第7章「やってみたいお年頃」
ラリイは、オーディンから、さっきまで、オーディン達が
話していた話を聞かされることになる。
「ラリイ。人間界の海にいる幻獣のビスマルクは知ってるか?」
「はい。お名前だけなら。」
「では、リィヴァシャイン一族の事は?」
「リィヴァシャイン・・・?確か、古代種族の1つですよね?」
「そうだ。有名な人魚の一族でな。ビスマルクとも深い繋がりがある。
海などの水中での戦いならば、最強クラスの存在だ。だから、プライドもかなり高い。」
「そうなのですね。」
ラリイは、オーディンの話を素直に聞いていく。
「今回はな、そのプライドを人間側が、つい傷つけてしまったのだ。」
「プライドを?傷つける??」
ラリイは首を傾げて不思議がる。オーディンは、そんなラリイが、
可愛いと思いながらも話を続けた。
「そうだなぁーラリイに分かりやすく言えば、喧嘩をしてしまったんだ。
人間とリィヴァシャイン一族との間でな。」
「なるほど。喧嘩みたいなものなのですね。」
「それでだ。ラリイ、お前にリィヴァシャインとビスマルクを説得して欲しいのだ。」
「え?!私がですか?!」
いきなり、オーディンはラリイに仲裁役をするように言い出す。
ラリイは突然の事すぎて理解が追いつかない。
「私なんかに務まるでしょうか?ビスマルクとは初対面で、
それにリィヴァシャイン達は怒っているんですよね?」
「うむ。簡単な話ではない。けど、ラリイ。お前は、ただ人間達の、
フレン側の謝罪の手紙をビスマルクに渡して欲しいだけだ。
それだけなら、そこまで難しい話でもないだろう?」
「うーん・・・それで、お役に立てるなら、しますけど・・・」
ラリイは、不安ではあったが、オーディンの提案に従う。
けど、不安はありつつも、もしかしたら、海の中にいる、
ビスマルクに会えるかもしれないのは、ちょっとワクワクしていた。
ビスマルクとは、余程のことがない限りでは地上で出会う事が出来ない。
バハムートと同じように、ビスマルクは多くの人魚族達を守る為に、
人間界の海の大半近くを結界を張っていたからだ。
ビスマルクが結界の中心を離れてしまうと、結界は消滅してしまうので、
地上を含め、幻獣界にも行けない理由はこれだったのだ。
「よし!善は急げだ!フレン、俺も一緒に謝罪の手紙の内容を、
考えてやるから、最高級の紙とペンとインクを用意しろ!」
「わ、わかった!オーディン!」
ラリイが承諾したのを確認した、オーディンは、急ぎ、フレンと謝罪の手紙を用意し、
更に、ラリイに数点のアイテムを授ける。
「ラリイ、まずはこの腕輪をしろ。これはリヴァイアサンの腕輪だ。
これが壊れない限り、お前は海の中でも自由に行動出来る。
それから、これはいざと言う時の為の薬だ。
人魚のように水中で呼吸出来るようになれる薬だが、これは、
最悪、リヴァイアサンの腕輪が壊れた時に飲むんだ。いいな?」
「はい。ところで、オーディンは一緒に来ないのですか?」
ラリイは、何故かオーディンが一緒に来てくれなさそうな雰囲気を感じ、
更に不安になり、聞いてしまった。
オーディンは申し訳なさそうな顔をして、ラリイに説明する。
「ラリイ。悪いが俺は一緒に行ってやれない。俺は、幻獣界の三大重臣だからな。
フレン達を助けてやってはいるが、俺が出来るのはここまでだ。
俺までが、ラリイと一緒に出向いてしまうと、俺は人間側の存在だと
思われてしまうだろう。そうなれば、幻獣界に迷惑もかけることになってしまうんだ。
今のラリイには難しい話かもしれないが、そこは理解してくれ。」
「わかりました。今はそれで納得します、オーディン。」
「うん。お前はフェニックスの子だ。いつか、こんな複雑な関係も
改善出来る日が来るだろう。
今回は、それの練習のようなものだ。」
「はい!必ず、ビスマルクに会って、お話をして来ます!」
「ははは!その調子だ!ラリイ!でも、安心はしろ!
