第3章「歩き出す時に」
リヴァイアサンの聞いた悪い噂を、フェニックス達も聞くことになり、
フェニックス達もバハムート同様に驚いた。普段では滅多なことで、
動揺しないラムウでさえも、いつも以上に難しい顔をしていた。
リヴァイアサンはフレンだけ、先に人間界に帰し、
自分はまだ用事があるからと幻獣界に残っていた。
幻獣城の政務室は、重い空気に、更に嫌な緊張感さえあった。
「リヴァイアサン。それは真なのか?」
ラムウは難しい顔のまま、再度、リヴァイアサンに尋ねる。
「絶対とは言い切れないが、古代神兵器が、魔界にありそうなのだけは、確実そうだ。」
「ならば、悠長な事は言っていられんぞ。魔族に使われるのも、困るが、
人間どもの手に渡るのも困る。」
ラムウは忌々しそうに言う。人間などには絶対に渡さないと、
顔に書いてあった。
その為の努力ならば、ラムウは絶対に惜しまないだろうと分かる。
「いやーそれにしても、人間界との取り決めが決まったかと、
思えば、今度は幻とまで言われた、古代神兵器まで出てくるとは。
まるでおとぎ話みたいですね。」
オーディンは、苦い笑顔で、その話を茶化す。気まずい雰囲気に
耐えられないと言った感じだ。
「ですが、魔界もそれなりに広い所です。闇雲に、我々、幻獣が、
魔界を出入りし、探せば人間達も不審がるのではないですか?」
「フェニックスの言う通りだ。この事を公にしないのなら、
俺達の行動も、慎重さが求められる。素早さも大事だがな。」
バハムートも、真剣にフェニックス達の意見に答える。
そして、ラムウに言う。
「ラムウ。お前なら、魔界から古代神兵器を的確に探す方法を
考えられるんじゃないか?」
と。ラムウは、しばらく黙って考えていたが、何かを思いついたのか、口を開いた。
「出来そうな方法はあるが・・・少しだけ準備に時間が欲しい。
それと、もしこの方法を試すのならば、多少は誰かの手も借りるが良いか?」
ラムウはじっと、バハムート達を見る。ラムウがこう言うからには、
責任が重い手伝いかもしれない。
が、それでもリヴァイアサンは躊躇うことなく名乗り出た。
「その時は私が手伝おう。」
「なら、その時は手助けを頼もう。」
ラムウは、リヴァイアサンの顔を見て、頼んだ。
そして、急いで用意すると言い残し、魔法院へ帰っていった。
「あの調子なら、ラムウも今回は本気で手伝うだろうな。」
「そうですね。魔界に古代神兵器があることよりも、人間界の手に渡ることの方が、
ラムウには許せないみたいですからね。」
バハムートとフェニックスはラムウの態度を思い出し、苦笑いした。
そこにオーディンも参加する。
「無理もありませんよ。俺だって、正直、どっちの手に有っても、
最悪だとしか思いません。」
「オーディン。それは、私だって思っていることだ。
今の人間界にあれを預けるのも荷が重いしな。」
「ですね、悲しいですが。今の人間達には託さない方がいいでしょう。
今後はフレンのような人間を増えることを願うばかりです。」
「ま、これ以上は暗い話になりそうだからな。お前ら止めておけ。
それよりもだ!リヴァイアサン。せっかく、幻獣界にいるなら、
俺の子供達にも会ってやってくれ。」
バハムートは暗い顔の仲間を励まそうと、まずリヴァイアサンにそう声を掛けた。
「ラムウの準備が整うまでは各自、自由にしよう。フェニックスも、
ラリイに会いに帰っていいぞ。」
「では、お言葉に甘えて、そうしましょうかね。」
「オーディンも愛しい妻の元へ帰ったら、どうだ?」
「ははは。そうですね。今後、忙しくなるかもしれない事は、
妻に話すべきかもしれませんね。」
4体の幻獣は、和やかな雰囲気に戻り、それぞれに、行きたい場所に移動する。
