第6章「悩ましき自立心?」
「わしらの里を狙っていたのが、あの魔獣のヒュドラだったとはな。」
グリフィン達は、敵の指揮官だったナーガに、それを聞き出し、
深く悩むことになった。
ヒュドラは物理的な力は脅威ではないものの、毒による攻撃と、
再生能力の凄まじさは、誰もが恐怖するところだった。
特に、ヒュドラが扱う毒は、一般的な方法では治せないとまで言われている。
非常に厄介な敵であった。
「どうしましょうか。長。だからと言って、敵は今後も、
飽きずに攻めて来るでしょうし・・・」
皆が困っている中で、イーグルは、グリフィンにそう言うしかない。
ラリイも1人で、今後の戦いについて考える。
その時、ふと過去にオーディンに言われた事を思い出す。
「ラリイ。相手が厄介な奴ほど、逆に先手を取って攻めろ。
相手が有利な状況になってから、攻めるのでは遅い。」
「入念に準備してから戦うのでは遅いの?」
「厄介な相手の場合は、後手に回るのは断然不利だ。
相手の得意な攻撃を考えた上で、行動しろ。それを逆手に取り、
相手より先に仕掛けられれば、それが相手の弱点にもなるだろう。」
「わ、わかりました!」
幼かったラリイは、素直にオーディンの言葉を聞き、その事を覚えた。
ラリイは、それを思い出し、考える。相手の毒を逆に利用出来ないかと。
そして、再生能力を、抑え込む方法を。
「グリフィン。私から提案があるのだが、聞いて貰えるだろうか?」
ラリイは、グリフィン達に自分の考えた事を話した。
グリフィン達は、ラリイの話に驚愕したが、ラリイの話を
聞いていくうちに、それが最も良い手段かもしれないと考える。
何をするのにも、危険は承知の上だ。しかし、グリフィンは、
どうしてもラリイの心配をしてしまう。
「ラリイ様・・・その手は、確かに良いかもしれませんが、
でも、ラリイ様にとってもかなり危険を伴います。それでも、
やると言われるのですか?」
「やるよ、グリフィン。多分、これが一番最善だと私は思う。
ヒュドラの再生能力を抑え込むには、私のアルゥイントと
火の魔法が絶対不可欠だ。それに、一部の毒の霧に対しては、
風の魔法が得意な、エイシェントバードズ達が防ぐのが一番いい。」
ラリイは、力強くグリフィンを説得する。こうまで言うのなら、
グリフィンもラリイを信じようと誓った。
ラリイの事は、何が何でも守ろうと。それはイーグルも同じであった。
自分の命を失う事になっても、絶対に守ろうと。
ラリイ達は、先手を打つために、素早く戦いの準備をし、
ヒュドラのいるであろう、場所を目指し、移動を開始する。
数人のエイシェントバードズ達は、ある粉の袋を多く持参した。
約1時間後に、ラリイ達は、ヒュドラ達の拠点を見つけた。
小高い丘のような場所に、ヒュドラの眷属達が大勢、集まっている。
そして、丘の中心には、大きな洞窟があり、その奥に、ヒュドラが居そうだとわかった。
「まずは、例の作戦を最初に行おう。グリフィン、指示を頼む。」
「わかりましたですじゃ。ラリイ様・・・どうかご無事で。
イーグル。ラリイ様の事を頼んだぞ!」
「はい、長!長もお気をつけて!」
「うむ。では、皆の者行くぞ!」
遠くから身を隠して、敵の様子を見ていた、ラリイ達は、ここで二手に別れた。
グリフィンと数人のエイシェントバードズ達が、敵にバレないように、
風向きを考えながら、行動する。
そして、作戦に良い場所だと思う所に辿り着くと、ある粉の袋を取り出し、
その粉を空中に撒き、風の魔法を使い、風の力でヒュドラ達の拠点に送り込む。