何かあれば、俺は絶対にお前を助ける!それだけは、心配しなくていいからな!」
オーディンはラリイを安心させる為に、いつもの調子で笑った。
それに、オーディンは嘘は付いていない。
実は、フェニックスの屋敷にラリイを迎えに行き、出発する際に、
こっそりラリイに転移の魔法を掛けてあったのだ。
何かラリイの命に関わる事態になった時に、すぐに自分の元に戻ってきて、守れるように。
かなり高位の難しい魔法であるが、それだけオーディンは、
ラリイの事が気に入っているのも真実だった。
オーディンは、ラリイに大いに期待していた。今後の幻獣と人間の関係が
改善出来る存在になってくれるのを。
ラリイも子供ながらに、オーディンが自分に何か期待してくれてることは察していた。
だからこそ、答えたい気持ちは常にある。オーディンは恩人で、
今は大事な友でもあったから。
「よし、ここから、海に飛び込めば、まずはリィヴァシャイン達がラリイに気づくだろう。
そこからは、ラリイが上手く、リィヴァシャイン達と話し合いをして、
何とかビスマルクに会わせて貰うんだ。」
「わかりました!やってみます!」
「ラリイ様・・・どうか、お願いします。」
フレンは、何よりも申し訳ないと言った顔でラリイに願う。
その顔に、何故か愛嬌を感じてしまったラリイは笑顔になる。
「フレン、心配しないで!私にはオーディンのくれたアイテムと、加護がある。
きっと、成功させてみせるから!」
「ラリイ様・・・本当にフェニックス様のお子ですね。
優しくて、頼もしくて、それにその笑顔は、フェニックス様にそっくりです!」
「そ、そうかな?」
フレンにそう言われ、ラリイは少しだけ照れる。
フェニックスに似ていると、こんなところで言われると思わず、
つい素直になってラリイは、ちょっと喜んでしまう。
過去に虐められた時は、似てないと馬鹿にされていたので、
ラリイは凄く悔しい思いをしたことがあったからだ。
(僕はやっぱりフェニの子なんだ!だから、フェニ。
フレン達を助ける為に、海に行ってくるね!)
ラリイは心の中でフェニックスに報告する。
そして、オーディン達に行ってきますと言って、盛大に海に飛び込んだ。
「ラリイ・・・頼んだぞ。」
オーディンは、真剣な顔で、短くラリイに言った。
「ここが海の中?!!」
海に飛び込んだラリイは、今までに見たことがない海の中の景色に感動していた。
地上にはない美しさが、目の前に広がる。
昼間なのもあり、太陽の光で魚達の鱗が輝き、珊瑚の色も綺麗に光る。
小さい子供の頃に、フェニックスに絵本で海の中を描いた話を
読んで貰ったことがあるが、それでも、現実の海の景色はもっと美しいものだった。
「あ、いけない。海の中の景色に、ゆっくりと感動してる場合じゃない。
まずは、リィヴァシャイン一族達を探さないと。」
ラリイは海の中を、ゆっくりと泳いだり、歩いたりしてみながら、
移動する感覚になれる為に行動しつつも、目的の存在を探し始めた。
そこへ、白い綺麗なイルカが、巨大で狂暴そうなサメに追いかけまわされていた。
「誰かー助けてーーー」
白いイルカは、助けを求めながら、ラリイの側にやってきた。
ラリイは、すぐに助けなければ、と身構える。
巨大なサメは、ラリイなら3人くらいは一気に呑み込めそうなくらいの巨大さだった。
話していた話を聞かされることになる。
「ラリイ。人間界の海にいる幻獣のビスマルクは知ってるか?」
「はい。お名前だけなら。」
「では、リィヴァシャイン一族の事は?」
「リィヴァシャイン・・・?確か、古代種族の1つですよね?」
「そうだ。有名な人魚の一族でな。ビスマルクとも深い繋がりがある。
海などの水中での戦いならば、最強クラスの存在だ。だから、プライドもかなり高い。」
「そうなのですね。」
ラリイは、オーディンの話を素直に聞いていく。
「今回はな、そのプライドを人間側が、つい傷つけてしまったのだ。」
「プライドを?傷つける??」
ラリイは首を傾げて不思議がる。オーディンは、そんなラリイが、
可愛いと思いながらも話を続けた。
「そうだなぁーラリイに分かりやすく言えば、喧嘩をしてしまったんだ。
人間とリィヴァシャイン一族との間でな。」
「なるほど。喧嘩みたいなものなのですね。」
「それでだ。ラリイ、お前にリィヴァシャインとビスマルクを説得して欲しいのだ。」
「え?!私がですか?!」
いきなり、オーディンはラリイに仲裁役をするように言い出す。
ラリイは突然の事すぎて理解が追いつかない。
「私なんかに務まるでしょうか?ビスマルクとは初対面で、
それにリィヴァシャイン達は怒っているんですよね?」
「うむ。簡単な話ではない。けど、ラリイ。お前は、ただ人間達の、
フレン側の謝罪の手紙をビスマルクに渡して欲しいだけだ。
それだけなら、そこまで難しい話でもないだろう?」
「うーん・・・それで、お役に立てるなら、しますけど・・・」
ラリイは、不安ではあったが、オーディンの提案に従う。
けど、不安はありつつも、もしかしたら、海の中にいる、
ビスマルクに会えるかもしれないのは、ちょっとワクワクしていた。
ビスマルクとは、余程のことがない限りでは地上で出会う事が出来ない。
