第5章「離れゆく心」
ラリイは、早いもので6歳になっていた。
フェニックスの深い愛情もあり、ラリイは元気で素直な心優しい子に育っていた。
外見こそ違えど、今のラリイの笑顔にも、前世のラリイの面影があった。
フェニックスは、そんなラリイを更に愛しく感じる。
何より、フェニックスが嬉しかったのは、やっぱり会話が
出来るようになったことだった。
「ラリイ♪今日は、どんなお勉強をするんですか?」
「はい!今日は、ラムウ様の魔法院で、魔法の勉強をしに行く日です♪」
「ああ、そう言えば、今日でしたか!」
フェニックスはラリイといつもの様に朝食を取りながら、
ラリイの日程を確認するのが、日課になっていた。
6歳になったラリイは、今日から、家の中だけで勉強するのでなく、
ラムウやオーディンからも、魔法や剣術を習う予定であった。
今日は、まずラムウから魔法を学ぶ予定の日だった。
「ラリイにも、新しいお友達が出来るといいですね♪」
「うん♪僕にも出来るといいな・・・」
「ラリイはいい子ですから♪大丈夫ですよ♪」
フェニックスは、笑顔でラリイにそう言う。ラリイの方も、
嬉しそうな顔でフェニックスを見て頷いた。
「そうなれるように、僕、頑張る!」
「うふふ。頑張って下さい♪ラリイ♪」
「フェニは、今日は仕事は遅いの?」
「そうですね・・・バハムート王がしっかり仕事してくれれば、
早く終われそうですが・・・」
「僕も早く大人になって、フェニのお仕事、手伝えればいいのにな・・・」
「ラリイ・・・貴方と言う子は!!」
フェニックスは自分を心配してくれるラリイが、可愛くて仕方がない。
食事中であろうとも、ラリイを抱きしめてしまう。
つい、赤ん坊の頃のラリイのように。
「フェニ!食事中だよ!」
「あ、すいません。だって、ラリイが優しいことを
言ってくれるものだから、つい♥」
「フェニは三大重臣の1人なんだから、しっかりしなきゃ、ダメだよ!」
「あはは。まさか、可愛いラリイから、そんな風に怒られてしまうとは!」
フェニックスは、もう昔のようにラリイを抱きしめるのは難しくなっていくのだろうと
言う寂しさと共に、でもこうして、しっかりと成長しているラリイに、
やっぱり嬉しさと喜びを感じていた。
この調子で育ってくれれば、きっと大丈夫だろうと、安心していた。
「ラリイ様。そろそろお時間でございます。」
ラリイ専属の執事である、フェイロがラリイに声を掛ける。
長いこと、フェニックスに仕えてくれている使用人だが、
ラリイが歩き出すようになってから、ラリイの専属の
執事兼教育係になってくれた存在だった。
「うん、わかった。じゃ、フェニ行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい、ラリイ♪」
フェニックスは、ラリイを見送り、その後で自分も仕事に向かった。
「早いもんで、人間界で行う世界会議も6回目になるか。
最初は、続くか心配していたが、人間達も本気で取り組んでるようで良かったな。」
「そうですね。この調子なら、脅威だと思われていた、
魔族達の対応も大分楽になったかと。」
「フレンが作った、聖星団(ギャラクシーズ)も、かなり活躍してるそうじゃないか?」
「はい、そのようです。リヴァイアサンの助力に、オーディンも、
時々知恵を与えてるようで、聖星団の力は、かなり育ってきているようです。」
「このまま行けば、俺達が力を貸す頻度も減るな。
それに、俺達の脅威なるものも減ってきている。ラムウの奴も、
少しは人間を見直してくれるといいんだがな。」
「そうなって貰えると、私も嬉しいのですが、なかなか上手くは
行きませんね。」
バハムートがラムウの話を出すので、フェニックスは苦笑いするしかなかった。
ラムウの話が出て、フェニックスは、ちょっと前にしたラムウとのやり取りを思い出す。
「フェニックス、良いか?」
「何でしょうか?ラムウ?」
「お主の息子のラリイの魔法の勉強については、どうしようと考えておる?」
ラムウにこう話しかけられ、フェニックスは内心、とても驚いた。
今まで、ラリイの話を出すと嫌悪感があったラムウが、自ら、