ヒュドラの部下達は、次々に無言で倒れ込み、深い眠りにつく。
そう、グリフィン達が撒いたのは眠り草の粉だったのだ。
まずは、これで敵の数を極力まで減らす。ヒュドラ勢の数に対して、
エイシェントバードズ達の数はあまりにも心許無い。
だから、ラリイは、オーディンに習った、基本的な戦術の1つを利用したのだ。
次々に眠り込んでしまう仲間に、ヒュドラ勢は動揺し始める。
そこの隙をついて、ラリイ達は一気に攻め込む。
数は少ないとは言え、二手から攻められた、ヒュドラ勢は更に
混乱し、現場は一気に荒れ模様に変わる。
ラリイとイーグルは、その状況を利用し、ヒュドラがいるであろう、
洞窟に上手く潜入し、ヒュドラを探す。
薄暗い洞窟中は、蛇が好みそうな環境をしていた。
「あージメジメした、嫌な場所ですね。ここは。」
イーグルは、自分の思ったことを素直に吐き捨てた。
ラリイも、同じ気持ちだったので、つい短く笑う。
ラリイ達は、そんな洞窟の中を奥を目指して素早く移動する。
「イーグル・・・いざと言う時は頼む。」
ラリイは、ヒュドラの気を感じて、気を引き締め直す。
それから、イーグルを真剣に見て、事前に話し合った作戦を、
ちゃんと実行するように頼む。
イーグルも、同じように真剣な顔をし、ラリイに返事をする。
「わかってます!ラリイ様!俺は何があっても、ラリイ様を絶対にお守りします!」
ラリイ達は互いに頷き、ヒュドラのいる、最奥に無事に辿り着いた。
「まさか、そちらから出向いてくるとはな・・・」
重々しい声が、洞窟の中に響き渡る。ラリイ達の目の前には、
9つの首を持つ、巨大な大蛇のようなドラゴンがいた。
金色の目をギラギラに輝かせて、ラリイ達を見下す。
「よくも、ここまで我を馬鹿にしたものだ。先手部隊に送り込んだ、
あいつに情けをかけ、挙句には、今度はそちらから仕掛けてくるとは。命知らずどもめ。」
ヒュドラは、静かに怒り、ある死体をラリイ達の前に投げつける。
それは、グリフィンが助けた、あの指揮官の死体だった。
その死に顔は、壮絶なものであった。かなり残酷な方法で殺されたのだろう。
まるで、これから、お前達がそうなるのだと言わんばかりだ。
ラリイは顔を歪め、ヒュドラと対峙する。
「この者はお前の仲間だろ?何故、ここまで残虐に殺した?」
「仲間?仲間と来たか。役に立たないどころか、敵に我の事を
話すような愚かモノを仲間と言うか?これは不愉快を通り越して、
愉快になって来たぞ。グリフィンの側にいる貴様は、変わった存在のようだな?」
ヒュドラは、一斉にすべての顔をラリイに向けて、睨んだ。
ラリイは、少しだけ怖気づきそうになるのを堪える。
ここで、恐怖に負ければ、戦えなくなってしまう。
ラリイは強く信じた。自分の中の親であるフェニックスの力と、
今までに学んだオーディンの戦いの知識を。
それから、アルゥイントを手にしっかりと持ち、
ラリイも負けじと、ヒュドラを睨み返した。
アルゥイントはラリイに力を貸すべく、淡く輝き出した。
「ヒュドラ。お前が如何に野望を持って、人間界を攻めようとしても、
あの森だけは絶対に手渡しはしない。あそこは、グリフィンと、
エイシェントバードズ達の大事な森だ。
それを、お前にみすみす手渡すなんて、絶対にありえないと思え!」
「このクソ餓鬼が!!!調子に乗るな!!!!!」
ラリイの言葉に、ヒュドラは、とうとう激怒した。
ヒュドラの激しい攻撃が開始され、ラリイは、全力で
それを防ぎながらも、反撃していく。
イーグルは、ラリイの行動のタイミングを見ながら、ラリイを補佐をする。
