第3章「歩き出す時に」
「昨日は楽しかったか?」
翌日、幻獣国の政務室でフェニックスは、何故か疲れた顔のバハムートに、そう聞かれた。
「ええ。おかげで、ラリイと楽しい1日を過ごさせて貰いましたよ。
バハムートは・・・むしろ何でそんなに疲れた顔しているのです?」
フェニックスは、不思議そうな顔をして、バハムートに聞いた。
昨日は、バハムートだって、しっかりと休めたはずだ。
緊急的な事態など、昨日は何もなかったはずなのだから。
「俺の嫁達が、最近のお前の噂を聞いて、俺にもうるさく、
育児を手伝えと言ってきてな・・・様々なことに付き合わされたんだ。」
「へぇ。良いことではないですか?」
「もちろん悪いことではない!だがな!俺は、お前と違って、
初めてのことばっかりだったんだぞ?!しかも、子が1匹ならまだしも、
10匹近くも、いっぺんに代わる代わるにみせられて、死ぬかと思ったわ!」
「それは・・・大変でしたね・・・」
昨日の出来事を思い出したのかバハムートは、フェニックスに少し発狂気味に、
吐き捨てるように言った。
どうやら、かなり嫁達に、良い様にこき使われたみたいだ。
バハムートのところは一夫多妻制なので、嫁も多いが、子供は、
もちろんもっと多い。
バハムートは有名な幻獣で実力もあるので、言わずもがなで、
モテる。
今では、幻獣界の支配者でもある為、余計に、多方面で娘をぜひに嫁にと、言われている現状だ。
全てに答えるのは無理でも、バハムートも気が合う存在がいれば、
最終的には嫁に迎い入れている。
その為、今は何匹の嫁がいるのか、フェニックスさえも把握出来ていない。
「とは、言っても、ご自分の子なんですから、バハムートも、
育児に参加すべきですよ。」
「いや、そうなんだがな・・・」
「それに、我が子はやっぱり可愛いですよ♪私もラリイを見て、
毎日そう思いますから♪」
「確かに可愛いぞ!俺も、それは思う!だが、俺の場合は、数が多くてだな・・・
お前だって、ラリイが10人とかになったら、どうする?」
「ラリイが・・・10人ですか・・・」
フェニックスは、バハムートに言われて、少し妄想してみる。
確かに数が多くなれば、手間はかかるだろう。
その分、大変になるのも間違いはない。だが、フェニックスは、
それ以上に幸せになるだろうと確信した。
「ラリイのような存在が後、10人も居たら、私は幸せすぎて、毎日、死にかけるでしょうね♥」
「うん。お前はそう言うんじゃないかなぁーって思った。」
バハムートは、フェニックスの答えがわかっていたようで、呆れていた。
「ですが、バハムートには嫁と言う協力者がいるでしょ?
それに、育児だって、慣れですよ?私だって、今でも日々、
ラリイを育てるのには、苦労してる部分はあるんですから!」
「うん、確かにな。」
「ですから、バハムートも、考えるより慣れろですよ。
バハムートも良き父親でいないと、子供が多い分、嫌われたりしたら大変ですよ?」
「そうだな。俺の一族は下剋上なとこあるからな。今後の関係においては、
敵対すれば、俺が自分の子に殺される可能性もなくはないからな。」
バハムートはそう苦笑いしながら言う。
バハムートも、そうなって欲しくないはずだ。
それもあってか、バハムートは、ちゃんと嫁の全員をしっかり愛している。
その子供達、全員も。
それが出来るのも、バハムートの実力あってこそだ。
「では、良き父である為に、良き幻獣界にして頂かないと。
さぁ、仕事を始めましょうか?」
「何だ?もう仕事にするのか?もう少し、休ませて欲しいんだが。」
「駄目ですよ。いつも、そう言いだすと、後少しだけ、の繰り返しで、
なかなか仕事が終わらなくなるんですから。私は、今日も早く仕事を
終わらせて、愛しのラリイの育児をしなければ、ならないんですから。」
「はいはい。お前のその姿勢には恐れ入るよ。」
バハムートはフェニックスの言葉に、やれやれと言った顔になる。
これ以上の無駄口を叩くと、フェニックスは今度は、本気で怒りだすだろう。
バハムートも、それがわかっているので、仕事を開始することにした。
「そうだ、フェニックス、お前にも聞きたいんだが。」
「何でしょうか?バハムート。」
「もし、人間界で魔族との戦いになった時に、俺達はどうする?
