第9章「ついに息子に・・・?」
ラリイは、シルヴィルから、ある程度の話を聞いて、今後の事を考えた。
過去にフレンから貰った、聖星団に連絡が取れる、アイテムを使って、連絡を取り、
聖星団の星師を2人派遣してくれることになった。
星師(ほしし)とは、聖星団の中で特に優秀な者達で、戦闘など、
色々な事に特化した存在である。
時に、王族の揉め事を解決もするし、場合によっては暗殺などの裏の仕事もする。
星師は、自分の本当の名前さえ捨て、星の名を借りて、人間界の平和の為だけに、
生きている者達の事だ。
過去のトゥバンもその星師の1人である。
星師に選ばれた者は、オーディンの知識を借りた魔法により、
他の人間より肉体が若く保たれるようになっている。
そして、その分、長生きも出来る。本来は禁忌な魔法であるが、
オーディンは、こっそりフレンに教えたのだ。
ちゃんと、「決まり」は守る事を前提にして。今もそれはしっかり守られており、
星師も年々、増えていっている。今回、ラリイの元に来る星師も、
最近、星師になった存在らしい。
「あ、ラリイ。私は一度、自分の家に帰りますね?
あんまりにも、私が居ないと、兄が変に勘ぐるかもしれません。」
「そうか。では今度、お前に会うとしたら、どうすればいい?」
「そうですね・・・」
一旦、家に帰ろうとしていたシルヴィアは悩む。
今ラリイ達がいるここは、ぎりぎり人間界ではあるが、魔界で再会するにしても、
何か決めておかないと、すぐに再会は難しいだろう。
ラリイも何か、いい案はないかと考え込む。
「明日、俺のとこに再度来ればいい。」
「?!」
「イルル?」
ラリイとシルヴィルが悩んでいると、2人の背後から声だけが聞こえてきた。
いや、それは声でなく、頭の中から聞こえてきたものだった。
イルルヤンカシュが、ラリイとシルヴィルだけに、思念で語り掛けてきたのだ。
「いいのか?イルル?」
「構わん。俺もさっきは大人気なかった・・・どうしても、
今までの過去の事を考えると、感情が抑えきれなかった。
シルヴィルと言ったな?済まなかった・・・許せ。」
「い、いえ!私こそ・・・今日は突然、訪ねたのに、申し訳ありませんでした!」
シルヴィルは、目の前にイルルヤンカシュがいるわけではないのに、頭を下げている。
その姿は、おっちょこちょいなのに、可愛らしく少し好感が持てると
ラリイは思い、クスクスと笑ってしまった。
シルヴィルも、自分がおかしなことをしているとわかったのか、
ラリイに笑われて、顔を真っ赤にしている。
「じゃあ、私は今日はシルヴィルから聞いた、ディスザード国の
騎士のことを聖星団の者と調べてきてみます。」
「そうか・・・ラリイ、頼む。夜は俺のとこに来ればいい。」
「わかった。イルルのとこに行く。シルヴィルは、このまま1人で帰れるか?」
「はい!私は1人で大丈夫です!」
シルヴィルは笑顔でラリイに答えた。ラリイも笑顔になって頷き返す。
そして、ラリイはシルヴィルとも別れ、ディスザード国付近の森で、
聖星団から来た、星師の2人と合流した。
「ラリイ様、お初にお目にかかります。私の名は、ヒヤデスと申します。
それから、こちらの者が、アルクトゥルスです。少し、粗暴な言動が
目立つ男かもしれませんが、お許しを。」
「ヒヤデス!いきなり、そんな紹介せんでもいいだろうが!
あ、ラリイ様。初めまして!俺がアルクトゥルスです!
