第3章「歩き出す時に」
あの日にバハムート達が会議室で話し合いをし、幻獣界でも、
人間界と協定を交わす為の正式な書類一式が出来た頃に、フレンが、
再度、幻獣界を訪れた。
今回は1人でなく、ある幻獣も連れて。
「まさか、お前まで一緒に来るなんてな、リヴァイアサン。」
「久しぶりだな。義兄貴。」
バハムートは、まず何よりも嬉しそうな顔で、リヴァイアサンを見る。
義兄弟と再会出来るのは、今のバハムートにとっては何よりも嬉しいことであった。
幻獣界の支配者になってからは、バハムートは幻獣界を守る為に、
幻獣界から出ることが出来ない身になっていたからだ。
その為、相手側から、バハムートに会いに来て貰うしかない。
「積もる話はたくさんあるが、先にフレンの話を聞いてやって欲しい。」
「わかった。まずは、やるべき事を先にしよう。フェニックス、
こちらからも書類を。」
「はい。バハムート王。」
互いに挨拶を済ませ、会議室で、各自がそれぞれ席に着き、フレンは人間側の書類を、
フェニックスは幻獣側の書類を出し、互いに念入りに確認したのちに、
書面にサインをした。
フレンが出した書面には、各国の王のサインと今代の4大神官達のサインもあった。
対して、幻獣界側は王のバハムートだけである。
「確かに承りました。また、数年後、いや出来れば、来年に、
また世界会議をするつもりです。その時に、幻獣界の方の助力を頂ければと思います。」
フレンは交わした書面を大事そうに、特殊そうな箱のカバンに
しまうと、そうフェニックス達に告げた。
「わかった。その際には、幻獣界側からも使者を出し、会議に参加しよう。」
「有難うございます。感謝致します、バハムート王。」
フレンは深々とバハムートに頭を下げ、お礼を述べた。
「では、わしはこれで失礼しよう。フレン殿・・・例の約束。
しっかりと果たされよ。」
ラムウは前回と同じように使い魔のカラスを使い、自分の言葉を、
フレンに言ってから去った。
例の約束。人間が作った幻獣を縛る道具などを無くす活動の事を、
ラムウは念を押して言ったのだ。
「珍しいこともあったもんですな。あのラムウ殿が、最後に人間に声を掛けるとは。」
オーディンは、ラムウの最後の言動に驚いていた。バハムート達も同じ気持ちであった。
「これが良い心境の変化に繋がってくれれば、いいのですが。」
「そうだな。ラムウは、我々、どの幻獣よりも、幻獣を想ってくれている。
その為に、意固地になってるところもあるだろうが、悪ではない。
いずれ、時が過ぎれば、また何かが変わろう。」
フェニックスの言葉に、リヴァイアサンが答える。
そうなって欲しいと、この場にいる全員が素直に思った。
「さぁ!リヴァイアサン!やるべき事は終わったぞ!
