第7章「やってみたいお年頃」
ラリイの様子に、フィニアはすぐに察した。人間達の為に来たのであろうと。
今までに、フェニックスがビスマルクに会いに来たことはなかったのだ。
仮にあったとしても、遥か昔のことだろう。
リィヴァシャイン一族でも、フェニックスと面識のある者は、もう存在すらしてない。
そして、今のこんな状態で現れれば、簡単に想像がつくではないか。
人間達の為に来たのであろうと。
フィニアは、内心、ラリイを憎む。どうして、人間なんかに力を貸すのかと。
「フィニア達の言い分は、分かりました。でも、それでも、
ビスマルク様に会わせて頂けないでしょうか?」
「何故です?」
「私は、個人的にもビスマルク様にお会いしたいんです。
確かに、正直に私もお話しますが、人間達側の手紙を預かってはいます。
だけど、それはきっかけに過ぎません。私は、許されるのなら、
ビスマルク様とお知り合いになりたいのです。これから先も、
仲良くさせて貰えたらとさえ思います。」
「しかし、貴方は・・・」
ラリイの素直な言葉であっても、今のフィニアは受け入れ難かった。
ラリイに個人的は恨みは確かにない。だが、ラリイはこうまで、
ビスマルクに会いたがるのは、やっぱり人間達の為なのだろうと
思うと、どうしてもフィニアは許せなかった。
「その顔だと、私はいくら駄目だと言っても、聞いて頂け無さそうですね。」
ラリイの強い意志を感じる顔を見て、フィニアは、また溜息をつく。
ラリイは自分の気持ちを理解して欲しくて真面目な顔でフィニアを見る。
「私が出来ることで、フィニアに信頼して貰えることがあるのなら、教えて欲しいです。」
「私に信頼を・・・」
フィニアはラリイの言葉を聞いて考える。そして、これしないと考え着く。
「なら、私と真剣勝負して下さい。」
「フィニアと?」
「はい。こうなれば、互いに戦って証明するしかないと思ってます。
ラリイ様が勝ったら、私が責任を持ってビスマルク様にお会いさせます。
ですが、負けたら、今回は素直にお帰り下さい。いいですか?」
「うん・・・それしかないようだね。」
ラリイは、本当なら戦いたくはなかったが、互いに譲れないものがある以上、
仕方がないと思った。
それでフィニアの信頼を得れるなら、ラリイはやるしかない。
「では、ここでは無理なので、別の場所に移動しましょうか?」
フィニアは、ラリイを庭のような場所に案内した。
周りにも戦いに邪魔になるようなものはない。
フィニアは、槍をしっかりと構えて、ラリイを鋭く見る。
ラリイも、アルゥイントをしっかりと握り、構えた。
「シャディヴァ・ランス・・・久しぶりに会うな。」
「アルゥイント?」
「?!」
戦いがそろそろ始まりそうな時に、アルゥイントは、急に言葉を発した。
それを見た、フィニアが驚いた顔でラリイとアルゥイントを見る。
「まさか・・・ラリイ様があのアルゥイントの持ち主?!」
「アルゥイント、フィニアが持っているのが、アルゥイントと
同じ七幻主のシャディヴァ・ランスなの?」
「間違いない。あの者が持ちし槍は、シャディヴァ・ランス。
我が、同胞を間違うわけがない。」
「そうだよね・・・」
ラリイは、アルゥイントに言われて、冷や汗が出た。
よりにもよって、シャディヴァ・ランスの使い手がフィニアだったとは。
しかし、それはフィニアも同じ気持ちだった。
ラリイが同じ七幻主の使い手だとは夢にも思わなかったのだ。
(なんと言う事だ。この勝負は自分が有利だと思っていたのに。
あのフェニックスの子が、アルゥイントの持ち主だったとは。
この勝負・・・どうなるか、わからないな。)
お互いに相手を見る目が、ますます厳しくなる。
この勝負の空気が、重苦しく、嫌なものになっていく。
互いに隙を見せないようにするのに、必死であった。
「ラリイ・・・シャディヴァ・ランスは光の攻撃が出来る。
気をつけろ。しかし、勝機はそこにあろうぞ。」
アルゥイントは、今度は心の中でラリイに教えた。
シャディヴァ・ランスは光の魔法を使える槍で、その光の攻撃は
相手の目を眩ませたりも出来る。
ラリイは、フィニアにはバレないように心の中で「ありがとう」と返事をした。
こうしたやり取りが出来る分、アルゥイントは、七幻主の中では最後に
出来た武器とされるが、その分、七幻主の中で最強との噂もあった。
「はぁああああ!」
1撃目はフィニアからであった。フィニアの槍は容赦なく、ラリイの急所を狙う。
ラリイも全力でフィニアの攻撃を弾く。
「やっぱり、アルゥイントに選ばれた者と言う事はありますね。」
フィニアは、何故か嬉しそうにラリイに言う。
ラリイも、同じ七幻主を持つフィニアと戦えて、実は良かったと
思っていた。
こんな機会は滅多にないことだろう。広い世界に7つしか存在しない武器。
