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第8章「ザ・ストップ!反抗期!」

「私達は、ただの旅人だ。たまたま、この村に寄っただけなのだが、
誰も居ないので、今、ここから立ち去ろうとしていた所だ。」
「ほう?ただの旅人か・・・その割には、鳥人族がいるわ、
随分と立派な武器も持っているではないか?お前も、そいつも。」

その騎士の男は、ラリイ達の外見などを指摘をする。
この様子だと、ラリイの言葉を素直に聞く気などないらしい。
それから、七幻主の存在に気づいてる節もある。
そうなると、かなり厄介な事に成りかねない。七幻主を欲しがる存在は数多いるのだ。
もちろん、人間とて例外ではない。ラリイ達も過去に、
七幻主欲しさに、悪い人間に幾度となく狙われたこともある。
今回も、そんな雰囲気になりそうで、ラリイは困った。
ラリイは仕方がなく、最終手段に出ることにした。

「私は、聖星団の代表のフレンと知り合いのラリイと言うものだ。
私の存在に疑いがあるのなら、聖星団に問い合わせをして欲しい。
それまでは、抵抗せずに、大人しく、ここに留まろう。それでは駄目か?」
「あの聖星団と知り合いだと?それは真だろうな?」
「私は、嘘などつきはしない。」

ラリイはきっぱりと、その騎士の男に告げた。騎士の男は、ラリイのはっきりとした態度に、
少し怖気づきはしたが、すぐに立ち直り、ラリイに返事をする。

「わ、わかった。お前の話を信じよう。丁度、我が国に、聖星団の使者が来ている。
その者と会えば、嘘か真か、はっきりするだろう。
おい!早急に城に戻り、トゥバン殿を、ここに呼んで、来て貰え!」
「はっ!私が城に戻り、直ちに呼んで参ります!」

ラリイと話をした、騎士の男は、自分の部下らしい騎士に指示を出すと、
すぐに指示を受けた騎士が馬に乗り、村から出て行った。

「貴方は、もしかして、ディスザード国の騎士の方か?」
「そうだ。ディスザード国の第3騎士団の団長をしているゴルトと言う。
一応、お見知りおきをと言っておこうか?」

ゴルトと名乗った、騎士団長はラリイ達に向かい馬鹿にするように不敵に笑った。
それを見た、イーグルとフィニアはイラっとした。
自分達を取り囲んだだけで、自分達が有利だと思い込んでいる態度だ。
ラリイは別に何も気にしてはいなかったが、イーグルやフィニアは、
ラリイがあの幻獣のフェニックスの子だと知っている分、
こんな馬鹿にした態度をラリイに取られて、良い気分なわけがない。
イーグルも、フィニアも、ラリイと親友とは言え、心の中では、
かなりの忠誠を誓っている。
ラリイの命が危険に晒されそうなら、自分の命さえ投げ出して助けるだろう。
イーグルとフィニアは、そこまでラリイを大事な存在として見ているのだ。

「ラリイ様・・・もし、こいつらがふざけたことをしそうになったら、
急いで逃げましょう。」
「そうです。こんなラリイ様に対して無礼な奴らに、
礼儀を尽くされる必要はありません。」

イーグルも、フィニアも、小声でラリイに、そう言う。
ラリイは、困ったなぁーと苦笑いしたい気分を抑え、
イーグルとフィニアに向かい、首を横に振った。

「無駄に誤解を与えたらいけない。今は様子を見て、フレン達に
助けて貰えるかどうかに賭けよう。」

ラリイは両者を説得して、イーグル達は渋々に大人しくしていた。
数十分後に、ゴルトの部下が、聖星団の使者を連れて戻って来た。

「ラリイ様!ラリイ様ではありませんか!!」

聖星団の使者で、トゥバンと言われた、青年はラリイを見るなり、
笑顔になって、ラリイの側に寄って来た。
紺色の短髪に、つり目で、同じく紺色の瞳をした25歳前後の青年は、
すぐにゴルトに言う。

「ゴルト騎士団長殿。この方は、とある高名な方のご子息のラリイ様です。
この方の素性は、我々、聖星団が全面的に保証します。
なので、警戒を解き、すぐに解放して下さい。」

トゥバンは、厳しい顔つきで、ゴルトに、はっきりと告げた。
ラリイ達は、何故か悔しそうな顔をするゴルトから、無事に解放されることが出来た。

「ラリイ様!お久しぶりです!まさか、こんな時に、この村に
起こしになるなんて、タイミングが悪すぎましたね。」

トゥバンは、ラリイ達をゴルト達から離して、別の場所で会話していた。
トゥバンは、フレンが作った聖星団の初期の団員で、
それなりに実力のある、将来を期待された青年だった。
外見はラリイよりは上に見えるが、年齢的にはラリイより下だ。
時の流れが若干違うので。

「実は、トゥバン。私は、このディスザードで悪い噂を聞いて、
イーグルと、フィニアと一緒に、本当は目的があって、この村に来たんだ。」
「あ、やっぱり・・・そんな気がしてました。流石、ラリイ様ですね。
我々が追っている、デスロードの存在に、もう気づかれるとは。」
「デスロード?」

ラリイは、トゥバンから聞き馴染みのない言葉を聞いて、首を傾げた。
トゥバンは、そんなラリイ達に丁寧に説明をする。

「ネクロマンサーの中でも、かなりの実力と、邪悪な存在として、
危険視している者をそう呼んでおります。今回のネクロマンサーは、
相当の実力がある者でして、それに、人間を実験体、または道具として、
酷く扱う事も厭わないような奴です。今回はかなり活発的に動いているようで、
もしかしたら、人間界の一部を自分のモノにしようとしているのかもしれません。」
「そんな奴がまだ人間界にはいるのか、呆れた奴だ。」

トゥバンの話を聞き、イーグルが口を挟む。その顔は、そのネクロマンサーに嫌悪していた。
それは、フィニアも同じらしく、苦い顔をしている。

「そうか。なら、トゥバン。私達も協力しよう。」
「え?!いいのですか!そうして頂けるなら、こんなに有難いことはありませんが・・・」
「全然、構わない。その為に、私達だって来たのだから。」

ラリイの返答に、トゥバンは、物凄く嬉しそうにする。
ラリイの力が借りられるのであれば、反対するわけがない。
フェニックスの力を持っているラリイは、トランプで言えば、
ジョーカー並みの存在だ。
トゥバンにしたら、これほどに心強い味方はいないと言っていい。

「本当に助かります!ラリイ様!正直、ディスザード国の方々が、
協力して下さる話には、なってはいたのですが、何分、彼らは、
やっぱり生身の人間。死なれてしまえば、逆に敵になる恐れもあったので、
どうしようか、困っていたのです。」
「ならば、丁度良く、私達は来たと言うわけだ。」
「あはは、そうですね!これは、私に、いや、聖星団にとっても、最大に幸運ですよ♪」
「やれやれ、ラリイ様は、本当に人間達にとっては、英雄ですね。」

ラリイとトゥバンのやり取りを聞いた、フィニアは、そう茶化した。
表の歴史では、ラリイの業績は何も残ってはいないが、聖星団が残している歴史には、
ラリイの業績はしっかりと残っている。
ラリイが実は多くの、人間達の脅威になる存在を排除してきたかが。

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