第4章「よそはよそ、うちはうち!」
テュポーン達の必死の呼びかけに、古代神兵器は沈黙したままだった。
この調子であれば、ひとまずは安心そうな雰囲気ではある。
古代神兵器は、すぐにでも、テュポーン達に力を貸す気はなさそうだ。
「説得は失敗してるみたいだな。」
「そのようです。ですが、今は拒否しているだけかもしれません。
それに、魔界の別のものが、説得したら、そちらには応じる可能性も
ありますし、どのみち危険ではありますよね。」
「フェニックスの言う通りだな。向こうの説得が失敗してるうちに、
俺達が奪い取り、フェニックス達で幻獣界へ、持ち帰った方がいいだろう。」
フェニックス達が小声で相談してる、まさにその時に、古代神兵器は、怒号を上げた。
どうやら、テュポーン達のしつこい説得に切れたようだ。
「黙れ!魔の獣よ!我は今の人間界に興味などない!
我は静かに消滅を待つもの。我に何を期待しているか知らぬが、
お門違いもいいところよ。くだらぬ復讐など、自分達でするがよい。」
「ぐっ・・・・」
ここまで、古代神兵器に言われ、テュポーン達の方が今度は、
沈黙することになった。
気まずい雰囲気が、テュポーン達の周りに流れ出す。
こうまで、拒否されたのでは、もうテュポーン達は、快くは、
古代神兵器を使う事は出来ないだろう。
しかし、それはフェニックス達にとっては、ますます好都合ではあった。
「何やら、仲違いをしているようだ。今の内に奪い取るか?」
イルルヤンカシュが、フェニックス達に確認する。
フェニックス達も、頷く。このまま、テュポーン達の会話を
聞いていても、無駄そうに感じたからだ。
フェニックス達が行動を起こそうとした、その時、テュポーンは、
我慢できなくなったのか、光の球体の状態である、古代神兵器に、
手をかけていた。
「このまま、俺達の力にならないと言うのなら!無理矢理にでも、
俺の体に取り込んでやるまでだ!!」
「やめろ!テュポーン兄貴!そいつは、ただの兵器じゃないんだぞ!」
テュポーンの行動に、ケルベロスは必死になって、止めようとする。
だが、テュポーンは聞く耳を持たなかった。
「止めるな!ケルベロス!何もしないでいれば、いずれ他の存在に
こいつを
奪われることになるだろう!それでは、何の為に、長年苦労して、
こいつを見つけ出したのか、わからないだろうが!」
「そうだが・・・でも!!」
「お前は、あのオルトロスが人間なんぞに殺された時、悔しくなかったのか?!」
「それは・・・」
テュポーンの言葉に、ケルベロスは一気に悔しそうな顔をする。
テュポーンとオルトロスとケルベロスは、かなり仲の良い魔獣達であった。
まるで、今のフェニックス達のように。
この会話を聞き、フェニックスも少し心が痛んだ。
そのオルトロスを殺したのは、前世のラリイだったから。
「よせ。それ以上、我に触れるな。死ぬぞ?」
古代神兵器は、無感情な声で、テュポーンに忠告する。
脅しでもなんでもない、その言葉通りと言った言い方だ。
でも、テュポーンは諦めようとはしない。
「何もしないままよりは、マシだ!」
テュポーンは、皮肉そうに笑いながら、更に古代神兵器を、食べようとした、
その瞬間、ジュワっと何かが蒸発するような音とともに、忽然と姿を消した。
その場にいる、ケルベロスもフェニックス達も言葉を失った。
嫌な静寂さが物事を語る。テュポーンは、一瞬で死んだのだと。
「だから、言ったのだ。死ぬぞと・・・」
古代神兵器の全く感情のない声が、そう呟く。
ケルベロスは、わなわなと震えている。激しい怒りに。
あんなにもあっさりと大事な仲間が殺されて、落ち着いていられるわけがない。
「よくも・・・よくもテュポーンを!!!!!」
ケルベロスは、素早く鋭い爪の攻撃を古代神兵器にしようとする。
「懲りないやつらだ・・・」
古代神兵器は、また感情のない声で、ケルベロスに言う。
カキーンと、甲高い金属同士が激しくぶつかるような音が響く。
ケルベロスは、別の場所に移動していた。
ケルベロスの腕からは、血が出ていた。
どういうわけか、怪我をしたのは、ケルベロスだけのようだった。
「くそ・・・どうなってるんだ?俺は確かに、あいつに攻撃したはずなのに・・・」
ケルベロスは悔しそうな顔で、古代神兵器を睨む。
光の球体の姿の古代神兵器は、前と変わらず、薄っすらと輝いている。
「無駄だ。魔の獣よ。我に現代の攻撃は通じぬ。それに外側からの悪意ある攻撃なら尚の事。」
「なんだと?」