それを今ここで実戦で使っている存在など、奇跡に近い。
違うものがこの光景を見たのなら、ラリイ達は、七幻主によって、
引き合わされたのだと思う事だろう。
「フィニア・・・私は絶対に勝って・・・君とも友になるよ・・・」
「ふっ・・・そうなれるといいですね。ですが、私は容赦しませんよ!!!」
フィニアは、そう言った後は、次々と激しい槍の攻撃をラリイに繰り返す。
ラリイも負け時と攻撃を弾き返し、反撃をしていく。
両者の攻防は30分など、すぐに過ぎた。
互いに細かい傷が体についていた。でも、それでも、
どちらかが、降参になるような決めてにならない。
ラリイは、槍の相手のとの戦いは、イーグルのおかげで
慣れていたのが大きかった。
そして、オーディンも槍の扱いは得意な存在だ。
今はまだ、オーディンには槍で戦ったら勝てるようなレベルではないが、
それでも、その経験はラリイの中で大きな力になっている。
フィニアも、ラリイがここまで、自分の攻撃に対応出来るなど、
思っていなかった。
「恐ろしい方ですね。まだ、子供のはずなのに・・・」
フィニアはつい、小声で言ってしまった。
ラリイの耳には届いてないだろうが、こんな事を言う相手に、
出会ったのは久しぶりの事だ。
「もう、次で決めるのだ!」
フィニアは、自分に言い聞かせるようにして、ラリイに突く攻撃をする振りをして、
違う攻撃に入る構えになった。光の魔法を使おうとしたのだ。
ラリイは、反射的にその違和感がある攻撃に身構える。
ラリイ達の辺りが急に激しい光に包まれた。
「これが?!」
「ラリイ様!これで終わりです!!」
フィニアは、光の中でラリイの首に槍を突き刺す気持ちで、再度、攻撃を放った。
しかし、フィニアの槍は強い力で取り押さえられ、
逆に自分の首に冷たい金属の触感があった。
「ば、馬鹿な・・・あの光の中で、逆に私を?」
「これでいいかな?フィニア?」
辺りの光が消え、互いの姿がはっきり見えた時、フィニアは、
ラリイにアルゥイントを首に突き付けられていた。
自分が、得意だと思っていた攻撃を、ラリイにされ返されたのだ。
ラリイは、清々しい程の笑顔でフィニアを見ていた。
フィニアは、そんなラリイを見て、実感する。自分は負けたのだと。
両者の勝負は、大きな怪我もなく、勝ちが決まった。
それを、アルゥイントもシャディヴァ・ランスも喜んでいるかのようであった。
今までに、フェニックスがビスマルクに会いに来たことはなかったのだ。
仮にあったとしても、遥か昔のことだろう。
リィヴァシャイン一族でも、フェニックスと面識のある者は、もう存在すらしてない。
そして、今のこんな状態で現れれば、簡単に想像がつくではないか。
人間達の為に来たのであろうと。
フィニアは、内心、ラリイを憎む。どうして、人間なんかに力を貸すのかと。
「フィニア達の言い分は、分かりました。でも、それでも、
ビスマルク様に会わせて頂けないでしょうか?」
「何故です?」
「私は、個人的にもビスマルク様にお会いしたいんです。
確かに、正直に私もお話しますが、人間達側の手紙を預かってはいます。
だけど、それはきっかけに過ぎません。私は、許されるのなら、
ビスマルク様とお知り合いになりたいのです。これから先も、
仲良くさせて貰えたらとさえ思います。」
「しかし、貴方は・・・」
ラリイの素直な言葉であっても、今のフィニアは受け入れ難かった。
ラリイに個人的は恨みは確かにない。だが、ラリイはこうまで、
ビスマルクに会いたがるのは、やっぱり人間達の為なのだろうと
思うと、どうしてもフィニアは許せなかった。
「その顔だと、私はいくら駄目だと言っても、聞いて頂け無さそうですね。」
ラリイの強い意志を感じる顔を見て、フィニアは、また溜息をつく。
ラリイは自分の気持ちを理解して欲しくて真面目な顔でフィニアを見る。
「私が出来ることで、フィニアに信頼して貰えることがあるのなら、教えて欲しいです。」
「私に信頼を・・・」
フィニアはラリイの言葉を聞いて考える。そして、これしないと考え着く。
「なら、私と真剣勝負して下さい。」
「フィニアと?」
「はい。こうなれば、互いに戦って証明するしかないと思ってます。
ラリイ様が勝ったら、私が責任を持ってビスマルク様にお会いさせます。
ですが、負けたら、今回は素直にお帰り下さい。いいですか?」
「うん・・・それしかないようだね。」
ラリイは、本当なら戦いたくはなかったが、互いに譲れないものがある以上、
仕方がないと思った。
それでフィニアの信頼を得れるなら、ラリイはやるしかない。
「では、ここでは無理なので、別の場所に移動しましょうか?」
フィニアは、ラリイを庭のような場所に案内した。