フェニックスは、急ぎ足で、自分の屋敷に戻る。
いつも無性に会いたいに息子に、今日はもっと会いたい気分だった。
「ラリイーただいま♥私が帰りましたよ!♥起きてますか?!♥♥♥」
「フェニックス様、おかえりなさいませ。」
「ラリイは、どうしましたか?」
「それが・・・」
フェニックスを出迎えた、ほとんどのメイド達が顔を青ざめ、
フェニックスの周りに集まる。
その事態にフェニックスの顔も、急に真剣になった。
「何が起きたのですか?説明して下さい。」
「はい。」
1匹のメイドが、震えながらに、フェニックスに、今日のラリイの様子を話し始めた。
「フェニックス様が、お仕事に出掛けられてから、いつものように、
お元気に過ごされていたのですが、午後から、お昼寝をされ始めてから、
それっきり、起きられることがなくて・・・」
「ただ寝てるのではなくて、ですか?」
「私どもも、そうではないかと思っていたのですが・・・
その割には、あまりにも静かで・・・」
「うーん・・・具合が悪そうな様子は?」
「それはなさそうなのですが・・・その・・・」
メイドは、何かが言いづらいのか、フェニックスに上手く説明出来ずに、
煮え切らない態度だった。
「とにかく、私はラリイのところに行きます。ラリイは、寝室ですか?」
「はい。ラリイ様の寝室にいらっしゃいます。」
「わかりました。」
フェニックスは、ただ冷静に、ラリイのところに向かう。
このような事態は、ラリイを育ててから初めてのことだった。
「今は、一刻も早く、私が自分の目で確認するべきですね。
ラリイ・・・一体、何があったと言うのですか・・・貴方に。」
フェニックスは、急に嫌な不安を感じる。
このまま、ラリイが・・・と、考えたくないことまで、考えてしまう。
フェニックスは、嫌な予感と戦いながらも、ラリイの元に急いだ。
フェニックス達もバハムート同様に驚いた。普段では滅多なことで、
動揺しないラムウでさえも、いつも以上に難しい顔をしていた。
リヴァイアサンはフレンだけ、先に人間界に帰し、
自分はまだ用事があるからと幻獣界に残っていた。
幻獣城の政務室は、重い空気に、更に嫌な緊張感さえあった。
「リヴァイアサン。それは真なのか?」
ラムウは難しい顔のまま、再度、リヴァイアサンに尋ねる。
「絶対とは言い切れないが、古代神兵器が、魔界にありそうなのだけは、確実そうだ。」
「ならば、悠長な事は言っていられんぞ。魔族に使われるのも、困るが、
人間どもの手に渡るのも困る。」
ラムウは忌々しそうに言う。人間などには絶対に渡さないと、
顔に書いてあった。
その為の努力ならば、ラムウは絶対に惜しまないだろうと分かる。
「いやーそれにしても、人間界との取り決めが決まったかと、
思えば、今度は幻とまで言われた、古代神兵器まで出てくるとは。
まるでおとぎ話みたいですね。」
オーディンは、苦い笑顔で、その話を茶化す。気まずい雰囲気に
耐えられないと言った感じだ。
「ですが、魔界もそれなりに広い所です。闇雲に、我々、幻獣が、
魔界を出入りし、探せば人間達も不審がるのではないですか?」
「フェニックスの言う通りだ。この事を公にしないのなら、
俺達の行動も、慎重さが求められる。素早さも大事だがな。」
バハムートも、真剣にフェニックス達の意見に答える。
そして、ラムウに言う。
「ラムウ。お前なら、魔界から古代神兵器を的確に探す方法を
考えられるんじゃないか?」
と。ラムウは、しばらく黙って考えていたが、何かを思いついたのか、口を開いた。
「出来そうな方法はあるが・・・少しだけ準備に時間が欲しい。
