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第8章「ザ・ストップ!反抗期!」

「はぁはぁ・・・」
「くそ!流石に強すぎるだろ!はぁはぁ・・・」
「これでは・・・はぁはぁ・・・キリがありませんね・・・」

ラリイと、イーグル、それにフィニアは、何とか七大竜の1体の
ゼイアス・ヴィイングと、本能からくる、恐怖に打ち勝ちながら、全力で戦っていた。
しかし、戦うと言っても、ラリイ達は、ゼイアスの攻撃を、
致命傷にならないように避けつつ、反撃はしているのだが、
ゼイアスがラリイ達の攻撃で、ダメージを受けている様子はなかった。
デスロードが呼び出した、ゼイアスは、デスロードのアジトの屋敷を、豪快にぶっ壊し、
ラリイ達は屋外に出てしまっていた。けど、そのおかげで、
ラリイ達は広い場所でゼイアスに対応することが出来たので、
何とか攻撃を避けれていると言った感じだ。
けれども、ラリイ達の攻撃が、ゼイアスに効いていないは、
非情にマズい状態であった。
このままでは、こちらの方が先に体力が尽きて、負けてしまう。
一方のデスロードは、トゥバンと睨み合ったままで動く気配がなかった。
デスロード的には、ラリイ達をどうにか先に片付けてしまい様子である。

「どうなってるんだ?いくら、七大竜とは言え、少しくらいは、
ダメージを受けるはずだろう?
なのに、ラリイ様の火の魔法さえ、無傷に近いとか・・・
一体、何が弱点だと言うんだ?!」

イーグルは、少しパニックになりかけながらも、ラリイ達と上手く連携を取りながら、
何度も、ゼイアスに力一杯に攻撃をする。
それでも、虚しく、イーグルの槍は、ゼイアスの硬い鱗に弾かれるだけで、傷がつかない。
ラリイ達も同じような感じであった。
そこへ、冷静な声のアルゥイントがラリイに助言をする。

「ラリイ・・・その竜は生きてはいない。」
「生きてはいない?では、死んでいる・・・つまりはゾンビ化していると言う事か?」
「そうだ。ゼイアスは、今、ドラゴンゾンビになっている。
古代魔法により、無理にかりそめの肉体を与えられ、
そこのデスロードに操られているにすぎん。」
「だが、そうであっても、私の火の魔法や、攻撃が効かない・・・
どうすればいいんだ?」

ラリイは、ドラゴンゾンビ化しているゼイアスと戦いながらも、
アルゥイントに更なる助言を求めた。

「ラリイ・・・我を大剣の姿にし、お前の名もなき生命の精霊の力を、我に宿せ。」
「名もなき生命の精霊の力を、アルゥイントに?」
「そうだ。それで、ゼイアスの心臓部分に我を突き立てよ。
そうすれば、身体が維持できなくなり、ゼイアスは消えるであろう。
それ以外に、ゼイアスを倒せる手段はあるまい。」
「・・・・・」

ラリイは、アルゥイントの助言を聞き、イーグル達と顔を合わせる。

「この巨大な竜の心臓を何とか、ラリイ様の目の前に
晒し出さないとならないみたいっすね・・・」
「はっきり出来るとは言えませんが、私とイーグルとで、やるしかないようですね。」
「頼めるか?数秒でもいい、何とか胸辺りが見える隙があれば・・・」

ラリイが、少し心配そうな顔で、両者に頼むと、イーグルも、
フィニアも笑顔になって力強く頷いて見せる。

「任せて下さい!何の為に、俺達がいるんです!」
「イーグルと言う通りです。ラリイ様はご自分の信じられる方法で、
戦われればいいのです。私達は、そのサポートの為にもいるのですから!」
「イーグル、フィニア・・・いつも、本当にすまない。
そして、私といつも親友で居てくれて感謝する。」

ラリイは、優しい笑顔で、イーグルと、フィニアに謝罪と感謝をした。
イーグルとフィニアは、一瞬だけ嬉しそうな顔をして、ラリイに頷いた後、
すぐに厳しい顔になり、目的とする魔法を使う体制に入る。

「やってみるか・・・フィニア。」
「そうですね・・・イーグル。お願いですから、ちゃんと浮かせて下さいよ?」
「誰に言ってるんだ?そういうお前こそ、最初の魔法でミスするなよ!」