俺に最近のお前の近況を教えてくれ!」
「ふぅ、相変わらずだな、義兄貴は。わかった、そう急かさずとも、
ちゃんと話すから、落ち着け。フェニックスが呆れてるぞ?」
「いえ、私は別に。むしろ今日は、リヴァイアサンがバハムートの相手を
してくれるので、凄く助かります。」
フェニックスは、今日はバハムートの世話をしなくて済むのが、
少しだけ本気で嬉しかったので、笑顔でリヴァイアサンにそう言った。
「こう言われるとは、義兄貴。相当、普段からフェニックスに、
甘えてると見えるな。
気を付けないと振られるぞ?」
「何?!フェニックス!お前、そんなに俺が嫌なのか?!」
バハムートは、そんな事、想像もしていなかったぞ!と言わんばかりの顔で、
フェニックスに言う。
「私が、三大重臣を辞めたくならないように、気を付けて頂けると幸いですね。」
「わかった・・・我が儘は控えるようにしよう。」
フェニックスに軽く突き放され、バハムートはしゅんとしている。
それを見た、リヴァイアサンは笑う。
「あはは、義兄貴を、からかうのはこの辺にしよう。
さて、じゃあ、バハムートは借りていくぞ?フェニックス。」
「ええ、お好きなだけどうぞ。」
悲しがるバハムートを連れ、リヴァイアサンは会議室からいなくなった。
バハムートと自分だけで、どうやら話したい話もあるようだ。
フレンは、それがわかっているのか、会議室に残っている。
「にしても、フレン!お前もよく頑張ったな!」
オーディンは、フレンの肩に手を置いて、フレンを労っていた。
「いえいえ。オーディン様を始め、多くの幻獣の皆様の助力があったからこそ、
出来たんだと思います。俺も未だに夢の出来事のようで、
実は、まだ自分でも実感が湧いてきません。」
「そうだろうな。まるで夢物語のようだ。今回の事は特にな。」
「でも、それが実現したのは、フレン、貴方の努力があったのは、間違いありません。
自信を持って下さい。」
「フェニックス様も、お優しい言葉、有難うございます。」
フレンは素直に喜んで、フェニックスにお礼を言う。
「ところで、俺のやった、人の心を掌握する本も、役に立ったか?」
「はい!オーディン様。あの本はとても参考になりました!」
「そうか、なら何よりだ。少し時代が古い本だったので、
心配していたが、あれが役に立つと言うのなら、人間は2、3百年くらいでは、
何も変わらないと言う事だな。ははは。」
オーディンは、フレンの回答を聞いて、満足そうに笑った。
そんな本をフレンにあげていたとは、フェニックスも知らなかった。
(オーディンはオーディンで、フレンを通して、人間の存在を、
試して研究しているのかもしれませんね。
そうして、人間に興味があるうちは、きっと良い手助けをして
くれるはず。
フレンのような、魅力ある人間が、今後も人間界で増えてくれる
ことを願うばかりですね。
貴方もそう思いますよね・・・ラリイ。)
フェニックスは、オーディンとフレンのやり取りを見守りながらも、
つい前世のラリイに語り掛けていた。
人間界と協定を交わす為の正式な書類一式が出来た頃に、フレンが、
再度、幻獣界を訪れた。
今回は1人でなく、ある幻獣も連れて。
「まさか、お前まで一緒に来るなんてな、リヴァイアサン。」
「久しぶりだな。義兄貴。」
バハムートは、まず何よりも嬉しそうな顔で、リヴァイアサンを見る。
義兄弟と再会出来るのは、今のバハムートにとっては何よりも嬉しいことであった。
幻獣界の支配者になってからは、バハムートは幻獣界を守る為に、
幻獣界から出ることが出来ない身になっていたからだ。
その為、相手側から、バハムートに会いに来て貰うしかない。
「積もる話はたくさんあるが、先にフレンの話を聞いてやって欲しい。」
「わかった。まずは、やるべき事を先にしよう。フェニックス、
こちらからも書類を。」
「はい。バハムート王。」
互いに挨拶を済ませ、会議室で、各自がそれぞれ席に着き、フレンは人間側の書類を、
フェニックスは幻獣側の書類を出し、互いに念入りに確認したのちに、
書面にサインをした。
フレンが出した書面には、各国の王のサインと今代の4大神官達のサインもあった。
対して、幻獣界側は王のバハムートだけである。
「確かに承りました。また、数年後、いや出来れば、来年に、
また世界会議をするつもりです。その時に、幻獣界の方の助力を頂ければと思います。」
フレンは交わした書面を大事そうに、特殊そうな箱のカバンに
しまうと、そうフェニックス達に告げた。
「わかった。その際には、幻獣界側からも使者を出し、会議に参加しよう。」
「有難うございます。感謝致します、バハムート王。」
フレンは深々とバハムートに頭を下げ、お礼を述べた。
「では、わしはこれで失礼しよう。フレン殿・・・例の約束。
しっかりと果たされよ。」
ラムウは前回と同じように使い魔のカラスを使い、自分の言葉を、
フレンに言ってから去った。
例の約束。人間が作った幻獣を縛る道具などを無くす活動の事を、
ラムウは念を押して言ったのだ。
「珍しいこともあったもんですな。あのラムウ殿が、最後に人間に声を掛けるとは。」
オーディンは、ラムウの最後の言動に驚いていた。バハムート達も同じ気持ちであった。
「これが良い心境の変化に繋がってくれれば、いいのですが。」
「そうだな。ラムウは、我々、どの幻獣よりも、幻獣を想ってくれている。
その為に、意固地になってるところもあるだろうが、悪ではない。
いずれ、時が過ぎれば、また何かが変わろう。」
フェニックスの言葉に、リヴァイアサンが答える。
そうなって欲しいと、この場にいる全員が素直に思った。
「さぁ!リヴァイアサン!やるべき事は終わったぞ!