周りにも戦いに邪魔になるようなものはない。
フィニアは、槍をしっかりと構えて、ラリイを鋭く見る。
ラリイも、アルゥイントをしっかりと握り、構えた。
「シャディヴァ・ランス・・・久しぶりに会うな。」
「アルゥイント?」
「?!」
戦いがそろそろ始まりそうな時に、アルゥイントは、急に言葉を発した。
それを見た、フィニアが驚いた顔でラリイとアルゥイントを見る。
「まさか・・・ラリイ様があのアルゥイントの持ち主?!」
「アルゥイント、フィニアが持っているのが、アルゥイントと
同じ七幻主のシャディヴァ・ランスなの?」
「間違いない。あの者が持ちし槍は、シャディヴァ・ランス。
我が、同胞を間違うわけがない。」
「そうだよね・・・」
ラリイは、アルゥイントに言われて、冷や汗が出た。
よりにもよって、シャディヴァ・ランスの使い手がフィニアだったとは。
しかし、それはフィニアも同じ気持ちだった。
ラリイが同じ七幻主の使い手だとは夢にも思わなかったのだ。
(なんと言う事だ。この勝負は自分が有利だと思っていたのに。
あのフェニックスの子が、アルゥイントの持ち主だったとは。
この勝負・・・どうなるか、わからないな。)
お互いに相手を見る目が、ますます厳しくなる。
この勝負の空気が、重苦しく、嫌なものになっていく。
互いに隙を見せないようにするのに、必死であった。
「ラリイ・・・シャディヴァ・ランスは光の攻撃が出来る。
気をつけろ。しかし、勝機はそこにあろうぞ。」
アルゥイントは、今度は心の中でラリイに教えた。
シャディヴァ・ランスは光の魔法を使える槍で、その光の攻撃は
相手の目を眩ませたりも出来る。
ラリイは、フィニアにはバレないように心の中で「ありがとう」と返事をした。
こうしたやり取りが出来る分、アルゥイントは、七幻主の中では最後に
出来た武器とされるが、その分、七幻主の中で最強との噂もあった。
「はぁああああ!」
1撃目はフィニアからであった。フィニアの槍は容赦なく、ラリイの急所を狙う。
ラリイも全力でフィニアの攻撃を弾く。
「やっぱり、アルゥイントに選ばれた者と言う事はありますね。」
フィニアは、何故か嬉しそうにラリイに言う。
ラリイも、同じ七幻主を持つフィニアと戦えて、実は良かったと
思っていた。
こんな機会は滅多にないことだろう。広い世界に7つしか存在しない武器。
それを今ここで実戦で使っている存在など、奇跡に近い。
違うものがこの光景を見たのなら、ラリイ達は、七幻主によって、
引き合わされたのだと思う事だろう。
「フィニア・・・私は絶対に勝って・・・君とも友になるよ・・・」
「ふっ・・・そうなれるといいですね。ですが、私は容赦しませんよ!!!」
フィニアは、そう言った後は、次々と激しい槍の攻撃をラリイに繰り返す。
ラリイも負け時と攻撃を弾き返し、反撃をしていく。
両者の攻防は30分など、すぐに過ぎた。
互いに細かい傷が体についていた。でも、それでも、
どちらかが、降参になるような決めてにならない。
ラリイは、槍の相手のとの戦いは、イーグルのおかげで
慣れていたのが大きかった。
そして、オーディンも槍の扱いは得意な存在だ。
今はまだ、オーディンには槍で戦ったら勝てるようなレベルではないが、
それでも、その経験はラリイの中で大きな力になっている。
フィニアも、ラリイがここまで、自分の攻撃に対応出来るなど、
思っていなかった。
「恐ろしい方ですね。まだ、子供のはずなのに・・・」
フィニアはつい、小声で言ってしまった。
ラリイの耳には届いてないだろうが、こんな事を言う相手に、
出会ったのは久しぶりの事だ。
「もう、次で決めるのだ!」
フィニアは、自分に言い聞かせるようにして、ラリイに突く攻撃をする振りをして、
違う攻撃に入る構えになった。光の魔法を使おうとしたのだ。
ラリイは、反射的にその違和感がある攻撃に身構える。
ラリイ達の辺りが急に激しい光に包まれた。
「これが?!」
「ラリイ様!これで終わりです!!」
フィニアは、光の中でラリイの首に槍を突き刺す気持ちで、再度、攻撃を放った。
しかし、フィニアの槍は強い力で取り押さえられ、
逆に自分の首に冷たい金属の触感があった。
「ば、馬鹿な・・・あの光の中で、逆に私を?」
「これでいいかな?フィニア?」
辺りの光が消え、互いの姿がはっきり見えた時、フィニアは、
ラリイにアルゥイントを首に突き付けられていた。
自分が、得意だと思っていた攻撃を、ラリイにされ返されたのだ。
ラリイは、清々しい程の笑顔でフィニアを見ていた。
フィニアは、そんなラリイを見て、実感する。自分は負けたのだと。
両者の勝負は、大きな怪我もなく、勝ちが決まった。
それを、アルゥイントもシャディヴァ・ランスも喜んでいるかのようであった。