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第2章「ハイハイ・イン・ザ・ハイ」

世界会議が始まり、各国の王に、四大元素の大神官達、フレンなど、
それぞれに意見を言い合い、上手くまとまった話もあるが、
大半は反目しあって、話がまとまらない状態だ。
大神官達は4人とも意見が一致しているようで、今後、国同士での大戦争や、
幻獣を巻き込む戦いは頑固として反対している。
問題は、やっぱり、国同士である。過去の因縁が深い国同士もあるので、
やっぱり、いざ話し合いになると、互いの敵意がむき出しになる。

「我が国は、約束を守ったとしても、ロヴァールが守るとは
限らないではないか!」
「何を言う!過去に先に戦いを仕掛けたのは、サドルティスと
名乗っていた時代のウィル国ではないか!」
「フェガロアも内戦が多いと聞くが大丈夫なのか?」
「なら、ディスザードも、次期王を誰にするかで、激しく
揉めているそうではないか?」

などと、国同士でいがみ合いが凄かった。これには、フレンも困った顔するしかなく、
大神官達も呆れていた。
そして、リヴァイアサンも、フェニックスも人間の醜い争いに、
呆れるしかなかった。やはり、希望は所詮は希望だったのだろうか。
そう、フェニックスが悲しい気持ちになりかけた時に、
1人の初老の男が、円卓を叩いて王達を怒鳴った。
土の神殿の大神官である、イザードが、我慢の限界に達して、
怒鳴りながら、王達に言い始める。

「今、人間界そのものが無くなるかもしれないと言う、一大事に、
人間の王達が、自分達の領土だけしか問題にせぬとは、何とも情けない!
そんなに自分達の見栄と権力が大事か?!
仮に必死に領土を守ろうとも、人間界そのものが無くなったら、
何の意味もない事がわからんのか!!!」

イザードの言葉が、一気に王達を黙らせる。そう、全くその通りなのだ。
人間同士の小競り合いなど、今はもうしてる場合ではない。

「イザード様の言う通りです。今、我々人間達は手を取り合い、
国など関係なく助け合わなければなりません。
近年、ますます魔物達は力を増し、人間界に侵略しています。
このままでは、人間界は滅ばなくとも、魔界に隷属することになるでしょう。」

水の神殿の大神官である、ネレースも口添えをし、他の大神官達も、次々に意見を言う。

「人間界の自然のバランスの乱れはかなり深刻です。このままでは、
我々は魔法さえも使えなくなるでしょう。そうなれば、魔物と
戦う術は物理しかなくなる。人間側は絶望的です。
魔物達は、そのまま魔法で戦えるのですから。
それに、自然のバランスを失えば、もちろん農作なども不可能になるでしょう。
飲む水にさえ困る生活になりましょう。」

風の大神官である、ルーダはそう話す。

「魔物達の一番の力の源は、人間達の負の感情です。つまり、人間の国同士の争いが
魔物達にとっては最高の活力源なのです。
我々は、もう互いを憎み合ってる場合ではない。
これからは種の存亡をかけた、魔族との戦いの方が先決です。」

最後に火の大神官である、アランがそう締めくくった。
もう、王達は互いに言い争うの止めた。
4大神官達にここまで言われて、流石にもう領土がどうのなど、
言う王はいなかった。
フレンは、静かになった円卓の上に一枚の紙を出した。

「王である皆様の立場も、もちろん理解はしています。
ですが、イザード様や他の大神官様達の言う通り、今、人間界は危機に瀕しています。
人間と言う種族が生きているこの世界を守れるかどうかの。
なので、私は、ここに聖星団と言う、組織を作り、人間の王達の
監視役になりたいと思っています。」
「監視役?とな?」

ロヴァールの王はフレンの言葉に首を傾げる。

「はい。今、この場にいる王達に、今後、互いに争い、幻獣などを使った、
大きな戦争はしないと約束して欲しいのです。
そして、もし、その約束は破った国は、制裁を受けて貰います。
私が作った組織、聖星団によって。」
「なんと・・・」

ディスザードの王も、これには声を漏らした。

「フレン殿の言う通り、今はこうした強行策でも立て、
やっていかなければ、人間界は後、数十年も持つまい。
それほどまでに、深刻であるから、今日はこの世界会議を開いたのだ。」

イザードは、さっきほどの怒りから、落ち着きを取り戻し、冷静に王達を説得していた。

「聖星団の創立については、4大神官様達を始め、幻獣界の
三大重臣様達にも力を借りようと思っています。
幻獣達は、国同士の権力などには影響は受けません。これほど、
公平に我々を見てくれる存在はいないかと思います。」
「うむ・・・確かに・・・」

ウィルの王は、フレンの意見に頷く。
他国の王も、不満はなさそうであった。
人間同士であると、どうしても疑心が生まれる。
なら、高貴な幻獣達に審査して貰う方が良いであろうと、
王達も思ったようだ。

「何とか、いい方向に行きそうだな。」
「そうですね。」

リヴァイアサンとフェニックスは、お互いに小さい声で確認し合う。
この後、世界会議は、フレンが望む形で終わった。
各国の王は、聖星団の設立を認め、幻獣界で取り決めた形での関係も認めた。
その他にも、フレンはフェニックスがイルルヤンカシュから聞いた、
危険な魔物達の存在も各国の王に伝え、注意するように促した。
四大神官達も、今後はもっと互いに連携を取り合い、各地の王の補佐をすると約束する。
各地の王が会議部屋から出た後で、フレンは、リヴァイアサンと
フェニックスから、承諾を得て、四大神官達に、フェニックス達を紹介した。

「通りで、ただならぬ気配を感じると思いましたら、
あのフェニックス様とリヴァイアサン様とは、恐れ入りました。」

イザードが、フェニックス達に頭を深々と下げると、
他の大神官達も無礼がないようにと頭を下げる。

「よせ。その様な事はせずとも良い。これからは、我々も、
出来る限りではあるが、人間界の存続の為にも力を貸そう。」

リヴァイアサンは、四大神官達に、そう告げてやった。
四大神官達は、皆、嬉しそうな顔で、フェニックス達を見る。

「ところで国同士の橋渡し役は、どうするのですか?作らないのですか?」

フェニックスは、ふと疑問に思った事をフレンに聞いてみる。

「一刻も早く、聖星団を作り、その聖星団の者にさせたいと考えてます。」
「そうですか。」

フェニックスは、それならば、早くに聖星団が出来るように、
支援しなければなと考えた。
今のあの感じでは、国同士の橋渡し役は、絶対に居た方がいいだろうと思った。
とりあえず、フェニックスは、世界会議の様子も見終わり、
やるべきことが、ほぼ終わったので、幻獣界に帰ることにした。
フレンには、また今後、何度か幻獣界を訪問することの約束を取りつけた。
それから、フロアからラリイを返して貰い、お礼を告げ、
リヴァイアサンから、バハムート宛の手紙を貰い、ついでに街で、人間界でのお土産も買う。
ラリイは、すっかりと起きていて、フェニックスに甘ていた。

「ラリイ♥これでやっと幻獣界に帰れますよ?♥」
「あう♪きゃぅうう♪ふぇんにぃいいい♪」

ラリイはフェニックスの働きを労うように、元気な笑顔で、
フェニックスの顔を嬉しそうに見ていた。
フェニックスも、今日の気疲れが、ラリイの笑顔で、
和らぐのを感じていた。

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