プロローグ
「実は、今日、幻獣界をいつもの様に巡廻していたら、幻獣門付近で
ある人間に出会ってな。何でも、人間界に聖星団と言う、組織を
作りたいので、幻獣界にも協力を願いたいと言うのだ。」
オーディンは陽気にそう、バハムートとフェニックスに報告する。
聖星団?
バハムートもフェニックスも全く聞いたことがない名前なので、
首を傾げる。
全くの新しい組織と言う事だろうか?
人間界でも、新しく組織を作りたいとは言って、実は過去の同じような組織が
あったりもするので、その類かと思ったら、どうやら今回は違うらしい。
「それで?その人間は今、何処に?」
「今は、俺の屋敷に居る。人間にしては、度胸のある奴で、
面白そうな奴だ。
気質も悪そうじゃない。それに、この幻獣界には、リヴァイアサンの紹介で
来たと言っていた。確かに、普通の人間じゃ、ここには来れないだろ?
でも、そいつは、リヴァイアサンの証の腕輪を持っていた。」
「なんと?!あの、リヴァイアサンが人間にそこまでの贈り物をしただと?!」
バハムートは、オーディンの最後の報告に驚いていた。
フェニックスも表情には出さないが、内心では驚いていた。
リヴァイアサンは海と深い繋がりを持つドラゴンの幻獣だ。
とにかく、水場を好み、時に大河や大滝に住んでることもある。
フェニックスが人間界に居た際には、ロヴァールと言う国で、
人間の戦いに参加したこともあった。
昔は、フェニックスと同じく、人間を嫌い、興味を持って
いなかったが、ある時期に友好的になったようだ。
どうやら、ロヴァールにいた、ある人間の女の大魔法使いに興味を
持ったようで、それで戦いにも協力したらしい。
それから、リヴァイアサンは、まだ人間界に留まっている。
実はバハムートの義兄弟で義弟である。
「フェニックスといい、あいつも人間にかなり友好的になったか。
俺と同じで、昔は人間嫌いで苦手だったはずなんだがなぁ・・・
となると、あの噂は本当だったわけか。」
「そうみたいですね。」
何やら感心しているバハムートに、オーディンは静かに笑う。
にしても、珍しい客が、この幻獣界に来ていることは確かだ。
「それで、バハムートとフェニックスにも、その人間に
会って貰いたいのだが、どうだろうか?
その人間が言うには、今後、人間界から無駄な大戦争などをなくしたいらしい。」
「ほう?」
「それは、また珍しい人間ですね。」
「だろう?それから、その為にも、今後の幻獣界との繋がりも
大事にしたいと言ってきた。だから、今回、来たのだと。」
「そうか、なら、俺達もその人間から、話をまず聞かないとだな。
そうだろう?フェニックス?」
「そうですね。私達自身も、その人間から話を聞かないといけないようですね。」
バハムートとフェニックスはお互い確認し、オーディンに返事をする。
オーディンは「それは良かった!」とニヤリと笑って、
その人間をすぐに幻獣城に連れてくると言った。
その為に、オーディンは、自分の屋敷に一度、帰っていった。
オーディンが政務室からいなくなり、バハムートはフェニックスと再び会話をしていた。
「オーディンの話を、どう思う?」
「そうですね。とにかく、話を聞かないことには、何も判断出来ないかと。
ただ、あのオーディンが、かなり興味を持った人間のようですから、
何か面白いことになりそうな気はします。」
「だな。俺もあのオーディンの口ぶりからして、その出会った人間にも
興味がありそうな気はしてた。」
「その人間をきっかけにして、我々、幻獣にも人間側の脅威がなくなる可能性が
あるのであれば、話してみる価値はあるのではないかと、私は思います。」
「うむ。そうだな。後は、ラムウにも、この事を話さないとだな。」
「ラムウへは、今から、私が直接出向いて、話してきます。」
「わかった。それで頼む。俺はどうも最近のラムウは苦手でな。」
バハムートは苦笑いしながら、フェニックスにラムウへの伝言を頼んだ。
フェニックスとて、最近のラムウは正直言って、苦手ではある。
ラムウは過去は人間に友好的な幻獣であったが、今はすっかり人間不信になり、
人間が大嫌いな存在になってしまった。
つまり、今のフェニックスと人間への価値観が逆になった感じ。
リヴァイアサンが協力していた国の戦争相手、敵国側にいた幻獣は、
実はラムウとその義理の兄弟姉妹の幻獣達であった。
サドルティスと言う国では、か弱い王女が1人で何とか国を治めていたが、
それを不憫だと見兼ねたラムウが王女に協力していたのだ。
だが、ある時から、王女は国の発展の為に、更に多くの戦争をするようになり、
その際に最後は、ラムウとその義理の兄弟姉妹の幻獣達に、
かなり酷い裏切りをしたらしい。
その王女を始めとして、サドルティス国からの酷い裏切り行為で、
過去のラムウは明るく陽気な好々爺な存在だったのが、今では、
少し陰険な感じで、自分にも他者にも厳しい存在になってしまった。
人間に味方する時のフェニックスの事も、快くは思っていない。
フェニックスが一方的に人間側を庇う時は、ラムウも黙らずに、
絶対に反論してくるほどだ。
けど、フェニックスはラムウも気持ちもわかるので、変に対立は
しないようにしている。
フェニックスとラムウが、激しく対立することは、今の幻獣界の
平穏が乱されてしまうからだ。
バハムートもそれだけはならないように、両者には気遣っている。
だが、フェニックスは思っている。
いつか、またラムウも人間に心開いてくれないかと。
期待していた。昔のラムウは何よりも人間の味方だったのだから。
ある人間に出会ってな。何でも、人間界に聖星団と言う、組織を
作りたいので、幻獣界にも協力を願いたいと言うのだ。」
オーディンは陽気にそう、バハムートとフェニックスに報告する。
聖星団?
