プロローグ
仕事の合間にフェニックスは真剣にある本を読んでいた。
バハムートは、何事かと思って、冗談交じりに、フェニックスに話しかけた。
「何だ?フェニックス。まるで人生の大事でも起きたような顔で、
書物なんか読んで・・・・。」
「ええ。バハムート。その通りです。今、私は今後の人生が
かかってると言っていいほどの大事に直面しています。」
「へ?」
バハムートはまさかの返事に、唖然とした顔をして、フェニックスを見る。
フェニックスは、真面目な顔をして、更に熱心に本を読む。
「ラリイが・・・私の子が・・・」
「ラリイがどうしたって言うんだ?」
余りにも真剣な顔のフェニックスに、バハムートも心配になる。
が・・・
「お野菜を食べないんです!!!本当に困りました!」
「げは!!!」
想像もしていなかった答えに、流石のバハムートも噴き出すしかなかった。
そうだ、最近は、こんな調子だったのを、何故、自分は
忘れてしまったのだろうと、バハムートは反省した。
余計な事に口を出してしまったと。
だが、そんなバハムートなど、気にせずにフェニックスは早口に、
バハムートに話しかける。
正直言って、バハムートが、自分の話を聞いていようが、
聞いていまいが関係ない。
「前世のラリイも、私も何でも食べていたので、まさか、
赤ちゃんになって、好き嫌いをするとは思いませんでした。
かと言って、無理に食べさせると、私の事を嫌いになるし・・・
本当に困りました。子育てとは、本当に毎日大変です。」
「あ・・・そうですか・・・」
バハムートは、困惑した顔のまま、何とかそれだけ答えた。
これで、気軽に何かを言おうものなら、フェニックスは
冷酷な顔して自分を非難してくる恐れもあるので、何も言えない。
そこに、オーディンがある報告をしに、政務室に来た。
「バハムート、それにフェニックス、お元気そうで、なによりです。」
兜を取り、黒に近い茶色の短髪に、深い知性を思わせる、
灰色の瞳をした、美青年のオーディンが2体に幻獣に挨拶をする。
(実際の歳は、老人であるが、魔法で若作りをしている。)
「オーディン!丁度良かった!助けてくれ!」
「何事ですか?」
バハムートが、オーディンの登場に助かったとばかりに、近寄り、
オーディンの耳元で、ひそひそと話し出す。
「例のアレだ!また、我が子がどうのこうのって・・・」
「ああ、フェニックスの親馬鹿が炸裂してるんですか?」
「そうだ。毎度のことで困る。」
「仕方がないですね。今のフェニックスは慈愛の幻獣とまで、
噂されるほどですから。」
幻獣王が助けを求めるから何事かと思えば、と、オーディンも
話に耳を傾けてみれば、こんな状態なので苦笑いして答える
しかなかった。
バハムートとオーディンがしゃべっていても、フェニックスは
本を読むことを止めない。
「オーディン。お前は人間にも詳しい幻獣だろ?
何か、いい知恵はないか?あの調子だと、仕事にならんぞ。」
「それは、困りましたね。俺も報告したいことがあって来たのに。
ま、子育てについてなら、そうした本は数点か所持してますし、
妻の方が詳しいでしょうから、後で話を聞きに行って貰ってもいいですが。」
「だ、そうだぞ、フェニックス?」
バハムートとオーディンがそう話して、フェニックスに問いかけると、
フェニックスは本を閉じ、オーディンの側に寄り、オーディンの手を取り、
固く握手した。
「有り難うございます!オーディン!では、後でそれらの本を借りに、後、
オーディンの奥方様にご挨拶兼ねて、質問しに伺いますので、
話を通しておいて下さい。」
「お、おう。わかった・・・伝えておく。」
流石のオーディンも、フェニックスのキラキラした希望に満ちた眼差しに、
たじろいでしまった。
こうまで、フェニックスが子育てに夢中だったとは、オーディンも
思わなかったようだ。
(これでは、バハムートも日々、苦労するのは間違いないな。
良かった。俺、王とかにならなくて・・・)
オーディンはバハムートにこう思いながらも、少し同情した。
幻獣王になって、誰がこんな苦労に悩まされると思うだろうか。
オーディンも長生きはしているが、予想外の出来事に、呆れもあったが、
好奇心も出て来た。
「フェニックス。もし、今後、ラリイが成長して、剣などを
学びたいと言ったら、ぜひ俺に面倒見させてくれ。」
「ええ!オーディンが見て下さるのでしたら、ぜひお願いします!」
フェニックスから良い返事を貰い、オーディンにも、今後楽しみが出来た。
幻獣界は平和なので、今後の何か楽しみが欲しいと考えていた、
オーディンには、丁度良い暇つぶしになりそうであった。
フェニックスに借りを作るのも悪くない。
「では、仕事を再開しましょうか?で、オーディン?