力を貸すのか?もし、力を貸すにしても、どのくらいだ?
そういうことも、今後はフレンと決めなければなるまい。」
「そうですね。協力していきたいとは、私は思ってますが、
バハムートはどう考えてますか?」
「俺は全面的にとは言わんが、ある程度の協力はしても良いと思っている。
どうせ、フェニックスやオーディンは、駄目だと言っても、裏で援助しそうだしな。」
「そうですね。やはり、人間界がなくなるのは、我々にとっても、
良い結果にはならないと思いますので、援助してしまうかもしれませんね。」
「だろうな。それに、人間界がなくなれば、魔族が今度狙ってくるのは、
幻獣界だろうしな。」
「そうなると思います。その辺も踏まえて、ラムウを説得すれば、
ラムウも、多少の協力は許可するのではないかと。」
「ふっ。俺達の一番の課題は、そのラムウの説得かもな。」
「ふふ。そうですね。」
バハムートとフェニックスは静かに笑い合った。
人間達の結束も課題なら、幻獣界でも、人間嫌いのラムウ一派の説得も課題であった。
ラムウ以外にも、人間嫌いの幻獣は、まだまだいる。
どの幻獣も人間によって酷い目に遭わされたモノばかりだ。
それに加えて、人間に全く無関心な幻獣もいる。
幻獣界も、一致団結する為に、バハムート達は、するべきことは
しなければ、思案していた。
幻獣界を守りつつも、人間界にも協力できる態勢を整える為に。
翌日、幻獣国の政務室でフェニックスは、何故か疲れた顔のバハムートに、そう聞かれた。
「ええ。おかげで、ラリイと楽しい1日を過ごさせて貰いましたよ。
バハムートは・・・むしろ何でそんなに疲れた顔しているのです?」
フェニックスは、不思議そうな顔をして、バハムートに聞いた。
昨日は、バハムートだって、しっかりと休めたはずだ。
緊急的な事態など、昨日は何もなかったはずなのだから。
「俺の嫁達が、最近のお前の噂を聞いて、俺にもうるさく、
育児を手伝えと言ってきてな・・・様々なことに付き合わされたんだ。」
「へぇ。良いことではないですか?」
「もちろん悪いことではない!だがな!俺は、お前と違って、
初めてのことばっかりだったんだぞ?!しかも、子が1匹ならまだしも、
10匹近くも、いっぺんに代わる代わるにみせられて、死ぬかと思ったわ!」
「それは・・・大変でしたね・・・」
昨日の出来事を思い出したのかバハムートは、フェニックスに少し発狂気味に、
吐き捨てるように言った。
どうやら、かなり嫁達に、良い様にこき使われたみたいだ。
バハムートのところは一夫多妻制なので、嫁も多いが、子供は、
もちろんもっと多い。
バハムートは有名な幻獣で実力もあるので、言わずもがなで、
モテる。
今では、幻獣界の支配者でもある為、余計に、多方面で娘をぜひに嫁にと、言われている現状だ。
全てに答えるのは無理でも、バハムートも気が合う存在がいれば、
最終的には嫁に迎い入れている。
その為、今は何匹の嫁がいるのか、フェニックスさえも把握出来ていない。
「とは、言っても、ご自分の子なんですから、バハムートも、
育児に参加すべきですよ。」
「いや、そうなんだがな・・・」
「それに、我が子はやっぱり可愛いですよ♪私もラリイを見て、
毎日そう思いますから♪」
「確かに可愛いぞ!俺も、それは思う!だが、俺の場合は、数が多くてだな・・・
お前だって、ラリイが10人とかになったら、どうする?」
「ラリイが・・・10人ですか・・・」
フェニックスは、バハムートに言われて、少し妄想してみる。
確かに数が多くなれば、手間はかかるだろう。
その分、大変になるのも間違いはない。だが、フェニックスは、
それ以上に幸せになるだろうと確信した。
「ラリイのような存在が後、10人も居たら、私は幸せすぎて、毎日、死にかけるでしょうね♥」
「うん。お前はそう言うんじゃないかなぁーって思った。」
バハムートは、フェニックスの答えがわかっていたようで、呆れていた。
「ですが、バハムートには嫁と言う協力者がいるでしょ?
