第7章「やってみたいお年頃」
「君!こっちに!!」
逃げている白いイルカに、ラリイは急いで声を掛けた。
白いイルカはラリイを見て、ビックリした顔をしたが、すぐに我に戻り、
ラリイの背後に隠れた。そこへ、あの巨大なサメも来た。
「なんだ、なんだ?人間だと?しかも、海の中で平気そうにしてやがるな?
お前、何者だ?」
「私が何者であっても、お前には関係ない。」
「ぐぐぐ、人間の子供の癖に生意気な奴だ!なら、俺達の事も
関係ないだろう!その白いイルカを俺に寄越せ!」
「嫌よ!貴方の側になんか行かないわ!」
白いイルカは、巨大なサメを拒絶する。べーっと舌を出してるくらいだ。
「嫌がってるぞ?諦めたら、どうだ?」
ラリイは、巨大なサメにそう言うが、巨大なサメの方は、
顔を真っ赤にして、ラリイに怒るだけだ。
「うるさい!お前みたいなのがいるから、悪いのだ!!!
人間がこの海に居るのは目障りだ!俺が喰って掃除してやる!」
巨大なサメは、白いイルカに拒絶された怒りを、ラリイに理不尽にぶつけてくる。
ラリイは、そんな巨大なサメの対応に呆れた。
「なんて・・・生き物だ。海の生き物は、こういうものなのか?」
ラリイは、思わず、ボソッと呟くと、白いイルカが背後から怒る。
「ちょっと!あんなのと私達を一緒にしないでよ?!」
「え?・・・あ、うん。」
ラリイは、背後の白いイルカからも、こんな感じで怒られると
思わず、素直に返事してしまった。
そうこうしているうちに、巨大なサメはラリイを呑み込もうとして、
大きな口を開け、ラリイ目掛けて、身体に似合わず、早い速度で泳いでくる。
ラリイは、咄嗟のことであったが、両手をその巨大なサメに向け、
風の魔法を使い、相手に負けじと巨大な渦を作り、当てた。
「な、なんだとぉおおおおぉぉ?!!うぎゃあぁああああ!!!」
巨大なサメは、巨大な渦に押し当てられ、遥か遠くまで、
海の中であるが、飛んで消えていった。
呆気なく、巨大なサメの脅威が消え、白いイルカもラリイも、
つい呆然としてしまう。
けど、白いイルカはすぐにラリイに助けられたことを大喜びし、
感謝しながら、ラリイの周りをグルグル泳ぐ。
「凄い!凄い!!有難う♥貴方!只の人間じゃないわね♪お名前は何て言うの?」
「私はラリイだ。君は?」
「私の名前はヴィアンレよ♪助けてくれて、本当に有難うね♪
ところで、何でラリイは、こんな海のど真ん中にいるの?」
白いイルカのヴィアンレは、不思議そうな顔でラリイを見る。
ラリイは、ヴィアンレにリィヴァシャイン一族達を探していることを話す。
「あーそうなのね。フィニア達に会いたいんだ。」
「フィニア?」
「そう!リィヴァシャイン達を、束ねる長の子で、いつかは長になる予定なの♪
気難しいけど、性格は悪い男の子じゃないわ♪」
「へぇーそうなんだね。」
ヴィアンレは嬉しそうな顔をして、ラリイにフィニアの事を話す。
その表情は、恋する乙女と言った顔だ。
今のラリイには、まだそれは理解出来ないが。
「どうにか、そのフィニア達に会いたいんだけど、どうにかならないかなぁ?」
「そうね・・・助けて貰ったし・・・案内してあげたいんだけど、
私が今ここにいるのが、バレるとマズいのよね・・・」
ヴィアンレは、小難しい顔をして、ラリイの話を聞く。
ラリイは、ヴィアンレが何で躊躇うのかが、わからずに困る。
「もし、ヴィアンレが案内が難しいなら、せめて、
どの方向に進めば会えるかだけでも・・・」
ラリイが、ヴィアンレに声を掛けて、最後まで話そうとした瞬間に、
数人の人魚達が大声を上げながら、何かを探している。
「ヴィアンレ様!何処ですか?!!」
「ビスマルク様が大層、心配されております!どうか、お戻りを!」
「ヴィアンレ様!悪戯はいい加減にお止め下さい!」
その声を聞いた、ヴィアンレは、ヤバい!と言う顔になり、ラリイに早口で喋る。
「ラリイ!彼らがラリイの会いたがっている、リィヴァシャイン達よ!