今まさに、ラリイは人生で初めての強敵と戦うことになった。
グリフィン達は、敵の指揮官だったナーガに、それを聞き出し、
深く悩むことになった。
ヒュドラは物理的な力は脅威ではないものの、毒による攻撃と、
再生能力の凄まじさは、誰もが恐怖するところだった。
特に、ヒュドラが扱う毒は、一般的な方法では治せないとまで言われている。
非常に厄介な敵であった。
「どうしましょうか。長。だからと言って、敵は今後も、
飽きずに攻めて来るでしょうし・・・」
皆が困っている中で、イーグルは、グリフィンにそう言うしかない。
ラリイも1人で、今後の戦いについて考える。
その時、ふと過去にオーディンに言われた事を思い出す。
「ラリイ。相手が厄介な奴ほど、逆に先手を取って攻めろ。
相手が有利な状況になってから、攻めるのでは遅い。」
「入念に準備してから戦うのでは遅いの?」
「厄介な相手の場合は、後手に回るのは断然不利だ。
相手の得意な攻撃を考えた上で、行動しろ。それを逆手に取り、
相手より先に仕掛けられれば、それが相手の弱点にもなるだろう。」
「わ、わかりました!」
幼かったラリイは、素直にオーディンの言葉を聞き、その事を覚えた。
ラリイは、それを思い出し、考える。相手の毒を逆に利用出来ないかと。
そして、再生能力を、抑え込む方法を。
「グリフィン。私から提案があるのだが、聞いて貰えるだろうか?」
ラリイは、グリフィン達に自分の考えた事を話した。
グリフィン達は、ラリイの話に驚愕したが、ラリイの話を
聞いていくうちに、それが最も良い手段かもしれないと考える。
何をするのにも、危険は承知の上だ。しかし、グリフィンは、
どうしてもラリイの心配をしてしまう。
「ラリイ様・・・その手は、確かに良いかもしれませんが、
でも、ラリイ様にとってもかなり危険を伴います。それでも、
やると言われるのですか?」
「やるよ、グリフィン。多分、これが一番最善だと私は思う。
ヒュドラの再生能力を抑え込むには、私のアルゥイントと
火の魔法が絶対不可欠だ。それに、一部の毒の霧に対しては、
風の魔法が得意な、エイシェントバードズ達が防ぐのが一番いい。」
ラリイは、力強くグリフィンを説得する。こうまで言うのなら、
グリフィンもラリイを信じようと誓った。
ラリイの事は、何が何でも守ろうと。それはイーグルも同じであった。
自分の命を失う事になっても、絶対に守ろうと。
ラリイ達は、先手を打つために、素早く戦いの準備をし、
ヒュドラのいるであろう、場所を目指し、移動を開始する。
数人のエイシェントバードズ達は、ある粉の袋を多く持参した。
約1時間後に、ラリイ達は、ヒュドラ達の拠点を見つけた。
小高い丘のような場所に、ヒュドラの眷属達が大勢、集まっている。
そして、丘の中心には、大きな洞窟があり、その奥に、ヒュドラが居そうだとわかった。
「まずは、例の作戦を最初に行おう。グリフィン、指示を頼む。」
「わかりましたですじゃ。ラリイ様・・・どうかご無事で。
イーグル。ラリイ様の事を頼んだぞ!」
「はい、長!長もお気をつけて!」
「うむ。では、皆の者行くぞ!」
遠くから身を隠して、敵の様子を見ていた、ラリイ達は、ここで二手に別れた。
グリフィンと数人のエイシェントバードズ達が、敵にバレないように、
風向きを考えながら、行動する。
そして、作戦に良い場所だと思う所に辿り着くと、ある粉の袋を取り出し、
その粉を空中に撒き、風の魔法を使い、風の力でヒュドラ達の拠点に送り込む。
ヒュドラの部下達は、次々に無言で倒れ込み、深い眠りにつく。
