第9章「ついに息子に・・・?」
「私の名前はラリイだ。お前の名は?」
「私の名前は、シルヴィルです。ラリイは、幻獣と人間との子なんですか?」
「ああ、そうだが?」
「何の幻獣なんですか?」
「それは・・・今は言えない。シルヴィルには悪いが、
私も今はまだお前を完全に信用出来ないからな・・・」
「そうですよね・・・ごめんなさい。気軽に聞いてしまって。」
シルヴィルは、魔族のわりには、物分かりが良く、素直な少女だった。
ラリイも、一瞬、心を許しそうになりはしたのだが、イルルヤンカシュの娘かどうかは、
結局わからずじまいだったので、気を許すわけにもいなかった。
シルヴィルが、実は敵だったなんてことになった時に、躊躇いが出てしまったら、困る。
ラリイは、それもあって、しばらくはシルヴィルと何をするのも、
警戒しておこうと考えていた。
ラリイは再度、シルヴィルの外見を見てみる。
白に近い薄い銀色の綺麗なストレートな長髪と、瞳は金色をしていた。
ラリイにはよくわからないが、世間で言えば、魔族とは言え、
可憐と言った感じの少女であった。
(魔族と言うよりも、妖精みたいだなぁ・・・
幻獣と魔族とのハーフはこんな感じになるのか?)
ラリイは心の中で、そう思ったが、すぐに気持ちを切り替えた。
のんびりしてる場合ではない。
シルヴィルの兄は、今、人間を攻めようと準備しているのだから。
「シルヴィルの兄と手を組んでる、人間の情報を教えてくれ。
まず、そちらの動きを私が止めれるか、様子を見ようと思う。」
「はい!わかりました!兄と手を組んでいるのは、ディスザード国の
一部の騎士だと聞いてます。」
「ディスザード国・・・か・・・」
ラリイは久しぶりに、その国の名前を聞いて、過去に戦った、
あの戦いを思い出す。
トゥバンと一緒に戦った、デスロードとそのデスロードが呼び出した、
七大竜の1体のゼイアス・ヴィイングを。
あの戦い以来、七大竜が、人間界で呼び出されることがなかったので、
ラリイは安堵してはいたが、
それでも、警戒を怠ったことはない。トゥバンもあれから、七大竜の事は、
聖星団にしっかり報告し、情報を管理し、聖星団内で、共有している。
フレンは、今後の為に、オーディンに助言も貰い、それから、
ラムウからも、何か力を貸し与えるほどだったとラリイは聞いていた。
「流石に、またディスザード国が関わっているとは言え、
あの七大竜を召喚することはあるまい・・・」
「?」
ラリイは、過去を思い出しながら、小声で独り言を言ってしまっていた。
それに、シルヴィルは気づいて、ラリイの言葉に首を傾げていたが、
ラリイはそれに気づいて、すぐに謝った。
「あ、気にしないでくれ。ディスザード国なら、知っている。
過去に、ディスザード国の騎士に会ったことがあるからな。」
「ええ!そうだったんですか?!」
シルヴィルはラリイの言葉にびっくりした顔をする。
そして、今度は少し怒った顔になりながら、ラリイに更に話す。
「あそこの国の騎士は、今、誰が次の国王になるかで揉めていて、統率がとれてないんです。
本来は第1王子が、国王になると決まっていたみたいなんですが、
第1王子は身体が弱く、性格も優しいから、今後の国を治めていけるか不安に
思われているらしくて、それで第2王子を王にしようって、派閥がいるみたいなんです。」
「はぁ・・・どうして、人間の王族は争いが好きなのだ。理解出来ぬ。」
ラリイは、毎度、毎度聞いている、人間の権力争いの話にうんざりした。
人間の自分が権力を持って、一番になりたいと言う、汚い欲望を
ラリイも人間界に来る度に嫌と言うほど見てきた。
今回も、その類なのかと、心底残念な気持ちになる。
人間はいつになったら、成長出来るのだろうか・・・。
フレン達のような人間も増えてきているはずなのに。
とラリイは思わずにはいられなかった。
「そういう話なら、聖星団に連絡を取った方がいいな。王族の揉め事は彼らの担当だ。」
「聖星団?」
「シルヴィルは知らないか・・・人間界を裏で管理している者達だ。
人間界が少しでも平和になるようにな。裏で活動している。」
「へぇー!そんな存在が人間界にはいるんですね!」
シルヴィルは、感心したような顔で、ラリイの話を楽しそうに聞く。
この感じだと、シルヴィルの一族は悪い意味で、聖星団と関りを持ってはいないようだ。
魔族にとって、聖星団を存在を知っているのなら、敵としての方が確立は高いだろう。
基本、魔族は人間の敵。だから、聖星団を知ってるとしたら、
敵として戦って知ることの方が多いはずだ。
ラリイは、何故か少しだけ、ホッとした気持ちになった。
シルヴィルが、聖星団を知らなくて良かったと。
もし、敵としてすでに知っていたら、ラリイを警戒したかもしれない。
それに、ラリイはシルヴィルが聖星団を憎んでいる存在であって欲しくなかった。
なんとなくだが・・・。
「で、ディスザード国のその一部の騎士は、どこを攻めようとしていたんだ?わかるか?」
「えっと・・・確か、隣国のフェガロアですね。兄の作戦の話を
盗み聞きすることが出来たのですが、作戦としては、フェガロア国に小さい戦いを仕掛けて、
それを第1王子が仕向けた事にして、責任を取らせて、第2王子が
国王になれるようにするとか、なんとか・・・?」
「そういう悪知恵だけは、働くとこに反吐が出るな・・・」
ラリイは、シルヴィルから、敵の作戦の話を聞いて、少しイラっとした。
過去にオーディンと王位争奪戦ゲームと言うゲームを一緒にしながら、
現実もこういう事があっただの、なんだのと、話を聞かされたことをラリイは思い出した。
如何に、王位を奪う為に、長年人間達が考えてきた策略が、どれだけあるか、
ラリイは、オーディンに聞かされて、頭が混乱しかけたことを思い出す。
そんな、ラリイを見て、オーディンは面白そうに笑ったものだ。
「あはは。ラリイは王族じゃなくて良かったな?特に、第1王子だったら、
俺に何度殺されてるかわからんぞ?」
「オーディンこそ、次から次へと、良くそんな策略が思いつきますね・・・」
「何を言うんだ?これは全部、過去の人間界で実際にあったことだぞ?
