役に行かれると困るんですが?」
バハムートが嬉しそうに言うのを、フェニックスは何よりも冷たい視線で制止した。
バハムートはしゅんとした感じになり、気まずそうな顔でフェニックスを見る。
「冗談に決まってるだろうが、何もそこまで怒らなくてもいいだろ?」
「この大事な話をしている時に、悪ふざけをするからいけないんです。
バハムートの寛大さや、明るさは悪くないと思いますが、時と場合によっては、
悪さにもなるので、困ったものです。」
悪戯をする子供を叱る母親の如く、フェニックスはバハムートに呆れて見せた。
(そういうお前だって、ラリイの前じゃ、別人のようになる癖に、
ま、今は余計な事を言うのはやめるか。)
バハムートは内心、そう思いもしたが黙った。フェニックスを怒らせて、
良い事がないのが一番わかっているのは、自分なのだから。
「では、どうする?誰が行くんだ?」
「消去法で言って、私でしょうかね。私なら、数日、幻獣界を
空けても、大した問題にはならないでしょう。」
「何?!お前がいなくなったら、俺が困るだろうが!!」
「なら、私が不在の間はラムウに補佐をお願いしますが、それで良いですか?」
「あ、なら、俺だけでいい。俺だけで頑張ります。」
「全く、最初から、そう言えばいいものを。」
バハムートのいつものアレ的な流れに、フェニックスは毎度呆れる。
まるで、漫才でもさせられてるような気分になる。
自分が居ないと、何も出来ないみたいに言ってくるバハムートは、
本当に子供の様だ。
いずれは、こうなるとわかっていたから、フェニックスは最初は頑として、
バハムートの仲間になりたくなかったのかもしれない。
今では、すっかり慣れたやり取りだから、フェニックスも変に
気にしなくはなかったが。
「では、私は明日から、人間界を周り、出来る限りの仲間に、
この話し合いの事を伝え、同意を得れるモノには、同意も得てきますが、
それでいいですね?バハムート王?」
フェニックスは、しっかり釘をさすように、バハムートに王までつけて言った。
バハムートは渋々と言った顔で、「わかった。」と答えた。
その態度は、自分だけ楽しい事から、置いて行かれた子供の様な顔であった。
フェニックスは、人間界に行った際には、バハムートの喜びそうな
お土産でも買って帰ってくるかと内心思っていた。
休みを挟んだりして、話し合いが行われた。
そして、一応の話の目処がついて、一旦は仮約束と言う事で、
幻獣界と人間界との間で、書面を交わし、再度、お互いの世界で
見直した上で、本契約を交わそうと言う事になった。
何せ話の規模が大きいものなだけに、幻獣界だけで、はいそうですか、
と決められるものではなかった。
人間界にいる幻獣達にも、話は通さなければならないし、何より
一番の問題は、幻獣よりも人間側であろうと思われた。
フレンは、滞在中には、バハムート達に(ラムウは除く)、
人間界にいる幻獣達の知る限りの情報を教えてくれていた。
皆、それぞれに息災に暮らしてるようであった。
オーディンは、フレンの事をかなり気に入ったようで、バハムート達の
知らないところで、ちょいと過剰な援助もしたようだ。
フレンが人間界に戻り、バハムートとフェニックスは、あの話し合いを振り返っていた。
「この話し合いが、本格的に決まれば、俺達にも、かなり有利な話だが、
フェニックスは、この話は成立すると思うか?」
「どうでしょうか。私は成立して欲しいと願っていますが、問題は我々よりも、
人間側でしょうね。私達より数も多く、考え方も様々ですし、
国同士の問題は、そう簡単には片付かないかと・・・」
「だよな・・・問題はやっぱり、そこか。」
フェニックスの意見を聞き、バハムートはやれやれと言った顔になる。
人間の多くが、フレンの様な考え方であってくれたら、どれだけ良いだろうか。
だが、中には真逆と言って良いほどの考え方をする者もいるだろう。
戦い、勝利することで豊かになり、その為なら、何をも利用しても
構わないだろうと考える者も。
そうした、考えを持つ者を黙らせるだけの「何か」が、あのフレンにない限り、
正直言って、この話は成立させるのは難しいのではないかと、
フェニックスも思っていた。
だが、フレンには、リヴァイアサンが友として、ついている。
あのリヴァイアサンが、一見、こんな夢物語の様な話に
付き合うと言うからには、「何か」があるのかもしれない。
フェニックスは、そこに希望を託すことにした。
たぶん、バハムートも同じような考えだろう。
「とにかく、だ。人間界の事はとりあえず、フレンに任せるとして、
人間界に散らばった、俺達の仲間にどう連絡する?」
「そうですね・・・連絡役ですか・・・オーディンには、幻獣界を
警護して貰わなければなりませんし、ラムウは人間嫌いなので、論外ですし・・・」
「じゃあ!ここは俺が!」
「何を言ってるんですか?幻獣界の王が、人間界に遊びに行くような気分で
連絡役に行かれると困るんですが?」
バハムートが嬉しそうに言うのを、フェニックスは何よりも冷たい視線で制止した。
バハムートはしゅんとした感じになり、気まずそうな顔でフェニックスを見る。
「冗談に決まってるだろうが、何もそこまで怒らなくてもいいだろ?」
「この大事な話をしている時に、悪ふざけをするからいけないんです。
バハムートの寛大さや、明るさは悪くないと思いますが、時と場合によっては、
悪さにもなるので、困ったものです。」
悪戯をする子供を叱る母親の如く、フェニックスはバハムートに呆れて見せた。
(そういうお前だって、ラリイの前じゃ、別人のようになる癖に、
ま、今は余計な事を言うのはやめるか。)
バハムートは内心、そう思いもしたが黙った。フェニックスを怒らせて、
良い事がないのが一番わかっているのは、自分なのだから。
「では、どうする?誰が行くんだ?」
「消去法で言って、私でしょうかね。私なら、数日、幻獣界を
空けても、大した問題にはならないでしょう。」
「何?!お前がいなくなったら、俺が困るだろうが!!」
「なら、私が不在の間はラムウに補佐をお願いしますが、それで良いですか?」
「あ、なら、俺だけでいい。俺だけで頑張ります。」
「全く、最初から、そう言えばいいものを。」
バハムートのいつものアレ的な流れに、フェニックスは毎度呆れる。
まるで、漫才でもさせられてるような気分になる。
自分が居ないと、何も出来ないみたいに言ってくるバハムートは、
本当に子供の様だ。
いずれは、こうなるとわかっていたから、フェニックスは最初は頑として、
バハムートの仲間になりたくなかったのかもしれない。
今では、すっかり慣れたやり取りだから、フェニックスも変に
気にしなくはなかったが。
「では、私は明日から、人間界を周り、出来る限りの仲間に、
この話し合いの事を伝え、同意を得れるモノには、同意も得てきますが、
それでいいですね?バハムート王?」
フェニックスは、しっかり釘をさすように、バハムートに王までつけて言った。
バハムートは渋々と言った顔で、「わかった。」と答えた。
その態度は、自分だけ楽しい事から、置いて行かれた子供の様な顔であった。
フェニックスは、人間界に行った際には、バハムートの喜びそうな
お土産でも買って帰ってくるかと内心思っていた。