そう、グリフィン達が撒いたのは眠り草の粉だったのだ。
まずは、これで敵の数を極力まで減らす。ヒュドラ勢の数に対して、
エイシェントバードズ達の数はあまりにも心許無い。
だから、ラリイは、オーディンに習った、基本的な戦術の1つを利用したのだ。
次々に眠り込んでしまう仲間に、ヒュドラ勢は動揺し始める。
そこの隙をついて、ラリイ達は一気に攻め込む。
数は少ないとは言え、二手から攻められた、ヒュドラ勢は更に
混乱し、現場は一気に荒れ模様に変わる。
ラリイとイーグルは、その状況を利用し、ヒュドラがいるであろう、
洞窟に上手く潜入し、ヒュドラを探す。
薄暗い洞窟中は、蛇が好みそうな環境をしていた。
「あージメジメした、嫌な場所ですね。ここは。」
イーグルは、自分の思ったことを素直に吐き捨てた。
ラリイも、同じ気持ちだったので、つい短く笑う。
ラリイ達は、そんな洞窟の中を奥を目指して素早く移動する。
「イーグル・・・いざと言う時は頼む。」
ラリイは、ヒュドラの気を感じて、気を引き締め直す。
それから、イーグルを真剣に見て、事前に話し合った作戦を、
ちゃんと実行するように頼む。
イーグルも、同じように真剣な顔をし、ラリイに返事をする。
「わかってます!ラリイ様!俺は何があっても、ラリイ様を絶対にお守りします!」
ラリイ達は互いに頷き、ヒュドラのいる、最奥に無事に辿り着いた。
「まさか、そちらから出向いてくるとはな・・・」
重々しい声が、洞窟の中に響き渡る。ラリイ達の目の前には、
9つの首を持つ、巨大な大蛇のようなドラゴンがいた。
金色の目をギラギラに輝かせて、ラリイ達を見下す。
「よくも、ここまで我を馬鹿にしたものだ。先手部隊に送り込んだ、
あいつに情けをかけ、挙句には、今度はそちらから仕掛けてくるとは。命知らずどもめ。」
ヒュドラは、静かに怒り、ある死体をラリイ達の前に投げつける。
それは、グリフィンが助けた、あの指揮官の死体だった。
その死に顔は、壮絶なものであった。かなり残酷な方法で殺されたのだろう。
まるで、これから、お前達がそうなるのだと言わんばかりだ。
ラリイは顔を歪め、ヒュドラと対峙する。
「この者はお前の仲間だろ?何故、ここまで残虐に殺した?」
「仲間?仲間と来たか。役に立たないどころか、敵に我の事を
話すような愚かモノを仲間と言うか?これは不愉快を通り越して、
愉快になって来たぞ。グリフィンの側にいる貴様は、変わった存在のようだな?」
ヒュドラは、一斉にすべての顔をラリイに向けて、睨んだ。
ラリイは、少しだけ怖気づきそうになるのを堪える。
ここで、恐怖に負ければ、戦えなくなってしまう。
ラリイは強く信じた。自分の中の親であるフェニックスの力と、
今までに学んだオーディンの戦いの知識を。
それから、アルゥイントを手にしっかりと持ち、
ラリイも負けじと、ヒュドラを睨み返した。
アルゥイントはラリイに力を貸すべく、淡く輝き出した。
「ヒュドラ。お前が如何に野望を持って、人間界を攻めようとしても、
あの森だけは絶対に手渡しはしない。あそこは、グリフィンと、
エイシェントバードズ達の大事な森だ。
それを、お前にみすみす手渡すなんて、絶対にありえないと思え!」
「このクソ餓鬼が!!!調子に乗るな!!!!!」
ラリイの言葉に、ヒュドラは、とうとう激怒した。
ヒュドラの激しい攻撃が開始され、ラリイは、全力で
それを防ぎながらも、反撃していく。
イーグルは、ラリイの行動のタイミングを見ながら、ラリイを補佐をする。
今まさに、ラリイは人生で初めての強敵と戦うことになった。