第6章「悩ましき自立心?」
「ここが、私が赤ん坊の頃に来た、もう1つの場所か・・・」
ラリイは、イルルヤンカシュとの会話の後で、思い出した場所が
あったので、そこへ来ていた。
グリフィンとエイシェントバードズ達が暮らしている森。
そこは、とても静かで穏やかになれる場所だった。
ラリイは、赤ん坊の頃の記憶しかないのに、それでも懐かしさを、
感じるほどであった。
「グリフィンとは、フェニとも、かなり親しい存在だと聞いたから、
いつか挨拶出来るといいんだけど・・・」
ラリイは、1人でそう呟きながら、森の中を楽しんでいた。
すると、数人のエイシェントバードズ達が現れて、ラリイを警戒する。
1人の隊長らしき、存在がラリイを警戒しながらも、話しかけてきた。
「我らが領域に侵入してくるとは、どんな存在かと思えば、人間の子供じゃないか。
どうして、こんな場所に来たんだ?」
隊長らしき人物は、ラリイを見定めるように観察すると、ラリイに質問する。
ラリイは、無表情のままで、答える。
「過去にこの森に来たことがあり、それで今日、来てみたんだ。
親を通じて、グリフィンとも会ったことがあるらしい。だから、悪気があってではない。
汝らの領域に勝手に入ったことは謝罪する。申し訳ない。」
ラリイは素直に自分がここに来たことを話して、謝罪する。
エイシェントバードズ達がラリイの言葉を聞いて、動揺した。
「おい?聞いたか?」
「グリフィン様と会ったことあるとか言ったぞ?本当か?」
「こんな人間の子と長が会うなど信じられない。」
小言で互いに囁き合っていたが、隊長らしき人物がそれを怒鳴って、止めさせた。
「うるさいぞ!お前達、とにかく黙れ!」
「・・・・・・」
「悪かったな。里の者は、滅多に人の子と関わることがないのでな。
お前の言葉に動揺してしまったようだ。」
「私は別に構わない。迷惑をかけたのは私だ。これ以上、ここにいるのが迷惑なら、
私はすぐに立ち退く。それで許して欲しい。」
子供らしくない言葉遣いに、エイシェントバードズ達も更に、
ラリイに不信感を抱く。
子供の姿に化けている、何か恐ろしい存在なのではないかと。
「そうか。なら、俺が出口まで案内しよう。お前達は、先に帰っていろ。」
「ですが、イーグル隊長!このまま、黙って帰すわけにも・・・」
「いいから!俺の言う事を聞け!」
イーグルと呼ばれた、エイシェントバードズは、部下達に何やら合図を送る。
部下達は急に黙り、急いでその場を去った。
ラリイは、自分の言葉が通じて、許されたのだと思い、イーグル達の行動を、
何も気にも留めていなかった。
「では、行こうか。そう言えば、お前の名前は?」
イーグルはラリイに名前を尋ねる。ラリイは、短く答えた。
「ラリイだ。」
「ラリイか・・・名前だけじゃ、判断出来ないな・・・」
「?」
「あ、いや、気にするな。俺は、イーグルだ。」
イーグルはラリイと名乗り合った後に、ラリイを誘導し始めた。
森の中を、ラリイ達はどんどん進む。
しかし、イーグルがラリイを出口に案内すると言ったわりには、
ラリイは更に森の奥に案内されている気がした。
(本当に出口に案内しているのか?さっきよりも、森が深くなった気がするが・・・)
ラリイは、不審に思いながらも、それでも大人しくイーグルの案内に従っていた。
イーグルはラリイを目的地に連れてくると、ラリイの方に
振り返り、急にラリイに敵意を向けた。
その顔は猛禽類の鷲や鷹を思わせるものであった。
「お前のような存在が、ただの人間なわけがない。長を知っていると言っていたが、
実際は、本当かどうかも怪しい。となれば、最近、俺達を悩ませる魔族の一員かもしれない!
