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第2章「ハイハイ・イン・ザ・ハイ」

「はぁいー!たったった♪」

午後も2時を過ぎた頃。昼食などを済ませた、ラリイとフェニックスは、
再度、遊戯部屋に居て、遊んでいた。
ラリイは元気よく、部屋の中のをハイハイして徘徊している。
フェニックスが、部屋のあちらこちらに、移動しては息子を呼ぶ。

「さぁーラリイ♥今度はこっちですよ♥おいで♥♥♥」
「あうぅ!はぁはぁはぁ!!」
「うふふ♪さーラリイ!頑張って♪」

フェニックスは、満面の笑顔で、両手を広げ、愛しのラリイが、
自分の元に来ることを楽しみにする。
ラリイも、フェニックスの元に行こうと、楽しそうに頑張る。

「きゃう!ふぇんに!ふぇんに♪」

ラリイは、笑顔でフェニックスの腕の中に飛び込んで、喜ぶ。
フェニックスも、ラリイの頑張りにまた喜び、抱きしめる。

「やっぱり、ラリイは男の子なだけあって、元気ですね♪
後は、歩けるようになったら、もっと行動出来るようになりますね♪
でも、そうなるとそうなるで、目が離せないことも、
増えるでしょうが・・・それが成長ってもんですよね。」

フェニックスはラリイを抱きしめて、勝手に自分の言った言葉に納得して頷く。
よちよち歩きをするようになったら、その対策も考えなければと、
フェニックスは考える。

「ラリイが歩けるようになったら、ちゃんと専属の執事でも、
考えた方がいいかな?うーん・・・」
「ふぇに!あうあう!」
「ああ、ラリイ?まだ、ハイハイしますか?」

フェニックスが考え事をしてると、ラリイはまだまだ元気よく、
フェニックスの腕の中で、暴れる。
どうやら、まだまだ遊びたいらしい。

「前世のラリイも、こんなに元気だったんですかね?
それとも、私の力の影響ですか?元気なのはいいことですが♪」

フェニックスは、もうしばらく、ラリイのハイハイに付き合った。
他にも、まだ遊んでない、玩具で遊んだりしているうちに、
時はあっという間に過ぎ、ラリイは寝る時間になっていた。

「さぁ、ラリイ。今日は、私がラリイが寝るまで、ご本を読んであげましょうね♪」
「ふぇに♪はぁい♪」
「嬉しそうですね、ラリイ♪じゃあ、今日は、カーバンクルちゃんと
ケット・シーちゃんシリーズの魔法のパンケーキにしましょうか?」

フェニックスは幼児向けの絵本をラリイと一緒に寝そべって、
読み聞かせを始める。

「好奇心旺盛なカーバンクルちゃんは、物知りな、ケット・シーちゃんに、
いくら食べても無くならないパンケーキってあるのかな?と
相談しました・・・そうすると・・・」
「・・・・・・」
「おや?ラリイ、もう寝ちゃいましたか?」

フェニックスは、読み聞かせに、少し夢中になりすぎて、
ラリイが寝ていることにやっと気が付いた。

「うふふ。今日は、流石にラリイも遊び疲れたのか、早くに寝ちゃいましたね♪」

いつもなら、まだ起きてる時間ではあったが、今日は、フェニックスと
たくさん遊べて、疲れてしまったようだ。
フェニックスは、ラリイを仰向けに寝かし直して、自分も横になった。

「そう言えば、人間界にいると思っていた、カーバンクルは、
今回、探し出すことが出来ませんでしたね。臆病な性格の子ですから、
私の探索が甘かったのかもしれませんが・・・」

フェニックスは、未だに数体の行方知れずの幻獣達を、思い出していた。
人間界に居ないとなると、魔界か、妖精界か・・・天界か。
最悪は死んでしまったかだ。
だが、もし死んだとすれば、その幻獣と親しい別の幻獣が、その死に気づくはずだ。
遠くに離れていても、親しい幻獣同士であれば、気でわかる。
しかし、今のところ、幻獣国は、そうした報告は来ていない。

「バハムートも心配してましたが、私も心配ですね。」

フェニックスは、何か嫌なものを感じて、ずっと心配していた。
この時、ラムウ以外は、どの幻獣も知らなかった。
幻獣石精製と言う、恐ろしい禁忌の魔法があった事を。
その魔法の所為で、カーバンクルや、数体の幻獣が、幻獣石に
変えられてしまったことも。
ラムウが人間を大嫌いになった、きっかけ。
それは、その魔法に関係してであった。
その禁忌の魔法を完成に近づける為に、過去のサドルティスは、
恩人と言っても良いはずの、ラムウの兄弟姉妹に手を出したのだ。
そして、ラムウに気づかれないようにして、裏でラムウの兄弟姉妹の
何体かの幻獣を幻獣石に変えた。
ラムウはその事に知り、大激怒し、人間の汚い欲望に絶望して、
それから人間は二度と信じないと、心に固く決めたのだ。
現在、ラムウは今でも幻獣石にされてしまった兄弟姉妹達を、
何とか元に戻す為に、日々、魔法院で研究している。
魔法院設立の本当の目的は、その為に、作ったと言ってもいい。
その事は、バハムート達を始め、フェニックスさえも知らない。
ラムウは何故か隠していた。この時はまだ話すべき時でないと。
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