ごめんね!私は今、彼らに見つかるわけにはいかないの!
行かなくちゃ!またね♪」
「え?あ、ちょっと待って!」
ヴィアンレは、ラリイの静止も聞かずに、物凄い速さで泳いで消えた。
とんでもない速さにラリイは、目を丸くしてしまった。
「凄いな。ヴィアンレは、あんなに速く泳げるんだ。ちょっと、
羨ましいかも。」
ラリイは、すぐに現れて消えた、ヴィアンレに苦笑いした。
そんなラリイを見つけた、リィヴァシャインの男達は、一斉に
ラリイに槍を向け、戦闘態勢に入る。
どのリィヴァシャインの男も美男子の人魚であった。まるで、おとぎ話のように。
「一難去ってまた一難・・・かな?」
ラリイは、苦笑いをしたまま、リィヴァシャイン達と初対面した。
「我らが領域に侵入する、お前は何者だ?」
リィヴァシャイン達の中の1人の人魚の男が、厳しい顔でラリイに問いてくる。
隊長のような男は、水色の長髪で、深い濃い蒼の瞳で、他のリィヴァシャインも一際、
美形ではあったが、表情は冷たかった。
ラリイは、両手を上げて、降参したポーズを取りながら、答える。
「私は幻獣フェニックスの子、ラリイだ。訳があって、ビスマルク様に
お会いしたい。面会を許して貰えないだろうか?」
「何?あの幻獣フェニックスの子だと?」
ラリイに声を掛けた、リィヴァシャイン一族の男は、ラリイの言葉に
警戒しながら、不審がる。
「もし、そうであるなら、あの幻獣界の三大重臣のお一方だ。
無下な扱いは出来ないが・・・
とりあえず、こんな場所で会話を続けるのは、流石に失礼と言うものだ。
我々の国に案内しよう。」
リィヴァシャインの男は、怪しみながらもラリイを、自分達の
海の中の国へと誘導した。
「私はリィヴァシャイン族の長の子、フィニアです。挨拶が遅れ申し訳ありません。」
ラリイをリィヴァシャイン達の国に案内した人魚の男は、そう名乗った。
ラリイは、フィニアの屋敷の一室に、丁寧に案内されていた。
ヴィアンレから聞いていた、フィニアに早くに出会えて、ラリイは、少し微笑んだ。
「貴方がフィニアだったんですね。」
「何故、私の事を?」
ラリイから、そんなことを言われ、フィニアは少し嫌そうな顔をする。
気味悪がっている感じだ。
ラリイは、いけないと思い、すぐにヴィアンレの名前を出した。
「あ、いえ、実はさっき出会った、ヴィアンレに聞いたので。」
「ヴィーに?まさか・・・本当に困った娘だ。」
フィニアは、何か思い当たることがあるらしく、困った顔をする。
しかし、すぐに気持ちを切り替えたのか、ラリイに、再度、用件を詳しく尋ねる。
「フェニックス様のご子息が、わざわざ、このような場所に
来られたのは、本当にビスマルク様にお会いしたいからだけでしょうか?」
「と、言うと?」
ラリイは、フィニアの言い回しを気にしながら、聞き返す。
フィニアは深く溜息をつきながらも、話を続けた。
「実は、お恥ずかしい話ですが、我々は今人間と対峙しております。
人間が、我らが偉大なる主である、ビスマルク様に無礼を働き、
更に事もあろうか、我らが大事に守っている、七幻主の1つ、
シャディヴァ・ランスを寄越せと言うのです。」
「え?そんなことを?」
「はい。なので、我々は今後、人間達と、どう関わっていくべきなのか、検討中なのです。
ですから、もしフェニックス様のご子息の貴方が、人間達の為に
「何か」をしに、こちらに来たのであれば、我々も対応を考えなければなりません。」
「・・・・・・」
ラリイは、ここまでフィニアに言われて、何も言えなくなってしまった。
つまり、先手を取られてしまったのだ。これでは、オーディン達に託された、
手紙をビスマルクに渡すなど、不可能に近い。
ラリイは、困った顔をしながらも、沈黙するしかなかった。
逃げている白いイルカに、ラリイは急いで声を掛けた。
白いイルカはラリイを見て、ビックリした顔をしたが、すぐに我に戻り、
ラリイの背後に隠れた。そこへ、あの巨大なサメも来た。
「なんだ、なんだ?人間だと?しかも、海の中で平気そうにしてやがるな?