どうぞ、お気軽に我らをお使い下さい!フレン様から、
ラリイ様の事は色々と聞いておりますので!」
冷静沈着な短髪の黒髪の紫の瞳をした青年のヒヤデスと、
ごげ茶色の短い髪に、緑の瞳をした大柄の男のアルクトゥルスは、
まるで、フィニアとイーグルのようなコンビだった。
ラリイは、この2人の星師を見て、フィニアとイーグルが恋しくなりそうだった。
外見は、もちろん全然違うが、雰囲気がどことなく似ている。
「わざわざ、私の為にすまない。だが、どうしても気になってので、聖星団に連絡したのだ。」
「いえ、ラリイ様。こちらこそ、助かりました。
実は、そういう噂は、我々も前から掴んではいたのです。
ただ、第2王子側には、慎重に事を運べる策士がいるようで、
我々も手を焼いていたのです。」
ヒヤデスはラリイに、簡単に、自分達も実は、ディスザード国の
権力争いを見守っていたことを話した。
「しかし、まさか、魔族と手を組んで、我々の目を誤魔化そうとしていたとは、
そうまでして、権力が欲しいんですかねぇ・・・俺にはわかんですわ。」
「こら!アルクトゥルス!言葉使いには気をつけろと、いつも言っているだろうが!」
「あ、すまん、すまん。俺は堅苦しいのは嫌いだから、ついな。」
ヒヤデスとアルクトゥルスは、微笑ましいやり取りをしている。
そんな会話のやり取りが、ますますフィニアとイーグルに似ていて、
ラリイは穏やかな気持ちになった。
「言葉使いは気にしないでくれ。私も気軽に話して貰った方が、楽だからな。
それで、ヒヤデス。今後はどうしたらいいと思う?」
ラリイは、ヒヤデスにそう聞いてみる。ヒヤデスは顎に手を当てて考える。
「聖星団としましては、第1王子である、ソルア様には何にも問題がないと思っております。
確かに肉体的に弱い部分はありますが、だからと言って、
それだけで国を治める資格なしとは見受けられません。
それに、ソルア様は、性格も穏やかで、内政的な才能が高いです。
なので、人望もそこそこあり、部下にも恵まれている方なので、
外交でも、さほど問題ないかと、我々は見ています。」
「それに、近々、ご結婚もされるんだそうですよ!」
「へぇーそうなのか。」
「はい。後、第2王子のソシエド様とも、過去から因縁があると言った感じもなく、
一部の者の話では、かなり兄弟仲は良かったとも聞いています。
なので、何で今回、この様な話が出ているのか、我々も少し困惑しているとこです。」
「うむ・・・確かに人柄も、問題なく、兄弟仲も問題なかったとなると、不可解だな。」
「きっと、ソシエド様の背後にいる奴が、相当な悪なんですよ!
じゃなければ、まだ20歳になったばかりの王子が、こんな策略を
考えらえれるわけがない!」
「アルクトゥルス!また、勝手に決めつけで喋るな!
レグルス様からも、広い視野で、物事を見ろと言われただろうが!」
「悪かったって!そう毎度怒るな!ヒヤデス!」
「誰の所為だと思ってるんですか?全く・・・」
ヒヤデスは、アルクトゥルスを軽く睨みながらも、話を元に戻す。
「と、話は戻しますが、敵側はなかなか尻尾を見せません。
ですが、魔族と手を組むからには、人間同士とは違い、必ず隙はあるはず。
そこで、敵を油断させ、第2王子の側の反逆の証拠でも、
取れればと、私は考えています。」
「俺も、同じ考えです。」
ヒヤデスは、ラリイに真顔で、そう答えた。
アルクトゥルスも、ヒヤデスと同じ考えのようで、ラリイは、
3人の意見が一致したことに安心する。
ラリイは、ヒヤデスに、第2王子側に力を貸しそうな魔族には
心当たりがあると言い、自分がもう少しだけ詳しく調べたら話すと伝えた。
それから、フェガロアにも、害が及ぶかもしれないから、そこも気を
付けて欲しいとラリイは言う。
3人は、それぞれに分かれて、行動しようと言う事にした。
ヒヤデスは、ディスザード国の内情を再度調べ、ラリイは魔族側の事を調べ、
アルクトゥルスは、フェガロアに忠告しに行った。
3人は何かの発展があり次第にすぐに連絡を取り合おうと、
約束し、それぞれに行動を開始した。
過去にフレンから貰った、聖星団に連絡が取れる、アイテムを使って、連絡を取り、
聖星団の星師を2人派遣してくれることになった。
星師(ほしし)とは、聖星団の中で特に優秀な者達で、戦闘など、
色々な事に特化した存在である。
時に、王族の揉め事を解決もするし、場合によっては暗殺などの裏の仕事もする。
星師は、自分の本当の名前さえ捨て、星の名を借りて、人間界の平和の為だけに、
生きている者達の事だ。
過去のトゥバンもその星師の1人である。
星師に選ばれた者は、オーディンの知識を借りた魔法により、
他の人間より肉体が若く保たれるようになっている。
そして、その分、長生きも出来る。本来は禁忌な魔法であるが、
オーディンは、こっそりフレンに教えたのだ。
ちゃんと、「決まり」は守る事を前提にして。今もそれはしっかり守られており、
星師も年々、増えていっている。今回、ラリイの元に来る星師も、
最近、星師になった存在らしい。
「あ、ラリイ。私は一度、自分の家に帰りますね?