悪いが、ここで捕まって貰うぞ!!!」
イーグルは手にしていた槍をラリイ向けて差して来た。
ラリイは、咄嗟のイーグルの攻撃を剣で弾いて防いだ。
どうやら、何か偉い勘違いをされてしまったことにラリイは気づく。
「誤解だ。私は魔族なんかじゃない。話を・・・っと!」
ラリイはイーグルに話しかけはするが、戦闘状態に入った、
イーグルの耳には何も届かなかった。
イーグルの攻撃は激しさを増す。ラリイは何とか、イーグルの攻撃を避け続ける。
この状態では、下手に声を掛けようとすれば、流石にラリイが攻撃を受けてしまう。
ラリイは仕方がなく、イーグルと戦わなければならなくなった。
「困った。フェニと所縁の深い者と戦いたくないのに・・・」
ラリイは、こうなるのなら、フェニックスと相談してから、
この場所に来れば良かったと後悔した。
イルルヤンカシュから、自分の赤ん坊の頃の話を聞いて、つい、
来てみたいと思ってしまった、自分の軽率さに恥じるばかりだ。
「どうした?何故、反撃してこない?このままだと、お前が
どんどん不利になるぞ?仲間が増援を連れて来るからな?」
イーグルはラリイに不敵に笑いながらも、そう告げた。
ラリイは、どうしたらいいものかと悩む。
出来るなら、傷つけたくはない。赤ん坊の頃に、親切にして貰った種族なのだから。
だが、今はそんな話をイーグルにしても、更に不信感が増すだけだろう。
ラリイは何とかイーグルの攻撃に耐えて、最善の方法を模索する。
「ちぃ。やっぱり、ただのガキじゃないな。俺の攻撃に、こんなにも対応するとは!」
イーグルはラリイの剣の腕に感心しつつも、苛立ちを覚える。
自分の攻撃のどれもが、決定打にならないのだ。
イーグルも自分の槍の腕には自信があっただけに、苛立ちを
隠せないのも無理はなかった。
それに、ラリイが敵ならば、どうしても、どうにかしなければならなかった。
里にいる仲間達の為にも。この存在は危険であると。
これはイーグルの勘違いであったが、本能的には、ラリイに
恐怖していたのも事実であった。
「こうなれば、仕方がない。彼の動きを止めるにはこれしか・・・」
ラリイは、急に動きを止めた。イーグルはその瞬間を逃さなかった。
イーグルはここぞとばかりにラリイの胸に目がけて槍を差そうとした。
が・・・
ラリイは、イーグルの槍の攻撃を瞬時にかわし、イーグルの槍を脇腹で抑え込んだ。
少し槍が掠ったのか、ラリイの脇腹から血が滲んていた。
この対応にイーグルは激しく動揺する。
「嘘だろ・・・お前、何て行動をするんだ?!」
「この距離と、数秒の時間が欲しかったんだ・・・」
「何?!」
ラリイは、イーグルにそう言うと、イーグルの額に向けて、ある魔法を唱えた。
その瞬間にイーグルは激しい炎に包みこまれた。
「ぐぁああ!な、何だこれは?!!」
イーグルは自分の身体が炎に包みこまれ、悲鳴を上げた。
少しでも動けば、炎は自分の身を焼き尽くすだろう。
イーグルは、今、炎の檻に閉じ込められたのだ。ラリイの魔法によって。
「ふぅ・・・手荒ではあるけど。これで、無用に戦う事はなくなったかな?」
ラリイは、ひとまず、イーグルと戦わないで済んだ事に安堵していた。
イーグルには悪いが、ラリイは、場合によってはイーグルを
人質にして逃げようと決意していた。
そんな矢先に、ラリイの目の前に、さっきのエイシェントバードズ達と、ある存在が現れる。
「ラリイ様。大変、お久しゅうございます。立派にご成長されましたな。」
それは、ラリイが最も会いたがっていた、グリフィンであった。