お前、何者だ?」
「私が何者であっても、お前には関係ない。」
「ぐぐぐ、人間の子供の癖に生意気な奴だ!なら、俺達の事も
関係ないだろう!その白いイルカを俺に寄越せ!」
「嫌よ!貴方の側になんか行かないわ!」
白いイルカは、巨大なサメを拒絶する。べーっと舌を出してるくらいだ。
「嫌がってるぞ?諦めたら、どうだ?」
ラリイは、巨大なサメにそう言うが、巨大なサメの方は、
顔を真っ赤にして、ラリイに怒るだけだ。
「うるさい!お前みたいなのがいるから、悪いのだ!!!
人間がこの海に居るのは目障りだ!俺が喰って掃除してやる!」
巨大なサメは、白いイルカに拒絶された怒りを、ラリイに理不尽にぶつけてくる。
ラリイは、そんな巨大なサメの対応に呆れた。
「なんて・・・生き物だ。海の生き物は、こういうものなのか?」
ラリイは、思わず、ボソッと呟くと、白いイルカが背後から怒る。
「ちょっと!あんなのと私達を一緒にしないでよ?!」
「え?・・・あ、うん。」
ラリイは、背後の白いイルカからも、こんな感じで怒られると
思わず、素直に返事してしまった。
そうこうしているうちに、巨大なサメはラリイを呑み込もうとして、
大きな口を開け、ラリイ目掛けて、身体に似合わず、早い速度で泳いでくる。
ラリイは、咄嗟のことであったが、両手をその巨大なサメに向け、
風の魔法を使い、相手に負けじと巨大な渦を作り、当てた。
「な、なんだとぉおおおおぉぉ?!!うぎゃあぁああああ!!!」
巨大なサメは、巨大な渦に押し当てられ、遥か遠くまで、
海の中であるが、飛んで消えていった。
呆気なく、巨大なサメの脅威が消え、白いイルカもラリイも、
つい呆然としてしまう。
けど、白いイルカはすぐにラリイに助けられたことを大喜びし、
感謝しながら、ラリイの周りをグルグル泳ぐ。
「凄い!凄い!!有難う♥貴方!只の人間じゃないわね♪お名前は何て言うの?」
「私はラリイだ。君は?」
「私の名前はヴィアンレよ♪助けてくれて、本当に有難うね♪
ところで、何でラリイは、こんな海のど真ん中にいるの?」
白いイルカのヴィアンレは、不思議そうな顔でラリイを見る。
ラリイは、ヴィアンレにリィヴァシャイン一族達を探していることを話す。
「あーそうなのね。フィニア達に会いたいんだ。」
「フィニア?」
「そう!リィヴァシャイン達を、束ねる長の子で、いつかは長になる予定なの♪
気難しいけど、性格は悪い男の子じゃないわ♪」
「へぇーそうなんだね。」
ヴィアンレは嬉しそうな顔をして、ラリイにフィニアの事を話す。
その表情は、恋する乙女と言った顔だ。
今のラリイには、まだそれは理解出来ないが。
「どうにか、そのフィニア達に会いたいんだけど、どうにかならないかなぁ?」
「そうね・・・助けて貰ったし・・・案内してあげたいんだけど、
私が今ここにいるのが、バレるとマズいのよね・・・」
ヴィアンレは、小難しい顔をして、ラリイの話を聞く。
ラリイは、ヴィアンレが何で躊躇うのかが、わからずに困る。
「もし、ヴィアンレが案内が難しいなら、せめて、
どの方向に進めば会えるかだけでも・・・」
ラリイが、ヴィアンレに声を掛けて、最後まで話そうとした瞬間に、
数人の人魚達が大声を上げながら、何かを探している。
「ヴィアンレ様!何処ですか?!!」
「ビスマルク様が大層、心配されております!どうか、お戻りを!」
「ヴィアンレ様!悪戯はいい加減にお止め下さい!」
その声を聞いた、ヴィアンレは、ヤバい!と言う顔になり、ラリイに早口で喋る。
「ラリイ!彼らがラリイの会いたがっている、リィヴァシャイン達よ!