あんまりにも、私が居ないと、兄が変に勘ぐるかもしれません。」
「そうか。では今度、お前に会うとしたら、どうすればいい?」
「そうですね・・・」
一旦、家に帰ろうとしていたシルヴィアは悩む。
今ラリイ達がいるここは、ぎりぎり人間界ではあるが、魔界で再会するにしても、
何か決めておかないと、すぐに再会は難しいだろう。
ラリイも何か、いい案はないかと考え込む。
「明日、俺のとこに再度来ればいい。」
「?!」
「イルル?」
ラリイとシルヴィルが悩んでいると、2人の背後から声だけが聞こえてきた。
いや、それは声でなく、頭の中から聞こえてきたものだった。
イルルヤンカシュが、ラリイとシルヴィルだけに、思念で語り掛けてきたのだ。
「いいのか?イルル?」
「構わん。俺もさっきは大人気なかった・・・どうしても、
今までの過去の事を考えると、感情が抑えきれなかった。
シルヴィルと言ったな?済まなかった・・・許せ。」
「い、いえ!私こそ・・・今日は突然、訪ねたのに、申し訳ありませんでした!」
シルヴィルは、目の前にイルルヤンカシュがいるわけではないのに、頭を下げている。
その姿は、おっちょこちょいなのに、可愛らしく少し好感が持てると
ラリイは思い、クスクスと笑ってしまった。
シルヴィルも、自分がおかしなことをしているとわかったのか、
ラリイに笑われて、顔を真っ赤にしている。
「じゃあ、私は今日はシルヴィルから聞いた、ディスザード国の
騎士のことを聖星団の者と調べてきてみます。」
「そうか・・・ラリイ、頼む。夜は俺のとこに来ればいい。」
「わかった。イルルのとこに行く。シルヴィルは、このまま1人で帰れるか?」
「はい!私は1人で大丈夫です!」
シルヴィルは笑顔でラリイに答えた。ラリイも笑顔になって頷き返す。
そして、ラリイはシルヴィルとも別れ、ディスザード国付近の森で、
聖星団から来た、星師の2人と合流した。
「ラリイ様、お初にお目にかかります。私の名は、ヒヤデスと申します。
それから、こちらの者が、アルクトゥルスです。少し、粗暴な言動が
目立つ男かもしれませんが、お許しを。」
「ヒヤデス!いきなり、そんな紹介せんでもいいだろうが!
あ、ラリイ様。初めまして!俺がアルクトゥルスです!