それと、もしこの方法を試すのならば、多少は誰かの手も借りるが良いか?」
ラムウはじっと、バハムート達を見る。ラムウがこう言うからには、
責任が重い手伝いかもしれない。
が、それでもリヴァイアサンは躊躇うことなく名乗り出た。
「その時は私が手伝おう。」
「なら、その時は手助けを頼もう。」
ラムウは、リヴァイアサンの顔を見て、頼んだ。
そして、急いで用意すると言い残し、魔法院へ帰っていった。
「あの調子なら、ラムウも今回は本気で手伝うだろうな。」
「そうですね。魔界に古代神兵器があることよりも、人間界の手に渡ることの方が、
ラムウには許せないみたいですからね。」
バハムートとフェニックスはラムウの態度を思い出し、苦笑いした。
そこにオーディンも参加する。
「無理もありませんよ。俺だって、正直、どっちの手に有っても、
最悪だとしか思いません。」
「オーディン。それは、私だって思っていることだ。
今の人間界にあれを預けるのも荷が重いしな。」
「ですね、悲しいですが。今の人間達には託さない方がいいでしょう。
今後はフレンのような人間を増えることを願うばかりです。」
「ま、これ以上は暗い話になりそうだからな。お前ら止めておけ。
それよりもだ!リヴァイアサン。せっかく、幻獣界にいるなら、
俺の子供達にも会ってやってくれ。」
バハムートは暗い顔の仲間を励まそうと、まずリヴァイアサンにそう声を掛けた。
「ラムウの準備が整うまでは各自、自由にしよう。フェニックスも、
ラリイに会いに帰っていいぞ。」
「では、お言葉に甘えて、そうしましょうかね。」
「オーディンも愛しい妻の元へ帰ったら、どうだ?」
「ははは。そうですね。今後、忙しくなるかもしれない事は、
妻に話すべきかもしれませんね。」
4体の幻獣は、和やかな雰囲気に戻り、それぞれに、行きたい場所に移動する。
フェニックスは、急ぎ足で、自分の屋敷に戻る。
いつも無性に会いたいに息子に、今日はもっと会いたい気分だった。
「ラリイーただいま♥私が帰りましたよ!♥起きてますか?!♥♥♥」
「フェニックス様、おかえりなさいませ。」
「ラリイは、どうしましたか?」
「それが・・・」
フェニックスを出迎えた、ほとんどのメイド達が顔を青ざめ、
フェニックスの周りに集まる。
その事態にフェニックスの顔も、急に真剣になった。
「何が起きたのですか?説明して下さい。」
「はい。」
1匹のメイドが、震えながらに、フェニックスに、今日のラリイの様子を話し始めた。
「フェニックス様が、お仕事に出掛けられてから、いつものように、
お元気に過ごされていたのですが、午後から、お昼寝をされ始めてから、
それっきり、起きられることがなくて・・・」
「ただ寝てるのではなくて、ですか?」
「私どもも、そうではないかと思っていたのですが・・・
その割には、あまりにも静かで・・・」
「うーん・・・具合が悪そうな様子は?」
「それはなさそうなのですが・・・その・・・」
メイドは、何かが言いづらいのか、フェニックスに上手く説明出来ずに、
煮え切らない態度だった。
「とにかく、私はラリイのところに行きます。ラリイは、寝室ですか?」
「はい。ラリイ様の寝室にいらっしゃいます。」
「わかりました。」
フェニックスは、ただ冷静に、ラリイのところに向かう。
このような事態は、ラリイを育ててから初めてのことだった。
「今は、一刻も早く、私が自分の目で確認するべきですね。
ラリイ・・・一体、何があったと言うのですか・・・貴方に。」
フェニックスは、急に嫌な不安を感じる。
このまま、ラリイが・・・と、考えたくないことまで、考えてしまう。
フェニックスは、嫌な予感と戦いながらも、ラリイの元に急いだ。