イーグルとフィニアは、いつも口喧嘩を少ししてから、ラリイを見る。

「ラリイ様!いつでも行けます!」
「どうか、掛け声を!」
「うん!頼む!イーグル!フィニア!」

ラリイが大きい声で、イーグルとフィニアの名前を呼ぶと、
フィニアがまず最初にゼイアスの元に近づき、ある魔法を唱えた。

『我が永き付き合いの土の精霊よ、彼のモノの重力を鎖を断ち切り、
そのモノの身を身軽にせよ!!レビアート』

フィニアが、叫ぶように呪文を唱えると、次にすぐに、イーグルが、
フィニアと反対側の方に飛んでいき、ゼイアスを挟むような立ち位置に行く。
それから、イーグルもある魔法を使う。

『我が一族に所縁ある風の精霊よ、我が声を聞き、力を貸せ。
巨大なる風の力で、我の敵の前に竜巻を起こせ!トルネード!!』

イーグルは自分の中のありったけの魔力を使い、
ゼイアスを包み込めるほどの巨大な竜巻を起こし、ゼイアスを竜巻の力で持ち上げた。
ゼイアスは、いきなり自分の身体が空中に浮き、バタバタと激しくもがく。
ラリイ達の作戦はこうだ。
最初にフィニアが、ゼイアスを重力から解き放ち、地面に踏ん張れないようにしたら、
すぐにイーグルがトルネードと言う巨大な竜巻を起こす魔法で、
ゼイアスを身体を空中に浮かす。
そして、仰向けになったゼイアスの胸部をラリイが最後は狙う。

「や、やったぜ・・・」

イーグルは無事にゼイアスを空中に浮かす事に成功したのを見て後で、
急に激しく魔力を消費した為に、倒れ込みそうになるのを、
必死に槍を使い、自分の身体を支えて、耐えた。

「ラリイ様!今です!」

フィニアは、辛そうにしているイーグルの代わりに、ラリイに叫んだ。
ラリイは、イーグルとフィニアに感謝しつつ、頷いて、イーグルが作った、
竜巻の中に飛び込んだ。

「な、なんて無茶なことを?!ラリイ様ぁああ!!!」

トゥバンを予想もしていなかったラリイの行動に、心配して、
つい大声でラリイに叫んでしまう。
フィニアとイーグルは、ラリイを信じて、黙って見守っていた。
ラリイは、竜巻の中で、自分の風の精霊の力を借りて、
なんとかゼイアスの心臓部分の近くまで来ていた。

「アルゥイント、私の名もなき生命の精霊の力を、お前に宿すには、
どうしたらいいんだ?」
「ラリイ。難しく考える必要はない、お前が自分の精霊に、
自分の想像したことを伝えれば良い。自分を信じろ!時間が無いぞ!」
「わかった!やってみよう!」

ラリイは、アルゥイントに励まされ、アルゥイントの言われた通りにやってみる。

『我が古より深き繋がりのある、名もなき生命の精霊よ。
我が深き繋がりにおいて、我が声に答えよ。
我が剣、アルゥイントに宿り、邪悪なる生命を断ち切る為の力となれ!!!』

ラリイがそう呪文を唱えると、アルゥイントは大剣に姿を変え、
眩い光を放っていた。
まるで、太陽の力でも、宿したほどに、温かさと優しさを
感じさせながらも、力強い光だった。

「ラリイ!今だ!ゼイアスの心臓に我を突き刺せ!」

アルゥイントは、ラリイに、最高のタイミングで攻撃すべき時を教えた。
ラリイは迷いなく、ゼイアスの胸に飛び込み、アルゥイントの言った通りに、
ゼイアスの心臓にアルゥイントを突き立てた。

「ぐぅうおおおおおおお!!!!!」

ゼイアスの凄い音量の断末魔が、竜巻の中を通り越して、外にまで響く。
その声は、後にディスザード国の王宮にまで届いたと噂された。
ラリイは、イーグルとフィニアの力を借りて、七大竜の1体である、
ドラゴンゾンビ化してしまった、ゼイアス・ヴィイングを、
倒したのである。
ゼイアスは、身体を保つ為の心臓を失い、身体が砂の様に崩れて、消えた。
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