どうぞ、お気軽に我らをお使い下さい!フレン様から、
ラリイ様の事は色々と聞いておりますので!」
冷静沈着な短髪の黒髪の紫の瞳をした青年のヒヤデスと、
ごげ茶色の短い髪に、緑の瞳をした大柄の男のアルクトゥルスは、
まるで、フィニアとイーグルのようなコンビだった。
ラリイは、この2人の星師を見て、フィニアとイーグルが恋しくなりそうだった。
外見は、もちろん全然違うが、雰囲気がどことなく似ている。
「わざわざ、私の為にすまない。だが、どうしても気になってので、聖星団に連絡したのだ。」
「いえ、ラリイ様。こちらこそ、助かりました。
実は、そういう噂は、我々も前から掴んではいたのです。
ただ、第2王子側には、慎重に事を運べる策士がいるようで、
我々も手を焼いていたのです。」
ヒヤデスはラリイに、簡単に、自分達も実は、ディスザード国の
権力争いを見守っていたことを話した。
「しかし、まさか、魔族と手を組んで、我々の目を誤魔化そうとしていたとは、
そうまでして、権力が欲しいんですかねぇ・・・俺にはわかんですわ。」
「こら!アルクトゥルス!言葉使いには気をつけろと、いつも言っているだろうが!」
「あ、すまん、すまん。俺は堅苦しいのは嫌いだから、ついな。」
ヒヤデスとアルクトゥルスは、微笑ましいやり取りをしている。
そんな会話のやり取りが、ますますフィニアとイーグルに似ていて、
ラリイは穏やかな気持ちになった。
「言葉使いは気にしないでくれ。私も気軽に話して貰った方が、楽だからな。
それで、ヒヤデス。今後はどうしたらいいと思う?」
ラリイは、ヒヤデスにそう聞いてみる。ヒヤデスは顎に手を当てて考える。
「聖星団としましては、第1王子である、ソルア様には何にも問題がないと思っております。
確かに肉体的に弱い部分はありますが、だからと言って、
それだけで国を治める資格なしとは見受けられません。
それに、ソルア様は、性格も穏やかで、内政的な才能が高いです。
なので、人望もそこそこあり、部下にも恵まれている方なので、
外交でも、さほど問題ないかと、我々は見ています。」
「それに、近々、ご結婚もされるんだそうですよ!」
「へぇーそうなのか。」
「はい。後、第2王子のソシエド様とも、過去から因縁があると言った感じもなく、
一部の者の話では、かなり兄弟仲は良かったとも聞いています。
なので、何で今回、この様な話が出ているのか、我々も少し困惑しているとこです。」
「うむ・・・確かに人柄も、問題なく、兄弟仲も問題なかったとなると、不可解だな。」
「きっと、ソシエド様の背後にいる奴が、相当な悪なんですよ!
じゃなければ、まだ20歳になったばかりの王子が、こんな策略を
考えらえれるわけがない!」
「アルクトゥルス!また、勝手に決めつけで喋るな!
レグルス様からも、広い視野で、物事を見ろと言われただろうが!」
「悪かったって!そう毎度怒るな!ヒヤデス!」
「誰の所為だと思ってるんですか?全く・・・」
ヒヤデスは、アルクトゥルスを軽く睨みながらも、話を元に戻す。
「と、話は戻しますが、敵側はなかなか尻尾を見せません。
ですが、魔族と手を組むからには、人間同士とは違い、必ず隙はあるはず。
そこで、敵を油断させ、第2王子の側の反逆の証拠でも、
取れればと、私は考えています。」
「俺も、同じ考えです。」
ヒヤデスは、ラリイに真顔で、そう答えた。
アルクトゥルスも、ヒヤデスと同じ考えのようで、ラリイは、
3人の意見が一致したことに安心する。
ラリイは、ヒヤデスに、第2王子側に力を貸しそうな魔族には
心当たりがあると言い、自分がもう少しだけ詳しく調べたら話すと伝えた。
それから、フェガロアにも、害が及ぶかもしれないから、そこも気を
付けて欲しいとラリイは言う。
3人は、それぞれに分かれて、行動しようと言う事にした。
ヒヤデスは、ディスザード国の内情を再度調べ、ラリイは魔族側の事を調べ、
アルクトゥルスは、フェガロアに忠告しに行った。
3人は何かの発展があり次第にすぐに連絡を取り合おうと、
約束し、それぞれに行動を開始した。