ラリイの魔法の勉強について聞いてきたのだ。
フェニックスは、もしかしたらと思い、素直に話した。
「実はまだ何も決まっていなくて。剣術はオーディンが引き受けてくれるのですが・・・」
「なら、わしの魔法院で学ばせるがよい。丁度、最近、義兄弟姉妹達の
子供にも教える予定があったのでな。どうだ?」
「本当ですか?!もし、ラムウが許して下さるのなら!ぜひ!」
「ならば、日程などは後程、使い魔から知らせることにしよう。」
「有難うございます!ラムウ!お願い致します!」
フェニックスはラムウに頭を下げ、感謝する。ラムウがこう言ってくれるなら、
これほど頼もしいものはない。最悪は自分が教えなければと、
心配していたフェニックスは、正直安堵したことを覚えている。
それを思い出していた、フェニックスにバハムートが再度、声を掛ける。
「そー言えば、今日からラリイはラムウのとこで魔法を学ぶんだっけか?」
「はい。ラムウが魔法の指導を引き受けてくれると言ってくれまして。」
「そうか。あのラムウも、少しずつ人間を許そうとしてるのかもな。
ラリイを通じて、考えが変わってくれるといいな。」
「はい。私もそう思います。私のラリイがその一助になれば、
本当にいいのですが。」
バハムートと話し、フェニックスも心底、そう思った。
ラリイの中にいる、前世のラリイが、きっと何か、良い方向に
導いてくれそうな気が、フェニックスにはしていた。
自分がこんなにも変われたのだから。ラムウにも良い作用をしてくれるだろうと。
だが、その考えが甘いことをフェニックスは思い知ることになる。
ラムウとラムウの周りにいる幻獣達の人間に対する憎しみは、
未だに健在で、その憎しみがラリイの方に向いてしまうなど、
フェニックスは考えていなかったのだ。
ラムウが魔法の勉強を見てくれると言う事で、油断してしまったと言っていい。
数日後に、フェニックスは、ある事件で、ラリイがそうした憎しみの中に居たことを知る。
そして、その事件の所為で、ラリイが心を深く閉ざしてしまうことになるなど、
全く予期もしていなかった。
フェニックスの深い愛情もあり、ラリイは元気で素直な心優しい子に育っていた。
外見こそ違えど、今のラリイの笑顔にも、前世のラリイの面影があった。
フェニックスは、そんなラリイを更に愛しく感じる。
何より、フェニックスが嬉しかったのは、やっぱり会話が
出来るようになったことだった。
「ラリイ♪今日は、どんなお勉強をするんですか?」
「はい!今日は、ラムウ様の魔法院で、魔法の勉強をしに行く日です♪」
「ああ、そう言えば、今日でしたか!」
フェニックスはラリイといつもの様に朝食を取りながら、
ラリイの日程を確認するのが、日課になっていた。
6歳になったラリイは、今日から、家の中だけで勉強するのでなく、
ラムウやオーディンからも、魔法や剣術を習う予定であった。
今日は、まずラムウから魔法を学ぶ予定の日だった。
「ラリイにも、新しいお友達が出来るといいですね♪」
「うん♪僕にも出来るといいな・・・」
「ラリイはいい子ですから♪大丈夫ですよ♪」
フェニックスは、笑顔でラリイにそう言う。ラリイの方も、
嬉しそうな顔でフェニックスを見て頷いた。
「そうなれるように、僕、頑張る!」
「うふふ。頑張って下さい♪ラリイ♪」
「フェニは、今日は仕事は遅いの?」
「そうですね・・・バハムート王がしっかり仕事してくれれば、
早く終われそうですが・・・」
「僕も早く大人になって、フェニのお仕事、手伝えればいいのにな・・・」
「ラリイ・・・貴方と言う子は!!」
フェニックスは自分を心配してくれるラリイが、可愛くて仕方がない。
食事中であろうとも、ラリイを抱きしめてしまう。
つい、赤ん坊の頃のラリイのように。
「フェニ!食事中だよ!」
「あ、すいません。だって、ラリイが優しいことを
言ってくれるものだから、つい♥」
「フェニは三大重臣の1人なんだから、しっかりしなきゃ、ダメだよ!」
「あはは。まさか、可愛いラリイから、そんな風に怒られてしまうとは!」
フェニックスは、もう昔のようにラリイを抱きしめるのは難しくなっていくのだろうと