「諦めるがいい。最初から、お前達では無理だったのだ。
我を使役することなど。」
古代神兵器の最後の通達に、ケルベロスも、流石にもう戦う気力を無くしたようだった。
フェニックス達は、そんなケルベロスを哀れに思いながらも、
姿を現した。
ケルベロスは、フェニックス達を見ても、もう敵意すら出さない。
「イルルヤンカシュに、リヴァイアサン、それにフェニックスか・・・
ここまで、揃いも揃って、ここに来るなんて、皮肉も皮肉だな。」
ケルベロスは、もう死を覚悟しているような顔だった。
古代神兵器は、自分達の力にならないと確定し、更には、
強大な敵の幻獣が3体も出現したのだ。
ケルベロスが生きることに失望したとしても無理はない。
「ケルベロス・・・その古代神兵器を渡しなさい。」
フェニックスは、静かにケルベロスに告げた。その言葉に、ケルベロスは不敵に笑う。
「お前達も、どうせ見ていたのだろう?俺達のやり取りを。
好きにすればいいさ。どうせ、何も出来ないだろうぜ。」
ケルベロスは投げやりな態度で、そうフェニックスに答えた。
イルルヤンカシュもリヴァイアサンも、ケルベロスが、
もう戦う気がないことに安堵していた。
フェニックス達とて、プライドや情けはある。
こんな状態のケルベロスを3体が揃って戦うなど、恥であると。
「なら、言葉通りに好きにさせて貰おう。」
フェニックスが答える前に、リヴァイアサンが古代神兵器の前に立った。
「今日は災難だな。こうも次から次へと・・・」
古代神兵器は、今度はフェニックス達の相手をさせられるのかと、
うんざりした声で言った。
そこへ、ラムウの使い魔のカラスが、急に姿を現して、古代神兵器に話し出した。
「古代神兵器たる存在よ。我ら幻獣の話を聞いて欲しい。」
「魔の獣の次は、幻獣と来たか・・・」
「我らは、貴殿の存在を利用する気など、毛頭ない。我らの願いはただ一つ。
魔界にも人間界にも貴殿が利用されることなく、幻獣界で、
大人しくされていて欲しいだけよ。」
「・・・・・・」
ラムウの言葉に、古代神兵器は黙る。再度、封印されて欲しいと、
遠巻きに言っているようなものだ。
これに、古代神兵器が答えてくれるのか。それが一番の問題だ。
フェニックス達は、ラムウの説得がうまくいってくれることを、
心から願うしかない。
この調子であれば、ひとまずは安心そうな雰囲気ではある。
古代神兵器は、すぐにでも、テュポーン達に力を貸す気はなさそうだ。
「説得は失敗してるみたいだな。」
「そのようです。ですが、今は拒否しているだけかもしれません。
それに、魔界の別のものが、説得したら、そちらには応じる可能性も
ありますし、どのみち危険ではありますよね。」
「フェニックスの言う通りだな。向こうの説得が失敗してるうちに、
俺達が奪い取り、フェニックス達で幻獣界へ、持ち帰った方がいいだろう。」
フェニックス達が小声で相談してる、まさにその時に、古代神兵器は、怒号を上げた。
どうやら、テュポーン達のしつこい説得に切れたようだ。
「黙れ!魔の獣よ!我は今の人間界に興味などない!
我は静かに消滅を待つもの。我に何を期待しているか知らぬが、
お門違いもいいところよ。くだらぬ復讐など、自分達でするがよい。」
「ぐっ・・・・」
ここまで、古代神兵器に言われ、テュポーン達の方が今度は、
沈黙することになった。
気まずい雰囲気が、テュポーン達の周りに流れ出す。
こうまで、拒否されたのでは、もうテュポーン達は、快くは、
古代神兵器を使う事は出来ないだろう。
しかし、それはフェニックス達にとっては、ますます好都合ではあった。
「何やら、仲違いをしているようだ。今の内に奪い取るか?」
イルルヤンカシュが、フェニックス達に確認する。
フェニックス達も、頷く。このまま、テュポーン達の会話を
聞いていても、無駄そうに感じたからだ。
フェニックス達が行動を起こそうとした、その時、テュポーンは、
我慢できなくなったのか、光の球体の状態である、古代神兵器に、
手をかけていた。
「このまま、俺達の力にならないと言うのなら!無理矢理にでも、
俺の体に取り込んでやるまでだ!!」
「やめろ!テュポーン兄貴!そいつは、ただの兵器じゃないんだぞ!」
テュポーンの行動に、ケルベロスは必死になって、止めようとする。
だが、テュポーンは聞く耳を持たなかった。
「止めるな!ケルベロス!何もしないでいれば、いずれ他の存在に
こいつを
奪われることになるだろう!それでは、何の為に、長年苦労して、