ラリイは、イルルヤンカシュとの会話の後で、思い出した場所が
あったので、そこへ来ていた。
グリフィンとエイシェントバードズ達が暮らしている森。
そこは、とても静かで穏やかになれる場所だった。
ラリイは、赤ん坊の頃の記憶しかないのに、それでも懐かしさを、
感じるほどであった。
「グリフィンとは、フェニとも、かなり親しい存在だと聞いたから、
いつか挨拶出来るといいんだけど・・・」
ラリイは、1人でそう呟きながら、森の中を楽しんでいた。
すると、数人のエイシェントバードズ達が現れて、ラリイを警戒する。
1人の隊長らしき、存在がラリイを警戒しながらも、話しかけてきた。
「我らが領域に侵入してくるとは、どんな存在かと思えば、人間の子供じゃないか。
どうして、こんな場所に来たんだ?」
隊長らしき人物は、ラリイを見定めるように観察すると、ラリイに質問する。
ラリイは、無表情のままで、答える。
「過去にこの森に来たことがあり、それで今日、来てみたんだ。
親を通じて、グリフィンとも会ったことがあるらしい。だから、悪気があってではない。
汝らの領域に勝手に入ったことは謝罪する。申し訳ない。」
ラリイは素直に自分がここに来たことを話して、謝罪する。
エイシェントバードズ達がラリイの言葉を聞いて、動揺した。
「おい?聞いたか?」
「グリフィン様と会ったことあるとか言ったぞ?本当か?」
「こんな人間の子と長が会うなど信じられない。」
小言で互いに囁き合っていたが、隊長らしき人物がそれを怒鳴って、止めさせた。
「うるさいぞ!お前達、とにかく黙れ!」
「・・・・・・」
「悪かったな。里の者は、滅多に人の子と関わることがないのでな。
お前の言葉に動揺してしまったようだ。」
「私は別に構わない。迷惑をかけたのは私だ。これ以上、ここにいるのが迷惑なら、
私はすぐに立ち退く。それで許して欲しい。」
子供らしくない言葉遣いに、エイシェントバードズ達も更に、
ラリイに不信感を抱く。
子供の姿に化けている、何か恐ろしい存在なのではないかと。
「そうか。なら、俺が出口まで案内しよう。お前達は、先に帰っていろ。」
「ですが、イーグル隊長!このまま、黙って帰すわけにも・・・」
「いいから!俺の言う事を聞け!」
イーグルと呼ばれた、エイシェントバードズは、部下達に何やら合図を送る。
部下達は急に黙り、急いでその場を去った。
ラリイは、自分の言葉が通じて、許されたのだと思い、イーグル達の行動を、
何も気にも留めていなかった。
「では、行こうか。そう言えば、お前の名前は?」
イーグルはラリイに名前を尋ねる。ラリイは、短く答えた。
「ラリイだ。」
「ラリイか・・・名前だけじゃ、判断出来ないな・・・」
「?」
「あ、いや、気にするな。俺は、イーグルだ。」
イーグルはラリイと名乗り合った後に、ラリイを誘導し始めた。
森の中を、ラリイ達はどんどん進む。
しかし、イーグルがラリイを出口に案内すると言ったわりには、
ラリイは更に森の奥に案内されている気がした。
(本当に出口に案内しているのか?さっきよりも、森が深くなった気がするが・・・)
ラリイは、不審に思いながらも、それでも大人しくイーグルの案内に従っていた。
イーグルはラリイを目的地に連れてくると、ラリイの方に
振り返り、急にラリイに敵意を向けた。
その顔は猛禽類の鷲や鷹を思わせるものであった。
「お前のような存在が、ただの人間なわけがない。長を知っていると言っていたが、
実際は、本当かどうかも怪しい。となれば、最近、俺達を悩ませる魔族の一員かもしれない!
