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第4章「よそはよそ、うちはうち!」

フェニックス達は、ラムウの使い魔達が、古代神兵器を探し出すのを、
大人しく待っているつもりだった。だが、活発化している魔界の魔族達は、
フェニックス達の気配に気づいたもの達が、出て来てしまい、
戦闘が、始まってしまった。出来るのなら、大きな戦いにしたくないところであった。

「フェニックス!リヴァイアサン!お前達は手を出すな!
ここは俺が戦おう!そうすれば、お前達の気配が多く知れ渡ることはあるまい!」

イルルヤンカシュは、そうフェニックス達に伝え、フェニックス達から
少し離れたとこで戦闘を始める。

「下っ端あたりの奴が、偵察しに来た感じか?なら、すぐに片付ければ、
問題は無さそうだ。では、一掃してくれよう!」

イルルヤンカシュは、10匹ほどのゴブリンを相手に、口から青い炎を吐き出した。
ゴブリン達は悲鳴をあげ、1匹残らずに跡形もなく燃える。
わずか、数秒の出来事であった。
イルルヤンカシュの力は何も衰えていないと証明される。

「あの頃と、何も変わっていないようだ。」
「そうですね。やっぱり、イルルヤンカシュは頼りになります。」

リヴァイアサンも、フェニックスも、イルルヤンカシュの言葉に
甘え、高見の見物をさせて貰う。

「ここに長居するのは良くないようだ。少し、場所を変えよう。」

何の苦労もなく、ゴブリン達を一掃した、イルルヤンカシュは、
すぐにフェニックス達の側に戻り、そう提案する。
フェニックス達も、イルルヤンカシュの提案に乗り、場所を移動した。
それから、30分後くらいに、ラムウの使い魔が反応を示す。

「あそこは、やはりテュポーン達が縄張りしている中心部か!」

リヴァイアサンは、確認するように叫んだ。

「そうみたいですね!」
「間違いないだろうな。」

フェニックスと、イルルヤンカシュも、リヴァイアサンに同意する。
使い魔を通じ、幻獣界にも連絡はいっただろう。

「悪い噂であって欲しかったが、本当にあったとはな。」
「ですね。でも、見つかってしまったからには、仕方がありません。
私達で対応しなくては。」

少し苦悩した顔のリヴァイアサンに、フェニックスは慰めるように言う。

「古代神兵器は、幻獣界で引き取るのか?」

イルルヤンカシュは、フェニックス達の会話を聞き、質問した。

「はい。そうするつもりです。今の人間界には託せるものじゃないでしょうし、
幻獣界で封印し直し、様子を見た方がいいと思ってます。」
「そうか。だが、その方が良さそうだな。幻獣界であれば、
古代神兵器を使おうとする存在などいまいよ。」

イルルヤンカシュはフェニックスの答えに皮肉そうに笑った。
魔界にしろ、人間界にしろ、どっちに有っても良いことがなさそうなのは、
イルルヤンカシュも言わずともわかっていた。
なら、フェニックス達に託した方が最善であろうと。

「では、行くか。」

リヴァイアサンは、フェニックス達を促し、目的の場所に移動した。

「ここに、古代神兵器があるのか?」

イルルヤンカシュは、目的の場所に着き、そう言葉を漏らした。
フェニックス達の目の前には、ピラミッドのような形をした、
巨大な建物があった。
どうやら、ここがテュポーン達の拠点のようだ。
それらしい部下達が出入りしている姿が確認出来る。

「どうする?このまま、強行突破するのか?」
「いや、出入り口で、騒ぎを起こせば、古代神兵器を持って、
逃げるやもしれん。」
「人型になり、うまく潜入しますか?」

フェニックス達は、テュポーン達の拠点の近くに森の様な場所を
見つけ、そこに身を隠し、ひそひそと作戦会議を始める。
そうしていると、ラムウの使い魔が、ラムウの言葉を伝え始めた。

「使い魔を通じて、話は大体わかった。わしの力で、お主達の気配を
一時的に消そう。各自、わしの使い魔を肩に乗せるがよい。」

ラムウの指示に従い、フェニックス達が、ラムウの使い魔を肩に乗せると、
使い魔のカラス達は、ラムウの呪文を喋り出したかと思ったら、
護符の姿に戻り、フェニックス達の肩に張り付いた。
フェニックス達は互いの姿を見て、驚く。
透明人間のようにフェニックス達の体は透けていたからだ。

「お主等と同じくらいのものでなければ、お主等の存在は認識出来ないであろう。
これで、潜入するがよい。」
「ラムウ・・・。有難うございます。」
「感謝などいらぬ、フェニックス。古代神兵器の確保・・・頼むぞ。」
「はい。」
「リヴァイアサン、イルルヤンカシュよ。そなたらにもな。」
「わかっておる、ラムウ、安心せい。」
「俺も出来る限りのことはしよう。」

リヴァイアサンも、イルルヤンカシュも、ラムウを安心させるように返事をする。
幻獣達がこうして団結することにフェニックスは喜びを覚える。
いつか、人間達ともこうなれる日が来ればいいなと。

「じゃあ、次こそは向かうか。」

イルルヤンカシュの言葉にフェニックス達もしっかりと頷く。
フェニックス達は気を鎮めて、息を潜ませ、慎重にテュポーン達の拠点に潜入した。
そして、拠点の奥には、凄まじい力を放つ存在があった。
間違いなく、あれが古代神兵器だろうと、フェニックス達は
すぐに確信する。

「凄まじい力は感じるが、あれが古代神兵器なのか?」

リヴァイアサンは、古代神兵器の姿を見て、戸惑いを隠せない感じで言う。
フェニックスも、イルルヤンカシュも同じ気持ちであった。

「あれは、まるで光の球体のようだ。古代神兵器とは、あんな存在なのか?」
「どうなのでしょうか。ラムウでさえも、姿のことは何も言ってませんでしたが・・・」

フェニックス達が、小声で互いに意見を交わす中で、突然、光の球体を激しく輝き出す。
周りを確認すると、テュポーンとケルベロスが、古代神兵器に
向かって、何やら話しかけていたところだった。
フェニックス達は、耳を澄ませ、会話を聞き取ろうとする。

「我は何にも力は貸さぬ。」
「何故だ!お前は過去の人間達に恨みがあるはずだ!仲間を殺されたり、
騙されて封印されたりしたのだろう?!なら、俺達と復讐しようではないか!」
「そうだ!お前のその力を眠らせておくなど、勿体無い!
ぜひ、俺達に力を貸してくれ!」
「・・・・・・・」

光の球体は、どうやら、テュポーンやケルベロスの誘いを断っているようだった。
しかし、テュポーンやケルベロスが、古代神兵器に詳しい知識が
あるようだが、何故なのか。
フェニックスは、そこも気になりながらも、様子を見ていた。
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