こいつを見つけ出したのか、わからないだろうが!」
「そうだが・・・でも!!」
「お前は、あのオルトロスが人間なんぞに殺された時、悔しくなかったのか?!」
「それは・・・」
テュポーンの言葉に、ケルベロスは一気に悔しそうな顔をする。
テュポーンとオルトロスとケルベロスは、かなり仲の良い魔獣達であった。
まるで、今のフェニックス達のように。
この会話を聞き、フェニックスも少し心が痛んだ。
そのオルトロスを殺したのは、前世のラリイだったから。
「よせ。それ以上、我に触れるな。死ぬぞ?」
古代神兵器は、無感情な声で、テュポーンに忠告する。
脅しでもなんでもない、その言葉通りと言った言い方だ。
でも、テュポーンは諦めようとはしない。
「何もしないままよりは、マシだ!」
テュポーンは、皮肉そうに笑いながら、更に古代神兵器を、食べようとした、
その瞬間、ジュワっと何かが蒸発するような音とともに、忽然と姿を消した。
その場にいる、ケルベロスもフェニックス達も言葉を失った。
嫌な静寂さが物事を語る。テュポーンは、一瞬で死んだのだと。
「だから、言ったのだ。死ぬぞと・・・」
古代神兵器の全く感情のない声が、そう呟く。
ケルベロスは、わなわなと震えている。激しい怒りに。
あんなにもあっさりと大事な仲間が殺されて、落ち着いていられるわけがない。
「よくも・・・よくもテュポーンを!!!!!」
ケルベロスは、素早く鋭い爪の攻撃を古代神兵器にしようとする。
「懲りないやつらだ・・・」
古代神兵器は、また感情のない声で、ケルベロスに言う。
カキーンと、甲高い金属同士が激しくぶつかるような音が響く。
ケルベロスは、別の場所に移動していた。
ケルベロスの腕からは、血が出ていた。
どういうわけか、怪我をしたのは、ケルベロスだけのようだった。
「くそ・・・どうなってるんだ?俺は確かに、あいつに攻撃したはずなのに・・・」
ケルベロスは悔しそうな顔で、古代神兵器を睨む。
光の球体の姿の古代神兵器は、前と変わらず、薄っすらと輝いている。
「無駄だ。魔の獣よ。我に現代の攻撃は通じぬ。それに外側からの悪意ある攻撃なら尚の事。」
「なんだと?」
「諦めるがいい。最初から、お前達では無理だったのだ。
我を使役することなど。」
古代神兵器の最後の通達に、ケルベロスも、流石にもう戦う気力を無くしたようだった。
フェニックス達は、そんなケルベロスを哀れに思いながらも、
姿を現した。
ケルベロスは、フェニックス達を見ても、もう敵意すら出さない。
「イルルヤンカシュに、リヴァイアサン、それにフェニックスか・・・
ここまで、揃いも揃って、ここに来るなんて、皮肉も皮肉だな。」
ケルベロスは、もう死を覚悟しているような顔だった。
古代神兵器は、自分達の力にならないと確定し、更には、
強大な敵の幻獣が3体も出現したのだ。
ケルベロスが生きることに失望したとしても無理はない。
「ケルベロス・・・その古代神兵器を渡しなさい。」
フェニックスは、静かにケルベロスに告げた。その言葉に、ケルベロスは不敵に笑う。
「お前達も、どうせ見ていたのだろう?俺達のやり取りを。
好きにすればいいさ。どうせ、何も出来ないだろうぜ。」
ケルベロスは投げやりな態度で、そうフェニックスに答えた。
イルルヤンカシュもリヴァイアサンも、ケルベロスが、
もう戦う気がないことに安堵していた。
フェニックス達とて、プライドや情けはある。
こんな状態のケルベロスを3体が揃って戦うなど、恥であると。
「なら、言葉通りに好きにさせて貰おう。」
フェニックスが答える前に、リヴァイアサンが古代神兵器の前に立った。
「今日は災難だな。こうも次から次へと・・・」
古代神兵器は、今度はフェニックス達の相手をさせられるのかと、
うんざりした声で言った。
そこへ、ラムウの使い魔のカラスが、急に姿を現して、古代神兵器に話し出した。
「古代神兵器たる存在よ。我ら幻獣の話を聞いて欲しい。」
「魔の獣の次は、幻獣と来たか・・・」
「我らは、貴殿の存在を利用する気など、毛頭ない。我らの願いはただ一つ。
魔界にも人間界にも貴殿が利用されることなく、幻獣界で、
大人しくされていて欲しいだけよ。」
「・・・・・・」
ラムウの言葉に、古代神兵器は黙る。再度、封印されて欲しいと、
遠巻きに言っているようなものだ。
これに、古代神兵器が答えてくれるのか。それが一番の問題だ。
フェニックス達は、ラムウの説得がうまくいってくれることを、
心から願うしかない。