バハムートもフェニックスも全く聞いたことがない名前なので、
首を傾げる。
全くの新しい組織と言う事だろうか?
人間界でも、新しく組織を作りたいとは言って、実は過去の同じような組織が
あったりもするので、その類かと思ったら、どうやら今回は違うらしい。
「それで?その人間は今、何処に?」
「今は、俺の屋敷に居る。人間にしては、度胸のある奴で、
面白そうな奴だ。
気質も悪そうじゃない。それに、この幻獣界には、リヴァイアサンの紹介で
来たと言っていた。確かに、普通の人間じゃ、ここには来れないだろ?
でも、そいつは、リヴァイアサンの証の腕輪を持っていた。」
「なんと?!あの、リヴァイアサンが人間にそこまでの贈り物をしただと?!」
バハムートは、オーディンの最後の報告に驚いていた。
フェニックスも表情には出さないが、内心では驚いていた。
リヴァイアサンは海と深い繋がりを持つドラゴンの幻獣だ。
とにかく、水場を好み、時に大河や大滝に住んでることもある。
フェニックスが人間界に居た際には、ロヴァールと言う国で、
人間の戦いに参加したこともあった。
昔は、フェニックスと同じく、人間を嫌い、興味を持って
いなかったが、ある時期に友好的になったようだ。
どうやら、ロヴァールにいた、ある人間の女の大魔法使いに興味を
持ったようで、それで戦いにも協力したらしい。
それから、リヴァイアサンは、まだ人間界に留まっている。
実はバハムートの義兄弟で義弟である。
「フェニックスといい、あいつも人間にかなり友好的になったか。
俺と同じで、昔は人間嫌いで苦手だったはずなんだがなぁ・・・
となると、あの噂は本当だったわけか。」
「そうみたいですね。」
何やら感心しているバハムートに、オーディンは静かに笑う。
にしても、珍しい客が、この幻獣界に来ていることは確かだ。
「それで、バハムートとフェニックスにも、その人間に
会って貰いたいのだが、どうだろうか?
その人間が言うには、今後、人間界から無駄な大戦争などをなくしたいらしい。」
「ほう?」
「それは、また珍しい人間ですね。」
「だろう?それから、その為にも、今後の幻獣界との繋がりも
大事にしたいと言ってきた。だから、今回、来たのだと。」
「そうか、なら、俺達もその人間から、話をまず聞かないとだな。
そうだろう?フェニックス?」
「そうですね。私達自身も、その人間から話を聞かないといけないようですね。」
バハムートとフェニックスはお互い確認し、オーディンに返事をする。
オーディンは「それは良かった!」とニヤリと笑って、
その人間をすぐに幻獣城に連れてくると言った。
その為に、オーディンは、自分の屋敷に一度、帰っていった。
オーディンが政務室からいなくなり、バハムートはフェニックスと再び会話をしていた。
「オーディンの話を、どう思う?」
「そうですね。とにかく、話を聞かないことには、何も判断出来ないかと。
ただ、あのオーディンが、かなり興味を持った人間のようですから、
何か面白いことになりそうな気はします。」
「だな。俺もあのオーディンの口ぶりからして、その出会った人間にも
興味がありそうな気はしてた。」
「その人間をきっかけにして、我々、幻獣にも人間側の脅威がなくなる可能性が
あるのであれば、話してみる価値はあるのではないかと、私は思います。」
「うむ。そうだな。後は、ラムウにも、この事を話さないとだな。」
「ラムウへは、今から、私が直接出向いて、話してきます。」
「わかった。それで頼む。俺はどうも最近のラムウは苦手でな。」
バハムートは苦笑いしながら、フェニックスにラムウへの伝言を頼んだ。
フェニックスとて、最近のラムウは正直言って、苦手ではある。
ラムウは過去は人間に友好的な幻獣であったが、今はすっかり人間不信になり、
人間が大嫌いな存在になってしまった。
つまり、今のフェニックスと人間への価値観が逆になった感じ。
リヴァイアサンが協力していた国の戦争相手、敵国側にいた幻獣は、
実はラムウとその義理の兄弟姉妹の幻獣達であった。
サドルティスと言う国では、か弱い王女が1人で何とか国を治めていたが、
それを不憫だと見兼ねたラムウが王女に協力していたのだ。
だが、ある時から、王女は国の発展の為に、更に多くの戦争をするようになり、
その際に最後は、ラムウとその義理の兄弟姉妹の幻獣達に、
かなり酷い裏切りをしたらしい。
その王女を始めとして、サドルティス国からの酷い裏切り行為で、
過去のラムウは明るく陽気な好々爺な存在だったのが、今では、
少し陰険な感じで、自分にも他者にも厳しい存在になってしまった。
人間に味方する時のフェニックスの事も、快くは思っていない。
フェニックスが一方的に人間側を庇う時は、ラムウも黙らずに、
絶対に反論してくるほどだ。
けど、フェニックスはラムウも気持ちもわかるので、変に対立は
しないようにしている。
フェニックスとラムウが、激しく対立することは、今の幻獣界の
平穏が乱されてしまうからだ。
バハムートもそれだけはならないように、両者には気遣っている。
だが、フェニックスは思っている。
いつか、またラムウも人間に心開いてくれないかと。
期待していた。昔のラムウは何よりも人間の味方だったのだから。