ごめんね!私は今、彼らに見つかるわけにはいかないの!
行かなくちゃ!またね♪」
「え?あ、ちょっと待って!」
ヴィアンレは、ラリイの静止も聞かずに、物凄い速さで泳いで消えた。
とんでもない速さにラリイは、目を丸くしてしまった。
「凄いな。ヴィアンレは、あんなに速く泳げるんだ。ちょっと、
羨ましいかも。」
ラリイは、すぐに現れて消えた、ヴィアンレに苦笑いした。
そんなラリイを見つけた、リィヴァシャインの男達は、一斉に
ラリイに槍を向け、戦闘態勢に入る。
どのリィヴァシャインの男も美男子の人魚であった。まるで、おとぎ話のように。
「一難去ってまた一難・・・かな?」
ラリイは、苦笑いをしたまま、リィヴァシャイン達と初対面した。
「我らが領域に侵入する、お前は何者だ?」
リィヴァシャイン達の中の1人の人魚の男が、厳しい顔でラリイに問いてくる。
隊長のような男は、水色の長髪で、深い濃い蒼の瞳で、他のリィヴァシャインも一際、
美形ではあったが、表情は冷たかった。
ラリイは、両手を上げて、降参したポーズを取りながら、答える。
「私は幻獣フェニックスの子、ラリイだ。訳があって、ビスマルク様に
お会いしたい。面会を許して貰えないだろうか?」
「何?あの幻獣フェニックスの子だと?」
ラリイに声を掛けた、リィヴァシャイン一族の男は、ラリイの言葉に
警戒しながら、不審がる。
「もし、そうであるなら、あの幻獣界の三大重臣のお一方だ。
無下な扱いは出来ないが・・・
とりあえず、こんな場所で会話を続けるのは、流石に失礼と言うものだ。
我々の国に案内しよう。」
リィヴァシャインの男は、怪しみながらもラリイを、自分達の
海の中の国へと誘導した。
「私はリィヴァシャイン族の長の子、フィニアです。挨拶が遅れ申し訳ありません。」
ラリイをリィヴァシャイン達の国に案内した人魚の男は、そう名乗った。
ラリイは、フィニアの屋敷の一室に、丁寧に案内されていた。
ヴィアンレから聞いていた、フィニアに早くに出会えて、ラリイは、少し微笑んだ。
「貴方がフィニアだったんですね。」
「何故、私の事を?」
ラリイから、そんなことを言われ、フィニアは少し嫌そうな顔をする。
気味悪がっている感じだ。
ラリイは、いけないと思い、すぐにヴィアンレの名前を出した。
「あ、いえ、実はさっき出会った、ヴィアンレに聞いたので。」
「ヴィーに?まさか・・・本当に困った娘だ。」
フィニアは、何か思い当たることがあるらしく、困った顔をする。
しかし、すぐに気持ちを切り替えたのか、ラリイに、再度、用件を詳しく尋ねる。
「フェニックス様のご子息が、わざわざ、このような場所に
来られたのは、本当にビスマルク様にお会いしたいからだけでしょうか?」
「と、言うと?」
ラリイは、フィニアの言い回しを気にしながら、聞き返す。
フィニアは深く溜息をつきながらも、話を続けた。
「実は、お恥ずかしい話ですが、我々は今人間と対峙しております。
人間が、我らが偉大なる主である、ビスマルク様に無礼を働き、
更に事もあろうか、我らが大事に守っている、七幻主の1つ、
シャディヴァ・ランスを寄越せと言うのです。」
「え?そんなことを?」
「はい。なので、我々は今後、人間達と、どう関わっていくべきなのか、検討中なのです。
ですから、もしフェニックス様のご子息の貴方が、人間達の為に
「何か」をしに、こちらに来たのであれば、我々も対応を考えなければなりません。」
「・・・・・・」
ラリイは、ここまでフィニアに言われて、何も言えなくなってしまった。
つまり、先手を取られてしまったのだ。これでは、オーディン達に託された、
手紙をビスマルクに渡すなど、不可能に近い。
ラリイは、困った顔をしながらも、沈黙するしかなかった。