それに、育児だって、慣れですよ?私だって、今でも日々、
ラリイを育てるのには、苦労してる部分はあるんですから!」
「うん、確かにな。」
「ですから、バハムートも、考えるより慣れろですよ。
バハムートも良き父親でいないと、子供が多い分、嫌われたりしたら大変ですよ?」
「そうだな。俺の一族は下剋上なとこあるからな。今後の関係においては、
敵対すれば、俺が自分の子に殺される可能性もなくはないからな。」
バハムートはそう苦笑いしながら言う。
バハムートも、そうなって欲しくないはずだ。
それもあってか、バハムートは、ちゃんと嫁の全員をしっかり愛している。
その子供達、全員も。
それが出来るのも、バハムートの実力あってこそだ。
「では、良き父である為に、良き幻獣界にして頂かないと。
さぁ、仕事を始めましょうか?」
「何だ?もう仕事にするのか?もう少し、休ませて欲しいんだが。」
「駄目ですよ。いつも、そう言いだすと、後少しだけ、の繰り返しで、
なかなか仕事が終わらなくなるんですから。私は、今日も早く仕事を
終わらせて、愛しのラリイの育児をしなければ、ならないんですから。」
「はいはい。お前のその姿勢には恐れ入るよ。」
バハムートはフェニックスの言葉に、やれやれと言った顔になる。
これ以上の無駄口を叩くと、フェニックスは今度は、本気で怒りだすだろう。
バハムートも、それがわかっているので、仕事を開始することにした。
「そうだ、フェニックス、お前にも聞きたいんだが。」
「何でしょうか?バハムート。」
「もし、人間界で魔族との戦いになった時に、俺達はどうする?
力を貸すのか?もし、力を貸すにしても、どのくらいだ?
そういうことも、今後はフレンと決めなければなるまい。」
「そうですね。協力していきたいとは、私は思ってますが、
バハムートはどう考えてますか?」
「俺は全面的にとは言わんが、ある程度の協力はしても良いと思っている。
どうせ、フェニックスやオーディンは、駄目だと言っても、裏で援助しそうだしな。」
「そうですね。やはり、人間界がなくなるのは、我々にとっても、
良い結果にはならないと思いますので、援助してしまうかもしれませんね。」
「だろうな。それに、人間界がなくなれば、魔族が今度狙ってくるのは、
幻獣界だろうしな。」
「そうなると思います。その辺も踏まえて、ラムウを説得すれば、
ラムウも、多少の協力は許可するのではないかと。」
「ふっ。俺達の一番の課題は、そのラムウの説得かもな。」
「ふふ。そうですね。」
バハムートとフェニックスは静かに笑い合った。
人間達の結束も課題なら、幻獣界でも、人間嫌いのラムウ一派の説得も課題であった。
ラムウ以外にも、人間嫌いの幻獣は、まだまだいる。
どの幻獣も人間によって酷い目に遭わされたモノばかりだ。
それに加えて、人間に全く無関心な幻獣もいる。
幻獣界も、一致団結する為に、バハムート達は、するべきことは
しなければ、思案していた。
幻獣界を守りつつも、人間界にも協力できる態勢を整える為に。