俺に最近のお前の近況を教えてくれ!」
「ふぅ、相変わらずだな、義兄貴は。わかった、そう急かさずとも、
ちゃんと話すから、落ち着け。フェニックスが呆れてるぞ?」
「いえ、私は別に。むしろ今日は、リヴァイアサンがバハムートの相手を
してくれるので、凄く助かります。」
フェニックスは、今日はバハムートの世話をしなくて済むのが、
少しだけ本気で嬉しかったので、笑顔でリヴァイアサンにそう言った。
「こう言われるとは、義兄貴。相当、普段からフェニックスに、
甘えてると見えるな。
気を付けないと振られるぞ?」
「何?!フェニックス!お前、そんなに俺が嫌なのか?!」
バハムートは、そんな事、想像もしていなかったぞ!と言わんばかりの顔で、
フェニックスに言う。
「私が、三大重臣を辞めたくならないように、気を付けて頂けると幸いですね。」
「わかった・・・我が儘は控えるようにしよう。」
フェニックスに軽く突き放され、バハムートはしゅんとしている。
それを見た、リヴァイアサンは笑う。
「あはは、義兄貴を、からかうのはこの辺にしよう。
さて、じゃあ、バハムートは借りていくぞ?フェニックス。」
「ええ、お好きなだけどうぞ。」
悲しがるバハムートを連れ、リヴァイアサンは会議室からいなくなった。
バハムートと自分だけで、どうやら話したい話もあるようだ。
フレンは、それがわかっているのか、会議室に残っている。
「にしても、フレン!お前もよく頑張ったな!」
オーディンは、フレンの肩に手を置いて、フレンを労っていた。
「いえいえ。オーディン様を始め、多くの幻獣の皆様の助力があったからこそ、
出来たんだと思います。俺も未だに夢の出来事のようで、
実は、まだ自分でも実感が湧いてきません。」
「そうだろうな。まるで夢物語のようだ。今回の事は特にな。」
「でも、それが実現したのは、フレン、貴方の努力があったのは、間違いありません。
自信を持って下さい。」
「フェニックス様も、お優しい言葉、有難うございます。」
フレンは素直に喜んで、フェニックスにお礼を言う。
「ところで、俺のやった、人の心を掌握する本も、役に立ったか?」
「はい!オーディン様。あの本はとても参考になりました!」
「そうか、なら何よりだ。少し時代が古い本だったので、
心配していたが、あれが役に立つと言うのなら、人間は2、3百年くらいでは、
何も変わらないと言う事だな。ははは。」
オーディンは、フレンの回答を聞いて、満足そうに笑った。
そんな本をフレンにあげていたとは、フェニックスも知らなかった。
(オーディンはオーディンで、フレンを通して、人間の存在を、
試して研究しているのかもしれませんね。
そうして、人間に興味があるうちは、きっと良い手助けをして
くれるはず。
フレンのような、魅力ある人間が、今後も人間界で増えてくれる
ことを願うばかりですね。
貴方もそう思いますよね・・・ラリイ。)
フェニックスは、オーディンとフレンのやり取りを見守りながらも、
つい前世のラリイに語り掛けていた。