報告は何でしょうか?」
先ほどまでの、穏やかなフェニックスとは違い、キリっと、
仕事モードに入ったフェニックスは、別人のように変わり、
無駄口は一切しませんと言った態度に変わる。
こうなると、今度は余計な事を言えば、厳しく非難してくるだろう。
この身の変わりように、バハムートもオーディンも再度、
苦笑いするしかなかった。
「じゃあ、仕事再開するか、オーディン。」
「そうですね、バハムート。」
2体の幻獣は、フェニックスの指示に従い、仕事を再開した。
この後のオーディンの報告に、バハムートもフェニックスも、
驚かされるとも知らずに。
バハムートは、何事かと思って、冗談交じりに、フェニックスに話しかけた。
「何だ?フェニックス。まるで人生の大事でも起きたような顔で、
書物なんか読んで・・・・。」
「ええ。バハムート。その通りです。今、私は今後の人生が
かかってると言っていいほどの大事に直面しています。」
「へ?」
バハムートはまさかの返事に、唖然とした顔をして、フェニックスを見る。
フェニックスは、真面目な顔をして、更に熱心に本を読む。
「ラリイが・・・私の子が・・・」
「ラリイがどうしたって言うんだ?」
余りにも真剣な顔のフェニックスに、バハムートも心配になる。
が・・・
「お野菜を食べないんです!!!本当に困りました!」
「げは!!!」
想像もしていなかった答えに、流石のバハムートも噴き出すしかなかった。
そうだ、最近は、こんな調子だったのを、何故、自分は
忘れてしまったのだろうと、バハムートは反省した。
余計な事に口を出してしまったと。
だが、そんなバハムートなど、気にせずにフェニックスは早口に、
バハムートに話しかける。
正直言って、バハムートが、自分の話を聞いていようが、
聞いていまいが関係ない。
「前世のラリイも、私も何でも食べていたので、まさか、
赤ちゃんになって、好き嫌いをするとは思いませんでした。
かと言って、無理に食べさせると、私の事を嫌いになるし・・・
本当に困りました。子育てとは、本当に毎日大変です。」
「あ・・・そうですか・・・」
バハムートは、困惑した顔のまま、何とかそれだけ答えた。
これで、気軽に何かを言おうものなら、フェニックスは
冷酷な顔して自分を非難してくる恐れもあるので、何も言えない。
そこに、オーディンがある報告をしに、政務室に来た。
「バハムート、それにフェニックス、お元気そうで、なによりです。」
兜を取り、黒に近い茶色の短髪に、深い知性を思わせる、
灰色の瞳をした、美青年のオーディンが2体に幻獣に挨拶をする。
(実際の歳は、老人であるが、魔法で若作りをしている。)
「オーディン!丁度良かった!助けてくれ!」
「何事ですか?」
バハムートが、オーディンの登場に助かったとばかりに、近寄り、
オーディンの耳元で、ひそひそと話し出す。
「例のアレだ!また、我が子がどうのこうのって・・・」
「ああ、フェニックスの親馬鹿が炸裂してるんですか?」
「そうだ。毎度のことで困る。」
「仕方がないですね。今のフェニックスは慈愛の幻獣とまで、
噂されるほどですから。」
幻獣王が助けを求めるから何事かと思えば、と、オーディンも
話に耳を傾けてみれば、こんな状態なので苦笑いして答える
しかなかった。
バハムートとオーディンがしゃべっていても、フェニックスは
本を読むことを止めない。
「オーディン。お前は人間にも詳しい幻獣だろ?
何か、いい知恵はないか?あの調子だと、仕事にならんぞ。」
「それは、困りましたね。俺も報告したいことがあって来たのに。
ま、子育てについてなら、そうした本は数点か所持してますし、
妻の方が詳しいでしょうから、後で話を聞きに行って貰ってもいいですが。」
「だ、そうだぞ、フェニックス?」
バハムートとオーディンがそう話して、フェニックスに問いかけると、
フェニックスは本を閉じ、オーディンの側に寄り、オーディンの手を取り、
固く握手した。
「有り難うございます!オーディン!では、後でそれらの本を借りに、後、
オーディンの奥方様にご挨拶兼ねて、質問しに伺いますので、
話を通しておいて下さい。」
「お、おう。わかった・・・伝えておく。」
流石のオーディンも、フェニックスのキラキラした希望に満ちた眼差しに、
たじろいでしまった。
こうまで、フェニックスが子育てに夢中だったとは、オーディンも
思わなかったようだ。
(これでは、バハムートも日々、苦労するのは間違いないな。
良かった。俺、王とかにならなくて・・・)
オーディンはバハムートにこう思いながらも、少し同情した。
幻獣王になって、誰がこんな苦労に悩まされると思うだろうか。
オーディンも長生きはしているが、予想外の出来事に、呆れもあったが、
好奇心も出て来た。
「フェニックス。もし、今後、ラリイが成長して、剣などを
学びたいと言ったら、ぜひ俺に面倒見させてくれ。」
「ええ!オーディンが見て下さるのでしたら、ぜひお願いします!」
フェニックスから良い返事を貰い、オーディンにも、今後楽しみが出来た。
幻獣界は平和なので、今後の何か楽しみが欲しいと考えていた、
オーディンには、丁度良い暇つぶしになりそうであった。
フェニックスに借りを作るのも悪くない。
「では、仕事を再開しましょうか?で、オーディン?
報告は何でしょうか?」
先ほどまでの、穏やかなフェニックスとは違い、キリっと、
仕事モードに入ったフェニックスは、別人のように変わり、
無駄口は一切しませんと言った態度に変わる。
こうなると、今度は余計な事を言えば、厳しく非難してくるだろう。
この身の変わりように、バハムートもオーディンも再度、
苦笑いするしかなかった。
「じゃあ、仕事再開するか、オーディン。」
「そうですね、バハムート。」
2体の幻獣は、フェニックスの指示に従い、仕事を再開した。
この後のオーディンの報告に、バハムートもフェニックスも、
驚かされるとも知らずに。