まぁ、俺からすれば、まだまだ爪が甘い、策略も多いがな。
強い欲望を持った人間は、時に恐ろしいまでに強くなることもある。
その欲望の根源が何によるものなのかでな。
王位争いの中には、何かを守りたい為にしているものもある。
一概に、すべてが悪いと言えないのも、人間の面白い所よ。」
「面白い?私には、まだ、それが面白いとは思えませんが・・・」
「ははは。ラリイは、まだまだ子供だからな。今はわからんだろうさ。
しかし、いずれ人間界に行く機会が増えれば、わかる時も来るだろう。
ラリイ。忘れるなよ?善悪の判断と言うのは、場合によっては難しいものがある。
裏に隠されたものがある場合に、それを知らずにすぐに悪だと決めつけるのは危険だ。
迷ったら、1人で解決しようとするな?特に人間関係の問題はな。」
「わ、わかりました・・・オーディン。気をつけます。」
ラリイは、その遊びの途中で、急に真面目になったオーディンに、
たじろぎながらも、素直に返事をした。
こんな事を思い出すなんて、今回の王位争いも、裏に何かあるのだろうか?
ラリイはそんな予感を感じていた。
「私の名前は、シルヴィルです。ラリイは、幻獣と人間との子なんですか?」
「ああ、そうだが?」
「何の幻獣なんですか?」
「それは・・・今は言えない。シルヴィルには悪いが、
私も今はまだお前を完全に信用出来ないからな・・・」
「そうですよね・・・ごめんなさい。気軽に聞いてしまって。」
シルヴィルは、魔族のわりには、物分かりが良く、素直な少女だった。
ラリイも、一瞬、心を許しそうになりはしたのだが、イルルヤンカシュの娘かどうかは、
結局わからずじまいだったので、気を許すわけにもいなかった。
シルヴィルが、実は敵だったなんてことになった時に、躊躇いが出てしまったら、困る。
ラリイは、それもあって、しばらくはシルヴィルと何をするのも、
警戒しておこうと考えていた。
ラリイは再度、シルヴィルの外見を見てみる。
白に近い薄い銀色の綺麗なストレートな長髪と、瞳は金色をしていた。
ラリイにはよくわからないが、世間で言えば、魔族とは言え、
可憐と言った感じの少女であった。
(魔族と言うよりも、妖精みたいだなぁ・・・
幻獣と魔族とのハーフはこんな感じになるのか?)