バハムートと同じように、ビスマルクは多くの人魚族達を守る為に、
人間界の海の大半近くを結界を張っていたからだ。
ビスマルクが結界の中心を離れてしまうと、結界は消滅してしまうので、
地上を含め、幻獣界にも行けない理由はこれだったのだ。
「よし!善は急げだ!フレン、俺も一緒に謝罪の手紙の内容を、
考えてやるから、最高級の紙とペンとインクを用意しろ!」
「わ、わかった!オーディン!」
ラリイが承諾したのを確認した、オーディンは、急ぎ、フレンと謝罪の手紙を用意し、
更に、ラリイに数点のアイテムを授ける。
「ラリイ、まずはこの腕輪をしろ。これはリヴァイアサンの腕輪だ。
これが壊れない限り、お前は海の中でも自由に行動出来る。
それから、これはいざと言う時の為の薬だ。
人魚のように水中で呼吸出来るようになれる薬だが、これは、
最悪、リヴァイアサンの腕輪が壊れた時に飲むんだ。いいな?」
「はい。ところで、オーディンは一緒に来ないのですか?」
ラリイは、何故かオーディンが一緒に来てくれなさそうな雰囲気を感じ、
更に不安になり、聞いてしまった。
オーディンは申し訳なさそうな顔をして、ラリイに説明する。
「ラリイ。悪いが俺は一緒に行ってやれない。俺は、幻獣界の三大重臣だからな。
フレン達を助けてやってはいるが、俺が出来るのはここまでだ。
俺までが、ラリイと一緒に出向いてしまうと、俺は人間側の存在だと
思われてしまうだろう。そうなれば、幻獣界に迷惑もかけることになってしまうんだ。
今のラリイには難しい話かもしれないが、そこは理解してくれ。」
「わかりました。今はそれで納得します、オーディン。」
「うん。お前はフェニックスの子だ。いつか、こんな複雑な関係も
改善出来る日が来るだろう。
今回は、それの練習のようなものだ。」
「はい!必ず、ビスマルクに会って、お話をして来ます!」
「ははは!その調子だ!ラリイ!でも、安心はしろ!
何かあれば、俺は絶対にお前を助ける!それだけは、心配しなくていいからな!」
オーディンはラリイを安心させる為に、いつもの調子で笑った。
それに、オーディンは嘘は付いていない。
実は、フェニックスの屋敷にラリイを迎えに行き、出発する際に、
こっそりラリイに転移の魔法を掛けてあったのだ。
何かラリイの命に関わる事態になった時に、すぐに自分の元に戻ってきて、守れるように。
かなり高位の難しい魔法であるが、それだけオーディンは、
ラリイの事が気に入っているのも真実だった。
オーディンは、ラリイに大いに期待していた。今後の幻獣と人間の関係が
改善出来る存在になってくれるのを。
ラリイも子供ながらに、オーディンが自分に何か期待してくれてることは察していた。
だからこそ、答えたい気持ちは常にある。オーディンは恩人で、
今は大事な友でもあったから。
「よし、ここから、海に飛び込めば、まずはリィヴァシャイン達がラリイに気づくだろう。
そこからは、ラリイが上手く、リィヴァシャイン達と話し合いをして、
何とかビスマルクに会わせて貰うんだ。」
「わかりました!やってみます!」
「ラリイ様・・・どうか、お願いします。」
フレンは、何よりも申し訳ないと言った顔でラリイに願う。
その顔に、何故か愛嬌を感じてしまったラリイは笑顔になる。
「フレン、心配しないで!私にはオーディンのくれたアイテムと、加護がある。
きっと、成功させてみせるから!」
「ラリイ様・・・本当にフェニックス様のお子ですね。
優しくて、頼もしくて、それにその笑顔は、フェニックス様にそっくりです!」
「そ、そうかな?」
フレンにそう言われ、ラリイは少しだけ照れる。
フェニックスに似ていると、こんなところで言われると思わず、
つい素直になってラリイは、ちょっと喜んでしまう。
過去に虐められた時は、似てないと馬鹿にされていたので、
ラリイは凄く悔しい思いをしたことがあったからだ。
(僕はやっぱりフェニの子なんだ!だから、フェニ。
フレン達を助ける為に、海に行ってくるね!)
ラリイは心の中でフェニックスに報告する。
そして、オーディン達に行ってきますと言って、盛大に海に飛び込んだ。
「ラリイ・・・頼んだぞ。」
オーディンは、真剣な顔で、短くラリイに言った。
「ここが海の中?!!」
海に飛び込んだラリイは、今までに見たことがない海の中の景色に感動していた。
地上にはない美しさが、目の前に広がる。
昼間なのもあり、太陽の光で魚達の鱗が輝き、珊瑚の色も綺麗に光る。
小さい子供の頃に、フェニックスに絵本で海の中を描いた話を
読んで貰ったことがあるが、それでも、現実の海の景色はもっと美しいものだった。
「あ、いけない。海の中の景色に、ゆっくりと感動してる場合じゃない。
まずは、リィヴァシャイン一族達を探さないと。」
ラリイは海の中を、ゆっくりと泳いだり、歩いたりしてみながら、
移動する感覚になれる為に行動しつつも、目的の存在を探し始めた。
そこへ、白い綺麗なイルカが、巨大で狂暴そうなサメに追いかけまわされていた。
「誰かー助けてーーー」
白いイルカは、助けを求めながら、ラリイの側にやってきた。
ラリイは、すぐに助けなければ、と身構える。
巨大なサメは、ラリイなら3人くらいは一気に呑み込めそうなくらいの巨大さだった。