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第2章「ハイハイ・イン・ザ・ハイ」

フェニックスは、ラリイと一緒に、無事に幻獣界に帰って来た。
そして、フェニックスは、すぐにラリイを自分の屋敷のメイド達に託すと、
バハムートの元へと急ぐ。
バハムートは、政務室で、つまらなさそうに、書類を眺めていたが、
フェニックスが帰って来たのを知ると、笑顔になって、迎い入れた。

「おおーやっと!戻って来たか!」
「はい。只今、戻りました。」
「聞いたぞ?ラリイも連れて行ったんだって?」

バハムートは、早速、フェニックスに小言を言い始める。

「俺には、遊びに行く気分で行くな!みたいに言ってた癖に。
自分は大事な息子を連れて、人間界の観光か?
全く・・・ズルいんじゃないか?うん?」

想像していた通りのバハムートの出方に、フェニックスは、
苦笑いするしかない。
だが、フェニックスにはバハムートの機嫌が取れる秘策がある。

「そう、言わないで下さい。バハムート。そんな貴方の為に、
私がわざわざ、リヴァイアサンに頼み込んで、手紙を
書いて貰ったんですから。」
「何?!あいつの手紙だと?!」
「ええ。それに、今、人間界で話題のワインにお菓子と、
リヴァイアサンが気に入ってると言う、人間の音楽が聴ける
機械とかも買いましたよ?」
「これは!随分とたくさんのお土産を買ってきたな♪」

さっきまでの、小言モードは一気に無くなり、バハムートは上機嫌である。
チョロい。とフェニックスは心の中で思い、笑った。
もちろん、バハムートの前では冷静を装ってはいるが。
もろもろのお土産の説明をし、バハムートが、リヴァイアサンの
手紙を読み終わった頃に、フェニックスは、バハムートに、
人間界での出来事を報告する。

「おいおい、人間界は、実はそんなに深刻だったのか?」
「はい。フレンも私達に説明するのが、難しかった程に、
実は深刻だったようです。」
「まぁ、それに関しては、リヴァイアサンの手紙にも、書いてはあったが。」
「後、イルルヤンカシュにも会ってきました。」

フェニックスがそう言うと、バハムートは、少し顔を歪めた。
だが、すぐに元に戻り、フェニックスの報告を聞く。

「で、どうだった?」
「はい。元気にしてました。今は、魔界の近くの人間界の森に
棲んでましたが、魔界が活発化してるのは、感じていたようです。」
「そうか・・・」
「それから、人間達の危険な存在になりそうな魔物の情報も
くれましたよ。」
「フェニックス、お前だから、だろうな。」

バハムートはそう静かに言った。
昔ほど、憎んでいないとは言っても、バハムートの中では、
まだ完全には許せないのだろう。
最後の最後まで、イルルヤンカシュと揉めたのは、他でもない、
バハムートだった。
フェニックスと組むまでは、バハムートにとって、イルルヤンカシュは、
最高の相棒であり、大の親友でもあったのだ。
けど、今は、喧嘩別れをして大分、時も経った。
少し、嫌な顔はすれども、心の中では、きっと心配しているはずなのだ、バハムートも。
王と言う立場があるので、素直になれないところもあるかもだが。
だからこそ、フェニックスはあえて名前を出した。
イルルヤンカシュの事を。
仕事の報告して、聞く分には、また違って気持ちで聞けるから、
いいだろうと言う、フェニックスの気遣いだ。

「しかし、人間界の会議も大変だったみたいだな。」
「はい。最初は、絶望的かと思いましたが、人間界の4大神官達が、口々に人間界は、
後数年も持たないとか、色々言ったおかげで、人間の王達も黙りまして、
最後は素直にフレンの申し出に全て応じました。」
「ほう。凄いな、その4大神官達と言うのは。」
「はい。人間界の四大元素を主にした神官達だそうで、
下手な人間の王よりも権限があるそうです。」
「そうか。けど、そうした存在が居て良かったな。でなければ、
話し合いは、上手く纏まらなかったんだろう?」
「そうですね。彼等の存在は、今回の話し合いでは、
かなり重要な存在でした。きっと、今後も大事な存在になっていくでしょう。」
「うむ。いい方向に向かったのなら、とりあえずは良しとしよう。」
「そうですね。後、近々、またフレンが来ると思いますから。」
「そうだな。今度は、その人間界での話し合いも踏まえて、
俺達との取り決めも本格的に決まるからな。」
「はい。その為にも、少し、忙しくなりますよ?バハムート。」

フェニックスは、バハムートにそう告げると、バハムートは微笑む。

「おう!構わんぞ!しばらく、暇だったからな!やる気なら、あるぞ!」
「暇だったって・・・私が人間界に行ってる間に、ちゃんと私が
頼んでおいた、仕事はしたんですよね?」
「あ・・・」
「バハムート・・・?」
「あ、したぞ!うん!したした!」

バハムートは一瞬、やってしまった。と言う顔をしたが、すぐに、
誤魔化して、取り繕う。
これは、絶対にやっていない時の態度だ。

「もう、そういう嘘は結構ですから。先にまず、そっちを一緒に片付けましょうか?」
「流石、フェニックスは物分かりが良くていいな!がはは!」
「バハムート・・・今回は私も、ラリイと一緒に人間界に行ったと言う、
負い目があるから、許しますけど・・・
次は容赦しませんからね?」
「はい・・・すいませんでした。」
「わかれば、よろしい。」

まるで、学校の宿題を忘れた生徒と教師のような、やりとりを2匹はしながらも、
幻獣界でやらなければならない仕事を、次々にこなしていく。
フェニックスとしては、さっさと終わらせたいのだ。
人間界で手に入れた、育児の本や、ラリイ用の玩具などを、
ラリイに試したかったのだ。

(ラリイのお洋服も、この際、また新調しなければなりませんね。
後は、離乳食のレパートリーも増やしたいですし、
あの赤ちゃん用の玩具で、ラリイと早く一緒に遊びたい!!!
絶対に喜びそうで・・・ああ、ラリイ・・・早く、早く、
私は仕事を終わらせて帰りますからね!愛しい貴方の為に!!!)

それからの、フェニックスの気迫は凄かった。
バハムートさえ、少しビビる程に。
寝る間も惜しんで、バハムートに仕事を付き合せ、
フェニックスは、1日分の休みを無理矢理ゲットした。
フェニックスが、政務室を、ウキウキした顔で出る頃には、
バハムートは白目をむいていた。
そんなバハムートを心配するでもなく、フェニックスは、
可愛い我が子が待っている屋敷に急いで帰る。

「はぁーやっと終わりました♥
早速、ラリイに色々と試さなくては♥そうですねぇー♥
まずは、今日の朝食から、あのレシピを試してみましょうか?♥
それから、あの玩具でラリイとたくさん、一緒に遊んで♥
あーもう、考えるだけで、幸せすぎます♥」

フェニックスの周りには、たくさんのハートマークが飛び散って行く。
実は、遠くから、オーディンが、フェニックスに気づいてはいたが、
変に声を掛けるのを止めていた。
無理に関わると、ろくなことがなさそうだと、オーディンは、
直感していたのだ。

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