ラリイは心の中で、そう思ったが、すぐに気持ちを切り替えた。
のんびりしてる場合ではない。
シルヴィルの兄は、今、人間を攻めようと準備しているのだから。
「シルヴィルの兄と手を組んでる、人間の情報を教えてくれ。
まず、そちらの動きを私が止めれるか、様子を見ようと思う。」
「はい!わかりました!兄と手を組んでいるのは、ディスザード国の
一部の騎士だと聞いてます。」
「ディスザード国・・・か・・・」
ラリイは久しぶりに、その国の名前を聞いて、過去に戦った、
あの戦いを思い出す。
トゥバンと一緒に戦った、デスロードとそのデスロードが呼び出した、
七大竜の1体のゼイアス・ヴィイングを。
あの戦い以来、七大竜が、人間界で呼び出されることがなかったので、
ラリイは安堵してはいたが、
それでも、警戒を怠ったことはない。トゥバンもあれから、七大竜の事は、
聖星団にしっかり報告し、情報を管理し、聖星団内で、共有している。
フレンは、今後の為に、オーディンに助言も貰い、それから、
ラムウからも、何か力を貸し与えるほどだったとラリイは聞いていた。
「流石に、またディスザード国が関わっているとは言え、
あの七大竜を召喚することはあるまい・・・」
「?」
ラリイは、過去を思い出しながら、小声で独り言を言ってしまっていた。
それに、シルヴィルは気づいて、ラリイの言葉に首を傾げていたが、
ラリイはそれに気づいて、すぐに謝った。
「あ、気にしないでくれ。ディスザード国なら、知っている。
過去に、ディスザード国の騎士に会ったことがあるからな。」
「ええ!そうだったんですか?!」
シルヴィルはラリイの言葉にびっくりした顔をする。
そして、今度は少し怒った顔になりながら、ラリイに更に話す。
「あそこの国の騎士は、今、誰が次の国王になるかで揉めていて、統率がとれてないんです。
本来は第1王子が、国王になると決まっていたみたいなんですが、
第1王子は身体が弱く、性格も優しいから、今後の国を治めていけるか不安に
思われているらしくて、それで第2王子を王にしようって、派閥がいるみたいなんです。」
「はぁ・・・どうして、人間の王族は争いが好きなのだ。理解出来ぬ。」
ラリイは、毎度、毎度聞いている、人間の権力争いの話にうんざりした。
人間の自分が権力を持って、一番になりたいと言う、汚い欲望を
ラリイも人間界に来る度に嫌と言うほど見てきた。
今回も、その類なのかと、心底残念な気持ちになる。
人間はいつになったら、成長出来るのだろうか・・・。
フレン達のような人間も増えてきているはずなのに。
とラリイは思わずにはいられなかった。
「そういう話なら、聖星団に連絡を取った方がいいな。王族の揉め事は彼らの担当だ。」
「聖星団?」
「シルヴィルは知らないか・・・人間界を裏で管理している者達だ。
人間界が少しでも平和になるようにな。裏で活動している。」
「へぇー!そんな存在が人間界にはいるんですね!」
シルヴィルは、感心したような顔で、ラリイの話を楽しそうに聞く。
この感じだと、シルヴィルの一族は悪い意味で、聖星団と関りを持ってはいないようだ。
魔族にとって、聖星団を存在を知っているのなら、敵としての方が確立は高いだろう。
基本、魔族は人間の敵。だから、聖星団を知ってるとしたら、
敵として戦って知ることの方が多いはずだ。
ラリイは、何故か少しだけ、ホッとした気持ちになった。
シルヴィルが、聖星団を知らなくて良かったと。
もし、敵としてすでに知っていたら、ラリイを警戒したかもしれない。
それに、ラリイはシルヴィルが聖星団を憎んでいる存在であって欲しくなかった。
なんとなくだが・・・。
「で、ディスザード国のその一部の騎士は、どこを攻めようとしていたんだ?わかるか?」
「えっと・・・確か、隣国のフェガロアですね。兄の作戦の話を
盗み聞きすることが出来たのですが、作戦としては、フェガロア国に小さい戦いを仕掛けて、
それを第1王子が仕向けた事にして、責任を取らせて、第2王子が
国王になれるようにするとか、なんとか・・・?」
「そういう悪知恵だけは、働くとこに反吐が出るな・・・」
ラリイは、シルヴィルから、敵の作戦の話を聞いて、少しイラっとした。
過去にオーディンと王位争奪戦ゲームと言うゲームを一緒にしながら、
現実もこういう事があっただの、なんだのと、話を聞かされたことをラリイは思い出した。
如何に、王位を奪う為に、長年人間達が考えてきた策略が、どれだけあるか、
ラリイは、オーディンに聞かされて、頭が混乱しかけたことを思い出す。
そんな、ラリイを見て、オーディンは面白そうに笑ったものだ。
「あはは。ラリイは王族じゃなくて良かったな?特に、第1王子だったら、
俺に何度殺されてるかわからんぞ?」
「オーディンこそ、次から次へと、良くそんな策略が思いつきますね・・・」
「何を言うんだ?これは全部、過去の人間界で実際にあったことだぞ?
まぁ、俺からすれば、まだまだ爪が甘い、策略も多いがな。
強い欲望を持った人間は、時に恐ろしいまでに強くなることもある。
その欲望の根源が何によるものなのかでな。
王位争いの中には、何かを守りたい為にしているものもある。
一概に、すべてが悪いと言えないのも、人間の面白い所よ。」
「面白い?私には、まだ、それが面白いとは思えませんが・・・」
「ははは。ラリイは、まだまだ子供だからな。今はわからんだろうさ。
しかし、いずれ人間界に行く機会が増えれば、わかる時も来るだろう。
ラリイ。忘れるなよ?善悪の判断と言うのは、場合によっては難しいものがある。
裏に隠されたものがある場合に、それを知らずにすぐに悪だと決めつけるのは危険だ。
迷ったら、1人で解決しようとするな?特に人間関係の問題はな。」
「わ、わかりました・・・オーディン。気をつけます。」
ラリイは、その遊びの途中で、急に真面目になったオーディンに、
たじろぎながらも、素直に返事をした。
こんな事を思い出すなんて、今回の王位争いも、裏に何かあるのだろうか?
ラリイはそんな予感を感じていた。