言う寂しさと共に、でもこうして、しっかりと成長しているラリイに、
やっぱり嬉しさと喜びを感じていた。
この調子で育ってくれれば、きっと大丈夫だろうと、安心していた。
「ラリイ様。そろそろお時間でございます。」
ラリイ専属の執事である、フェイロがラリイに声を掛ける。
長いこと、フェニックスに仕えてくれている使用人だが、
ラリイが歩き出すようになってから、ラリイの専属の
執事兼教育係になってくれた存在だった。
「うん、わかった。じゃ、フェニ行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい、ラリイ♪」
フェニックスは、ラリイを見送り、その後で自分も仕事に向かった。
「早いもんで、人間界で行う世界会議も6回目になるか。
最初は、続くか心配していたが、人間達も本気で取り組んでるようで良かったな。」
「そうですね。この調子なら、脅威だと思われていた、
魔族達の対応も大分楽になったかと。」
「フレンが作った、聖星団(ギャラクシーズ)も、かなり活躍してるそうじゃないか?」
「はい、そのようです。リヴァイアサンの助力に、オーディンも、
時々知恵を与えてるようで、聖星団の力は、かなり育ってきているようです。」
「このまま行けば、俺達が力を貸す頻度も減るな。
それに、俺達の脅威なるものも減ってきている。ラムウの奴も、
少しは人間を見直してくれるといいんだがな。」
「そうなって貰えると、私も嬉しいのですが、なかなか上手くは
行きませんね。」
バハムートがラムウの話を出すので、フェニックスは苦笑いするしかなかった。
ラムウの話が出て、フェニックスは、ちょっと前にしたラムウとのやり取りを思い出す。
「フェニックス、良いか?」
「何でしょうか?ラムウ?」
「お主の息子のラリイの魔法の勉強については、どうしようと考えておる?」
ラムウにこう話しかけられ、フェニックスは内心、とても驚いた。
今まで、ラリイの話を出すと嫌悪感があったラムウが、自ら、
ラリイの魔法の勉強について聞いてきたのだ。
フェニックスは、もしかしたらと思い、素直に話した。
「実はまだ何も決まっていなくて。剣術はオーディンが引き受けてくれるのですが・・・」
「なら、わしの魔法院で学ばせるがよい。丁度、最近、義兄弟姉妹達の
子供にも教える予定があったのでな。どうだ?」
「本当ですか?!もし、ラムウが許して下さるのなら!ぜひ!」
「ならば、日程などは後程、使い魔から知らせることにしよう。」
「有難うございます!ラムウ!お願い致します!」
フェニックスはラムウに頭を下げ、感謝する。ラムウがこう言ってくれるなら、
これほど頼もしいものはない。最悪は自分が教えなければと、
心配していたフェニックスは、正直安堵したことを覚えている。
それを思い出していた、フェニックスにバハムートが再度、声を掛ける。
「そー言えば、今日からラリイはラムウのとこで魔法を学ぶんだっけか?」
「はい。ラムウが魔法の指導を引き受けてくれると言ってくれまして。」
「そうか。あのラムウも、少しずつ人間を許そうとしてるのかもな。
ラリイを通じて、考えが変わってくれるといいな。」
「はい。私もそう思います。私のラリイがその一助になれば、
本当にいいのですが。」
バハムートと話し、フェニックスも心底、そう思った。
ラリイの中にいる、前世のラリイが、きっと何か、良い方向に
導いてくれそうな気が、フェニックスにはしていた。
自分がこんなにも変われたのだから。ラムウにも良い作用をしてくれるだろうと。
だが、その考えが甘いことをフェニックスは思い知ることになる。
ラムウとラムウの周りにいる幻獣達の人間に対する憎しみは、
未だに健在で、その憎しみがラリイの方に向いてしまうなど、
フェニックスは考えていなかったのだ。
ラムウが魔法の勉強を見てくれると言う事で、油断してしまったと言っていい。
数日後に、フェニックスは、ある事件で、ラリイがそうした憎しみの中に居たことを知る。
そして、その事件の所為で、ラリイが心を深く閉ざしてしまうことになるなど、
全く予期もしていなかった。