悪いが、ここで捕まって貰うぞ!!!」
イーグルは手にしていた槍をラリイ向けて差して来た。
ラリイは、咄嗟のイーグルの攻撃を剣で弾いて防いだ。
どうやら、何か偉い勘違いをされてしまったことにラリイは気づく。
「誤解だ。私は魔族なんかじゃない。話を・・・っと!」
ラリイはイーグルに話しかけはするが、戦闘状態に入った、
イーグルの耳には何も届かなかった。
イーグルの攻撃は激しさを増す。ラリイは何とか、イーグルの攻撃を避け続ける。
この状態では、下手に声を掛けようとすれば、流石にラリイが攻撃を受けてしまう。
ラリイは仕方がなく、イーグルと戦わなければならなくなった。
「困った。フェニと所縁の深い者と戦いたくないのに・・・」
ラリイは、こうなるのなら、フェニックスと相談してから、
この場所に来れば良かったと後悔した。
イルルヤンカシュから、自分の赤ん坊の頃の話を聞いて、つい、
来てみたいと思ってしまった、自分の軽率さに恥じるばかりだ。
「どうした?何故、反撃してこない?このままだと、お前が
どんどん不利になるぞ?仲間が増援を連れて来るからな?」
イーグルはラリイに不敵に笑いながらも、そう告げた。
ラリイは、どうしたらいいものかと悩む。
出来るなら、傷つけたくはない。赤ん坊の頃に、親切にして貰った種族なのだから。
だが、今はそんな話をイーグルにしても、更に不信感が増すだけだろう。
ラリイは何とかイーグルの攻撃に耐えて、最善の方法を模索する。
「ちぃ。やっぱり、ただのガキじゃないな。俺の攻撃に、こんなにも対応するとは!」
イーグルはラリイの剣の腕に感心しつつも、苛立ちを覚える。
自分の攻撃のどれもが、決定打にならないのだ。
イーグルも自分の槍の腕には自信があっただけに、苛立ちを
隠せないのも無理はなかった。
それに、ラリイが敵ならば、どうしても、どうにかしなければならなかった。
里にいる仲間達の為にも。この存在は危険であると。
これはイーグルの勘違いであったが、本能的には、ラリイに
恐怖していたのも事実であった。
「こうなれば、仕方がない。彼の動きを止めるにはこれしか・・・」
ラリイは、急に動きを止めた。イーグルはその瞬間を逃さなかった。
イーグルはここぞとばかりにラリイの胸に目がけて槍を差そうとした。
が・・・
ラリイは、イーグルの槍の攻撃を瞬時にかわし、イーグルの槍を脇腹で抑え込んだ。
少し槍が掠ったのか、ラリイの脇腹から血が滲んていた。
この対応にイーグルは激しく動揺する。
「嘘だろ・・・お前、何て行動をするんだ?!」
「この距離と、数秒の時間が欲しかったんだ・・・」
「何?!」
ラリイは、イーグルにそう言うと、イーグルの額に向けて、ある魔法を唱えた。
その瞬間にイーグルは激しい炎に包みこまれた。
「ぐぁああ!な、何だこれは?!!」
イーグルは自分の身体が炎に包みこまれ、悲鳴を上げた。
少しでも動けば、炎は自分の身を焼き尽くすだろう。
イーグルは、今、炎の檻に閉じ込められたのだ。ラリイの魔法によって。
「ふぅ・・・手荒ではあるけど。これで、無用に戦う事はなくなったかな?」
ラリイは、ひとまず、イーグルと戦わないで済んだ事に安堵していた。
イーグルには悪いが、ラリイは、場合によってはイーグルを
人質にして逃げようと決意していた。
そんな矢先に、ラリイの目の前に、さっきのエイシェントバードズ達と、ある存在が現れる。
「ラリイ様。大変、お久しゅうございます。立派にご成長されましたな。」
それは、ラリイが最も会いたがっていた、グリフィンであった。